イ・ジェフン、映画「探偵ホン・ギルドン」を語る ― Vol.2

10asia |

※この記事には映画「探偵ホン・ギルドン」のストーリーに関する内容が含まれています。
写真=CJエンターテインメント

映画「探偵ホン・ギルドン:消えた村」のイ・ジェフンを見ていると、“有能”という言葉が自然に浮かんでくる。義賊ではなく悪い探偵ホン・ギルドンに変身したイ・ジェフンの演技は、それだけ自由で賢い。ホン・ギルドンのキャラクターの特色を明快に生かし、平気で嘘をつくホン・ギルドンのように、自由自在に表情を変えながら完璧に役に溶け込んでいる。

イ・ジェフンを単に流麗な演技だけで“有能”と定義付けているのではない。イ・ジェフンはホン・ギルドンに変身するために、熾烈に考え探求した。おかげでイ・ジェフンはホン・ギルドンの心理を完全に把握できた。俳優が演技のために自身の役割をこれほどにも熾烈に探求するとは、これ以上に“有能”な事があるだろうか。イ・ジェフンは探偵ホン・ギルドンのように、いや、もしかしたら探偵よりももっと有能な俳優だ。

―「探偵ホン・ギルドン」は色々な面で見どころも多く、面白味もあると好評を受けているが、映画がこのように好評を受けるほど面白く出来たのだとすれば、俳優と監督の歩調が良かったのでないかと思う。チョ・ソンヒ監督との撮影はどうだったか?

イ・ジェフン:映画「番人」の時にチョ・ソンヒ監督と初めてお会いした。よく良い方だとお話は聞いていた。いくら良い人でも映画の現場で責任重大な監督の役割していれば性格が変わるものだろうと思ったが、チョ・ソンヒ監督は全くそうではなかった。絶えず気を配ってくださり、一番下のスタッフまで有機的に交流する監督だった。監督は船の船長とも同じ役割だ。波が打ちつけて予想できない苦難に遭遇した時、判断を下し船員を導いていかなければならない。チョ・ソンヒ監督がそうだった。落ち着いて状況を打開する姿を見て本当に頼もしく見えた。恐らく俳優たちにとって、再びご一緒したい監督ではないかと思う。

―独特のホン・ギルドンの姿であるだけに、ホン・ギルドンと旅程を共にするドンイ(ノ・ジョンウィ)とマルスン(キム・ハナ)にも非常に関心を引かれる。

イ・ジェフン:ドンイとマルスンは大きな役割をやり遂げた。ドンイとマルスンのおかげで映画の雰囲気を喚起させることができた。共演する僕から見ても、二人の意図されなかった純粋な姿がとても面白かった。子供たちがいなかったら大変なことになるところだった(笑)

―二人は“子役”でなく、役者として役に尽くした印象だ。息を合わせてみてどうだったか。

イ・ジェフン:二人は本当に素敵な女優だ。特にマルスン役のキム・ハナは演技経験ゼロで、序盤に僕を見ずにカメラを見たり、視線をどこに向ければいいのか分からない様子だったので、引っ張って行ってあげなくてはと思った。最終的には素敵な演技を見せてくれた。演技が上手でなかったり、学んだこともなかった子が、純粋に“素直”な演技をした時に感じるものは、本当に最高だと言える。そんなにマルスンを作り出した制作スタッフが本当に偉く感じられた。小さい子は集中力が長くは続かないので、難しい面がある。監督と制作スタッフがあきらめないで子供たちを励ましながら褒める様子を見て、ギルドンが変化する姿に多く投影させた。結果的に子役の子たちのおかげで素敵な映画が誕生した。ジョンウィがドンイで、ハナがマルスンでいてくれて本当にありがたい。

―ドンイとマルスンのような小さい友達が良いか、姪っ子が良いか(笑)

イ・ジェフン:友達も良いが、個人的には僕の姪っ子にしたい(笑) おじさんとして子供たちがどう成長していくのか見守ることができるから。悪い道に走らないよう良い話をして成長するのを見ていたい。

写真=CJエンターテインメント
―観客にこの映画をどのように見てもらいたいか。

イ・ジェフン:観客もこのように実験的で独創的な映画を待っていたと思う。撮影する僕たちもこのようなビジュアルやミザンセーヌ(演出)を持つ作品に会うことができたことは本当に幸運だった。映画を夢見る者たちが「探偵ホン・ギルドン」を見てさらに大きな夢や想像力を育てるのに役立てば嬉しい。映画を楽しんでいただきながら、韓国映画に対しても大きな関心を注いでほしい。

―公開されたばかりの映画の続編を論じるのは多少早いが、想像の余地を残したエンディングのせいか「探偵ホン・ギルドン」の続編への推測があちこちで見受けられる。俳優も続編を待っているのでは。

イ・ジェフン:かなり待っている(笑) 「探偵ホン・ギルドン」はセッティング一つ一つ細心に作業し、丹精を込めた映画だ。僕はとても惜しいと思う。本当は撮影する時はそんなに感じなかったが、ナレーション、モニタリング試写会などポストプロダクション(撮影後の作業の総称)をしながら続きの話についてどんどん想像を掻き立てられ、気になりだした。今回の「探偵ホン・ギルドン」でホン・ギルドンがクァンウン会と遭遇したが、続編では本格的な対立が始まるのではないかと思う。あくまでも僕の想像だ(笑)

―かなり具体的に想像したようだ(笑)

イ・ジェフン:ええ、監督でもないのに(笑) だけどこの程度は「探偵ホン・ギルドン」を見た人は十分に予想するのではないかと思う。もっと具体的に言うと、続編では父親との対決なんかが作られやしないだろうか? でなければカン・ソンイル(キム・ソンギュン)の双子が現れるとか、実は生きていたとか(笑)

写真=CJエンターテインメント
―イ・ジェフンは「建築学概論」の純粋な男のイメージが強かったが、ある瞬間からそのようなイメージが変わった感じだ。自分では今の強烈なイメージを追求するほうなのか。

イ・ジェフン:強烈なイメージを追求するというよりは、やってみたことがなかったから惹かれたようだ。俳優として色んな役割をしたいのは人の常だ。これまでは制服姿、純真な大学生の姿を見せてきたとすれば、これからは冷徹なプロファイラーや探偵のような姿も見せたい。今後もっといろんな姿をやりたいという欲は多い。

―イメージが変わったことだけでなく本人の性向にも変化があるのではないか。

イ・ジェフン:確かに以前と違ったりする。もう少し豊かになったと言うか。演技が上手くなければならないのは当然のことだが、さらに進んで俳優として作品の中に存在したいと考えた。それだけでなく前よりオープンマインドで人々と意思疎通しなければならないと感じた。だから「ランニングマン」というバラエティ番組にも出たんだ(笑) 実際は、僕は面白い人ではないので、バラエティに出るのはとても大変だ。バラエティは面白くさせて見るものでしょう。僕が出れば雰囲気が不自然になって重くなりそうでとても懸念している(笑)

―イ・ジェフンは次にどんな姿に変身するのか。

イ・ジェフン:ドラマでよく目にする医者や弁護士の役を引き受けてみたいし、本格的なアクションも撮ってみたい。まだ若いので血気旺盛なエネルギーを表出できる映画をしてみたい。例えばボクシング映画とか。格闘をするにあたって、四角いリングの内側でルールの中で男と男が戦うのは、とても神聖で真っ当なものにも感じられた。この頃ハリウッドでボクシング映画が出ているのを見て、韓国でもボクシング映画が出てきたら良いなと思った。実際にボクシングを少しずつ練習している。もしくは詐欺師でも良い(笑) オファーが来た作品はどんなものでも全部やってみたい。良い作品を通じてご挨拶し続けたいし、できる限り休まず走りたい。

記者 : ハン・ヘリ、翻訳 : 前田康代