IU、3rdアルバム「Modern Times」で人気歌手ではなくアーティストを夢見る

OSEN |

“国民の妹”IUがついに歌手としてカムバックした。1年5ヶ月間の準備期間を経て、8日午前0時に公開された3rdフルアルバム「Modern Times」に収録された13曲は、リリースと共にリアルタイムチャートの上位にランクインし、どれだけ多くのファンがIUの音楽を待ち望んでいたかを物語っている。

何より秋に差し掛かった音楽市場は、フルアルバムをリリースしたBIGBANGのG-DRAGONとBusker Buskerに続きIUまで、全ての収録曲があらゆる音楽配信チャートの上位圏を長期間に渡って総なめにするという“恐ろしい力と底力”を発揮している。

先週、一切の放送活動を行わなかったにも関わらず、あらゆる音楽番組の1位を独占したBusker Buskerの音楽配信チャートでの独走を食い止め、“音楽配信の強者”としてのIUのカムバックをはっきりと印象付けているが、今回のアルバムを通じて商業的な成功を目指したことはもちろん、音楽性の面においても以前の作品よりも進化したことを音楽で表現しようとした苦悩の跡が伺える。

多彩な音楽ジャンルを見事に歌ったIUの進化

アルバムのタイトル曲「ブンホンシン(赤い靴)」は、スウィングジャズのリズムをベースにしたヴィンテージな色が強く表れた曲だ。ジャンルの変化は十分与えたというが「Good Day」「YOU&I」など、今のIUを築き上げた大ヒット曲の延長線上にある歌だ。

IUのボーカルとステージでのパフォーマンスが上手く溶け込んだ曲で、「ブンホンシン」が前作に劣らないスマッシュヒットを記録するかどうかはまだ見守る必要がある。一方、「Modern Times」とのアルバム名からも分かるように、ヴィンテージな音楽スタイルで全体を包み込んでいるが、モノトーンのアルバムジャケットにもまた、IUと制作スタッフの意図がそのまま溶け込んでいる。

ラテンリズムを取り入れたスウィングジャズと、ボサノヴァ、古めかしいとさえ感じられるスタンダードなポップスとアコースティックサウンドを盛り込んだ今回の多数のアルバム収録曲は、21歳のIUがどれだけたくさんの音楽的な努力をプロデューサー及び作詞・作曲家たちと一緒に重ねてきて実らせた結果なのかを感じさせる。

もし機会があれば、21歳の時に全世界の音楽界を揺るがすほどの秀作として評価されたアデル(Adele)の2ndアルバム「21」と、レトロ系の音楽へのイメージチェンジを図ったイ・ヒョリの5thフルアルバム「MONOCHROME」とIUの「Modern Times」を聞き比べてみることをお勧めしたい。

なぜなら、成長を続けるIUの音楽的変化をはっきりと確認することができるからだ。

“世代の壁を乗り越える”大先輩ヤン・ヒウン、チェ・ベクホとデュエット

今回のIUのアルバムにチェ・ベクホ、ヤン・ヒウンなど、音楽界の大先輩たちがフィーチャリングで参加したことには驚いた。2年前にリリースした2ndフルアルバム「Last Fantasy」で、おじさんほどの年齢にあたる1980~90代のミュージシャンのキム・グァンジン、ユン・サン、キム・ヒョンチョル、イ・ジョクなどが参加して大きな話題となったが、40歳以上歳の離れたチェ・ベクホとヤン・ヒウンが深い年輪の感じられる声で、IUのアルバムにフィーチャリングされたことも大きなニュースに違いない。

また、長く一緒に活動してきた同じ年頃のBrown Eyed GirlsのガインやSHINeeのジョンヒョンの登場も嬉しい。更にアルバムの1番目の収録曲「Love of B(乙の恋愛)」で実力派ギタリストのパク・ジュウォンと一緒に作業したことも、多彩かつアルバムの完成度を上げるための賢明な選択だったと思われる。様々な年齢層の人たちが大勢参加した今回のアルバムを通じて、IUは音楽的に世代の壁を壊し、意志疎通できるというメッセージを伝えようとしたのではないだろうか。

IU、アーティストになるための挑戦を始める

Busker Buskerの人気が冷める前に新しく現れたIUの攻勢は、ある程度予想できる結果だった。無名の時期を経て“国民の妹”と呼ばれるほどリリースする曲が全て成功し、歌手として成功し続けるIU。

いつの間にかデビュー6年目を迎えた彼女に、人気歌手と言う枠を超えて“アーティスト”と呼ばれたがる時期が来たのかも知れない。役者やMCとして活動していた以前の活動期間中にも、それなりに心血を注いで準備した末にリリースした3rdフルアルバムが、IUが“人気歌手”ではなく“アーティスト”として生まれ変わる礎になる作品になったと、後に評価されることを期待したい。

記者 : ハリソン/大衆音楽評論家