「殺人漫画」イ・シヨン“撮影中、首を絞められて嘔吐までしました”

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女優イ・シヨンが、映画「殺人漫画」を通じて演技的な変身を試みた。彼女自身は演技的変身ではないと言うかも知れないが、観客の立場から見ると確かな変身だった。

イ・シヨンはこれまで、ロマンチック・コメディで頭角を現してきた。映画「危険な相見礼(サンギョンネ)」をはじめ、「カップルズ」「男子取扱説明書」などの作品は、イ・シヨンという女優を観客に印象付け、その結果、イ・シヨンは「ロコクィーン」(ロマンチック・コメディのクィーン)という愛称まで得た。

しかし、今回彼女はホラー映画に挑戦した。「殺人漫画」という映画に。この作品は、人気ウェブ漫画と同様の連続殺人事件が実際に発生し、徐々に明らかになる秘密を描いたホラー・スリラーだ。

「殺人漫画」でイ・シヨンは、ネットユーザーの間で人気の高いウェブ漫画家のカン・ジユン役を務めた。キュートなルックスと愛嬌のある口調でロマンチック・コメディ映画で活躍してきた彼女だが、今回の作品ではキュートな笑顔も、愛嬌も全く見られず、狂気に満ちた眼差しだけがあった。


「撮影中に嘔吐までしました」

イ・シヨンがホラー映画に挑戦すると言った時、懸念の声が多く上がった。果たして、イ・シヨンという女優がロマンチック・コメディ以外でも演技力を認められるのだろうか、また、ホラー映画に相応しい演技を披露できるだろうかと。しかし、このような意見は杞憂に過ぎなかった。「殺人漫画」の中のイ・シヨンの演技は絶賛されてしかるべきだ。

「よくやったと褒めていただき、有難く思っています。しかし、自分で映画を見た時は、未熟な部分しか見えてきませんでした。ホラー映画というジャンルの限界があるので、目新しくないと良い評価を得ることができないと思いました。見るまでもなく明らかな映画にならないよう、自分なりに工夫してみたのですが、結局自ら墓穴を掘ってしまい、そこに横たわっていました。型にはまった演技をしているスクリーンの中の自分を見て、『まだまだだな』と思いました」

自分の演技に満足していない彼女だったが、映画のいたるところでイ・シヨンの努力の跡がうかがえる。常に恐怖に怯えているような目つきや、ヒステリックな話し方、不安に脅えた行動まで、彼女はカン・ジユンに完璧になりきっていた。カン・ジユンは、誰が見ても簡単なキャラクターではない。イ・シヨンは、このようなカン・ジユンを演じながら嘔吐までした。

「映画には映っていませんが、ソヒョン(ムン・ガヨン)がカン・ジユンの首を締めるシーンがありました。監督に何も食べない方が良いと言われて小豆粥だけ少し食べましたが、そのシーンを撮影しながら全部吐いてしまいました。本当に大変でした(笑)」


「オム・ギジュン先輩との共演、迷惑になってはいけないということばかり考えていました」

「殺人漫画」でイ・シヨンは俳優オム・ギジュンと共演した。始めての共演であり、二人ともホラー映画は初めてだった。互いに対立をしなければならない状況であり、二人の演技は映画全体の雰囲気を左右しかねないものだった。

「演技の共演ということはありません。オム・ギジュン先輩は本当にベテランですから。私はオム・ギジュン先輩の演技を邪魔したり、迷惑になってはいけないとばかり考えていました。演技をする時に、萎縮してはいけないのですが、演技の流れを壊してはいけないと思って、たくさん緊張しました。オム・ギジュンという俳優と一緒に演技することができたということ自体、良い経験になると思います」

イ・シヨン自らこの映画に出演したいと、キム・ヨンギュン監督に積極的にラブコールを送っていたことは既に公開されている。「役者は選択する立場ではなく、選択される人だ」と言っていた彼女だが、今回の作品だけはどうしても出演したかった。

「ラブコメディばかりやってきましたよね。それは、私が作品を選べる立場ではないので、オファーがきた作品に対して一生懸命努めてきたからです。正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)がやりたいと思っていた時、『殺人漫画』を知りました。キム・ヨンギュン監督に会った際、作品に対する愛情を表しました。『私がカン・ジユンだったら』という話しをたくさんしました。カン・ジユンというキャラクターに対する愛情が伝わり、私をキャスティングしてくれたようです」

イ・シヨンは、「殺人漫画」を通じて確かに演技の変身を遂げた。意図があろうがなかろうが、イメージチェンジに成功したことだけは事実だ。多くの俳優が限られたイメージに対する不満を口にする。イ・シヨンは、ロマンチック・コメディに限られた自分のイメージを自ら努力して、確実に変化させた“スマートな女優”である。

記者 : イ・ウンジ、写真 : ハン・ヒョクスン