騒がしい2012夏のK-POP界…“歌手”の持つ真の意味とは

OSEN |

韓国全域が、連日続いている蒸し暑さに苦しんでいる中、ロンドン五輪とK-POP界で起こっている一連の事態は“火に油を注ぐ”ような状況で、人々の疲労度を高めている。それでも五輪の方は、メダルを期待されていなかった韓国選手たちが最高の技量を発揮し、驚くべき成果を国民にプレゼントしているので、それに癒されている状況ではある。

しかしK-POP界には、スター歌手と関連した芳しくないニュースにより、多くのファンの失望・対立・分列が起こっており、各メディアも観点によって正反対の記事を掲載している状況だ。2012年の夏“K-POP界”の一部端面は、すでにこのような騒ぎでずたずたになってしまった。


こんがらがってしまったT-ARA事態

もう取り返しのつかない状況にまで至っているようだ。人気ガールズグループとしての位置付けを高め続けていたT-ARAに、今回の事件がどのような形のブーメランとなって帰ってくるか、これからその結果を簡単に予測できなくなった。メンバーファヨンの“いじめ説”に対するあらゆる推測と暴露は、所属事務所代表の正反対の観点からの発表文とともに、ファヨンの専属契約を解除することで早期に一段落させようとしたが、かえって逆風にさらされてた状況となっている。

会員数34万人を超えたネットカフェ(コミュニティ)“ティジンヨ(T-ARAに真実を要求しますの意)”は、T-ARAの所属事務所の前で公開デモを行うと予告するなど、今回の事態に対し総攻めを繰り広げる見込みだ。T-ARAが音源活動及び韓国での初の単独コンサート開催を暫定中断し、来年日本でのアリーナツアーを計画しているという抱負を発表したが、果たして“正面突破策”として有効かつ適切な対応だったか疑問が残る。

メンバーの個人活動に対しても、擁護と避難の声が鋭く対立し、ファヨンへの同情と批判もネット上で強くなりつつある状況で、果たして是々非々をわきまえられるほど客観的な考察がなされているかについて、もう一度考え冷静に判断できるようにしなければならない。一歩間違えれば取り返しの付かない最悪の状況へ突っ走ることさえできる現在の難局を、メディアとファン、そして当事者みんなが、これからでも“真のFACT”を選別する努力をしなければならない。


BoAのリップシンクステージ騒ぎ

新アルバムを公開し、初の地上波音楽番組ステージを披露したBoA。それも“オールリップシンク(あらかじめ収録された音声入りの楽曲に対して歌っているように見せること)”のステージを演出し、話題と非難を同時に呼んだBoA。ここ数年間、伴奏に合わせライブで歌うのがルールとなってきた。2000年代半ばまで続いた一部歌手のリップシンクは、MBCとKBSの青少年向け音楽番組が“オールライブ”をするというルールを決めて以来、リップシンクを認めていた他の放送局でも出演歌手のほとんどが、ライブ形式で歌うのが一般化されてきた。

しかし、実力が備わっていない一部のダンス歌手(グループ)の場合、ほとんどリップシンクに近いMR(伴奏、コーラス)に合わせ、20~30%だけ実際の歌い声が聞こえるくらいの巧妙な方法を使っている。“巧妙なMR”で主要音楽番組に出演している一部歌手の姿は、注意深く番組を見ていると簡単に把握できる。どれほどひどかったかというと、ネットユーザーたちがMR除去プログラムを利用して韓国の歌手たちの“歌唱力”を審判しているほどだ。

BoAの場合、リップシンクを認めている音楽番組で、歌よりはパフォーマンスを披露するための選択だったと述べている。騒ぎが続くと、放送当局はBoAがライブステージを行うと発表した。韓国を代表するK-POPスターとして乱れのない彼女の歌唱力は誰もが認めている。BoAは、数年前も完ぺきなパフォーマンスを見せるために、韓国の音楽番組でリップシンクステージを行なっている。

重要なのは、時期とBoAが持つ位置づけだ。完璧ではないが、今しがたデビューした新人歌手も音楽番組で伴奏に合わせてライブを披露しなければならないのが定番となってしまった。このような状況でのBoAの選択は、適切でないものになってしまったのだ。ひいては、K-POPのアイデンティティが日に日に変わりつつある状況で、韓国の音楽番組でではあるが、「K-POPのスーパースターがリップシンクをした」というニュースが世界的に広がることについても、一度は考えてみるべき部分だった。

「BoAだから」「BoAでしょう!」という、彼女にかけられる見えないプレッシャーとストレスがどれほど続いたかと思うと、粛然となる。ある面では、彼女の率直で淡白な表現と告白が一部から非難と心配として帰ってくることまでは考えていなかっただろう。BoAもやはり、今回の騒ぎで多くのことを感じただろうと思われる。今日のコラムを締めくくりながら、韓国で“歌手”の持つ真の意味とは何なのか、もう一度悩むことになった。

記者 : ハリソン