【スターコラム】キム・スヒョン、僕の12転13起の大学受験挑戦記 ― Vol.2

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観客1千万人動員のヒット作「10人の泥棒たち」でチョン・ジヒョンと甘酸っぱい愛を交わしたキム・スヒョンが、生涯で2番目の映画「シークレット・ミッション」を公開した。映画でキム・スヒョンは、北朝鮮の南派特殊工作5446部隊の最高エリート要員ウォン・リュファン役を演じ、バカに偽装してソウルの下町で生活する。彼の口下手なバカ演技と口に馴染む方言は、出世作のKBS 2TV「ドリームハイ」のソン・サムドン以上によく似合う。どのキャラクターを演じても完璧に自分のものにしてしまう能力、それが俳優キム・スヒョンの魅力ではないだろうか。

前編に続き、キム・スヒョンのスターコラムVol.2では、七転八起の大学受験挑戦記と青春スターとして跳躍するまでの紆余曲折のエピソードが、彼ならではのユーモラスで才気溢れる語りで繰り広げられるので、楽しんで頂きたい。残念ながらキム・スヒョンはこれで、NAVER読者の皆さんに別れの挨拶を伝える。/編集者

NAVER スターコラム:キム・スヒョン


# シットコムの初撮影、「遊びじゃないじゃん」台詞一つで数十回もNG

僕のボサボサの天然パーマのヘアを、ヘアバンドでどうにかまとめてオーディションを受けたおかげで、受かることができました。合格!(笑) MBCシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)の「キムチ・チーズ・スマイル」でしたが、延世(ヨンセ)大学演劇公演と放送出演をどうにかして並行してみることに了解を得て、ヘアとメイクを全部こしらえて撮影することになりました。僕が末っ子だったんですが初回には登場せず、第2話から登場しましたが、台詞がたったの1行でした。

兄たちが水泳試合をします。それを見ていて、「遊びでやると言ってたけど、遊びじゃないじゃん」という台詞を一言投げかけるシーンだったんですが、演劇部で長く仕込まれたものがあるじゃないですか。ただ言ってしまえばいいものを、演劇トーンの腹式呼吸の発声で、「あ~そびでや~ると言ったけど~、あ~そびじゃな~いじゃん」と言ってしまって、シットコムの監督は人間の言葉とは考えられなかったんですね。「あいつ、何やってるんだ」と大声で叱られて(笑) そこで僕がまた「あ~そびじゃな~いじゃん」と言ったら、監督が「カット。ちょっとこっち来い」という具合ではなく、撮影現場に響きわたるほど大きく「おい!」と叫ぶんです。

そこでまた「あ~そびじゃな~いじゃん…」というと「おおい!!!!」と叫ばれて、僕は「すみません、すみません」と謝りましたが、実はどこが間違っていたかも気づかずに初回はそのまま流れました。そして撮影が終われば、また延世大学に行って演劇の練習をして寝るんです。でも、撮影って、いつも決まった時間に終わるものではないんですね。

撮影に行って、演劇部の先輩たちに「終わりが遅いので、今日は練習に行けなさそうです」と言ったら、先輩たちは事情を知らず「よかったじゃん。分量増えたの?」と喜んでくれるんです。実際は「待ち時間が長くなって、撮影が終わらないんです」と説明しても「よかったね」と言われて。僕がまた「いや、僕の撮影じゃないんです」と言いながらはらはらするんです(笑) そのようにただひたすら撮影現場で待機している間は、演劇の台本を読んでいて、そんな渦中にシットコム撮影が始まると台詞をど忘れして叱られたりもしました。

# 演劇公演を諦めた日、涙だけボロボロ

そんな中で、シットコムが月~金放送ですが、第16話からは次第に演劇の稽古に行く時間がなくなりました。本当に分量が増えたのが理由なので良いことではあったんですが(泣) 第15話~第16話くらいからいきなり僕のことを買いかぶってくださったようです。脚本家の方が6人ほどいらっしゃいましたが、そのうちの一人があの子をこうしたら面白そうということになって、僕のシーンを入れてくださいました。

第16話から少しずつ増えていったので、演劇の稽古に全く出られない日がだんだん増えました。公演が少しずつ近づいていたのに、このように自分の欲だけ考えるのは間違っていると思いました。撮影がない日に行って「申し訳ありません。僕が本当に迷惑をかけているみたいで…」と言い出したんですが、涙が出るんです。たぶん何人かは既に予想していたと思います。小さい役ではあったんですが、空けておくわけにはいかないので。

「僕はキャストからは外れて、スタッフとして参加します。申し訳ありません。許可を得るのも大変だったのに…」と言うと、先輩たちは「いや、良かったよ。分量が増えたんじゃないか。よかった、よかった」とむしろ祝ってくれたので、涙が出続けたんです。

そのように自分の演劇での配役がなくなり、シットコム一つでも頑張ってみようと思うようになりました。それで一生懸命撮影して、第62話と第63話は完全に僕のエピソードになりました。本当に嬉しかったです。そのように冬がやってきて、ついに公演の日、先輩たちに是非と言われて観に行ったんですが、演劇をただ観覧することはできませんでした。数ヶ月前まで一生懸命一緒に稽古していたことが思い浮かんで名残惜しかったし、役柄は一つしか目に入らないんです。自分が演じることになっていた、その役。あまりにも体に馴染んでいたので、演劇は見えず公演中ずっと、ここで動かなきゃ、今話さなきゃ、と言いながら台詞を口真似したりしました。そのようにして公演が終わって、シットコムも全121話で終了して。そうしてデビューして今まで役者をしています(笑)

# 延世大学学生会館での寄生生活から、一山の自宅へ

シットコムの中盤くらいで、MBCドリームセンターが完成して撮影を一山(イルサン)でやることになったので、自然に僕の10代後半の生活の場だった延世大学学生会館を離れ、自宅へ戻りました。当時を思い浮かべると、本当に楽しくて何か情熱に満ちていたような気がします。僕が部室で一人で寝るのが可哀想だったのか、先輩3人がたまに「今日は僕、帰らないから」と一緒にいてくれたりして、本当に楽しかったです。

ああ!演劇部の先輩たちもいつも懐事情が寂しかったので、制作費が足りないのはもちろん、飲み会なんてほとんどできませんでした。ある日一人の先輩が「制作費も足りないことだし、集団バイトでもやろう。一回だけやればいい。スヒョン、1つだけ肝に銘じろよ。居眠りだけはするな」と言われました。一人で一体何だろう?何だろう?と悩んだんですが(笑) テレビ番組の観覧バイトでした。「百分討論」の客席に座っている仕事です。

でも、本当に何を話しているのか全くわからないし、眠たいのを我慢して、隣で突かれては目覚めて、百分が本当に長かったです。演劇部の先輩たちと皆で一緒に行ったんですけど、その日僕がカメラに何回か写ったと思います。隣の人が質問し続けたので、カメラがこっちを写すんです。居眠りしたのがばれたらバイト代を貰えないんじゃないかと思って、僕はハッとして気をつけて。その方がまた質問をすると「ああ、また質問してる」と思いながら僕は後ろで一生懸命舞台の方を見るふりをして。当時、みんな合わせて120万ウォン(約11万円)くらい稼げました。終わってからは「いけるじゃん」と背伸びをしながら大事をやり遂げたと自賛しました(笑)


# 12校を受験…たった1校だけ受かる「ありがとうございます」

僕、大学進学は遅かったんです。受験せず、演技だけやっていたんですが、2008年に受験勉強を初めて随時エントリーで受験しました。修学能力試験を準備する余力はとうていなかったんですが、大学には進学したい気持ちがありました。それで、家にあるお金を全部かき集めて、随時エントリーで12ヶ所の大学を受験しました。書類審査と実技試験だけを見る学校たちです。受験代が高かったです。12ヶ所受験したら、150万ウォン(約13万円)くらいかかりました。ひゅう~。

そうして受験し始めましたが、12校すべてに落ちました。その時受けた学校たちが、OO大、SS大、KK大、JJ大まで、この学校が家からも近いし受かりたいと思ったのに、近い所は全部落ちました。YY大、QQ大、WW大も受験しましたが、自信があったTT大まで落ちました。僕は今まで何をやっていたんだろう、こんなことあり得る?などなど、色んなことが思い浮かびました。最初が中央(チュンアン)大学だったんですが落ちて、落ちて、また落ちて、また最後も中央大でした。第2次随時受験があったので、また受験したんです。

実技試験場に行って、こんにちは、始めますと挨拶して演技する前にちらっと顔色を伺ったら、第1次試験の時の教授たちなのに、僕のことを全く覚えていないんです。これはまた落ちるな、と思ったけれど、2回目の挑戦で受かりました。「ありがとうございます!」と言いながら、通い始めました。

# 兄貴と呼ばれるのはぎこちない、兄貴たちに従うのは好き

僕の性格って、先輩の方が好きです。友達より。末っ子役をしてきた人は、自分より下の人ができれば本当にぎこちないんです。学校に行って、「兄さん、兄貴」と言われれば、「あ、うん」と言います。なぜかと言えば、何かプレッシャーがあるんです。僕が知っている兄さんたちや先輩たちは、憧れと尊敬の対象で、ああなりたいというものを持っていたし、何か問いを投げかけると、それに対する解答が出てきたりしたんですが、僕にそんな役が務まるか、本当にプレッシャーなんです。そうしてみたくはあるんですが、難しく感じるんで。

最近は、一生懸命学校に通っています。6月中旬に期末テストがあるんですが、その勉強に邁進しています。演劇学科なので、発表を中心にテストを準備します。一人でなくチームを組んでシーンを発表するので、どうしてもスケジュールに追われる僕は演技よりは演出の方に回ることになりました。特に今回は、映画「シークレット・ミッション」の広報日程と重なったので、時間を作るのが本当に大変でした。

それでもテスト準備をする間、自分が見てきたシーンを自分が改めて作るのは勉強にもなりますし、そうやって作るのって非常に面白いんですね。もちろん演技も好きですが。ということで、今は学校でのテスト準備にぞっこんです。

# 奢らせはもう終わり、僕がおごる

2009年度1年生の時は本当にたくさんおごってもらいました。同期や先輩、ましては後輩たちに。学校の授業が終わって空き時間に、大学路(テハンノ)でスーッと隣に付いては「ご飯にしよう」と言って、ご飯が出てくれば「いただきます」、食べてからは「ごちそうさまでした」と挨拶だけ丁寧にしました(笑)

そして学校で皆に「ご飯にしよう」と言って「もう食べた」と言われれば、僕はご飯を抜きました。3300ウォン(約295円)でご飯が食べれる食堂があったんです。学生食堂。皆にこびりついてご飯を食べたりしていました。

後輩たちにも、「おい、どこいく?一緒に行こうよ」という風に。カフェに行くじゃないですか。そこにも外れず付いて行きました。皆「自分はあれ、これ」と注文している隣から、僕も「僕はあのチョコ味」という風に一緒に注文したりしていました。いつかは同期の皆から、ひどいんじゃないかと、君もおごったりしたらどうだと言われたこともあります。

その時正直に言いました。「ある金は全部交通カードにチャージした」と。交通費がなければ学校に来れないので。

しかしそんな僕が、今はその借金を全部返しています。今回復学して、友達を皆集めて「ご飯に行こう」と大きな顔していいものをおごったり、ある日は授業が終わってから後輩たちに「君たち、VIPS(高級ファミレス)行く?」といっておごったり。学校に差し入れをたくさん持っていく時もありますし。公演を準備する友達をサポートしたり。最近は借りがないので嬉しいです。

さあ!僕の初めてのNAVERスターコラムは、とりあえずここまで。面白かったですか?ただ前後なく口からでるままに喋りまくった話を、ここまで呼んでくださった皆さんに感謝いたします!それでは、また次回お会いしましょう。

文:キム・スヒョン

「NAVER スターコラム」は、注目の俳優やアイドル、アーティストたち本人がコラムを執筆。話題のスターが直接書いたコラムをお届けしています。

記者 : キム・スヒョン、編集 : OSEN ソン・ナムウォン局長、写真 : キム・スヒョン、キーイースト