「JYJのファン暴行事件」の真実…暴行だけ見えて暴力は見えないのか

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写真=C-JeSエンターテインメント

JYJ、20日に録音ファイルを再度公開したメディアを告訴……問題の本質は芸能人の“人権”

「また、7時頃に目が覚めてしまった……昨日早く寝たわけでもないのに……静かな朝だ……ウーン……毎日毎日……その中で本当に多くのことを経験する……今日はまた、どんな試練が……でなければ、どんな喜びが一日を満たすだろうか……それが幸せならいいな……皆で分かち合えるそんな幸せ」

20日午前、JYJのジュンスは自身のTwitterにこのように書き込み、“幸せ”を夢見ていた。だが、現実はそんなに甘くなかった。彼らの試練は今なお現在進行形だ。

19日午前、あるインターネットメディアが“JYJと私生ファン”(サセンペン:芸能人の私生活まで追いかけるファン)に関する録音ファイルを再度公開した。このメディアは6日に続き、音声ファイルをインターネット上に再び公開し、「私生で蓋をした本質?……JYJによるファン暴行の不都合な真実」という記事を報道した。

これに対し、JYJの所属事務所であるC-JeSエンターテインメントは、「誰も望まない報道で、ただJYJに打撃を与えるための悪意ある記事だと思う。相次ぐ中傷や悪質な記事に妥協できないと判断し、やむを得ず法的対応を決めた」と述べた。彼はまた、「名誉毀損罪で今日告訴する予定だ。特にユチョンの父の死去でメンバーの心の傷が深いこの時期に、とうてい理解できない行動だ」と強調した。

写真=C-JeSエンターテインメント

ファンではなく、私生だという二分法的思考?

所属事務所が即時法的対応を示唆した中で、JYJの法定代理人の法務法人世宗は、「違法録音したファイルを当事者の確認なしに実名を公開するのは明白な名誉毀損であり、私生活侵害」という見解を明確にした。

「今回の問題の本質は“暴行”だ。私生活を侵害したとの理由で、スターによるファンへの暴行を隠すわけにはいかない。ファンでなく私生だという、二分法的な態度も免罪符にはならない。それもそのはずで、ジェジュンは悪質なストーカーを特定して暴力を振るったわけではなく、不特定多数の私生ファンに向けて常習的な暴行をしている」

「ニュースはファクト(事実)だ」をモットーに掲げたこのメディアが、19日の記事で主張した内容だ。だが、このメディアは4件の6日付記事で録音ファイルを公開し“分析”しながらも、この事件が2009年夏に起きたということを“総合”記事には明記しなかった。総合記事だけを見た読者なら、現時点で起きた事件と誤解する余地が多かった。

また、なぜこの録音ファイルを現時点で公開しなければならなかったのかを明らかにしなかった。もちろん録音ファイルに登場する被害者本人の立場やJYJの反論も抜けていた。ただJYJメンバーの暴行と暴言に重きを置いた。また、同日「ミン・ヒョリン、JYJとともに春の新商品カタログを撮影」という記事を堂々と報道した。

写真=C-JeSエンターテインメント

物理的暴力がこの事件の本質なのか

録音ファイルを公開したタイミングもまた絶妙だった。6日はJYJが南米ツアーに向かって出発する日だった。その後、JYJは8日午後(現地時間)チリで記者懇談会を開き、暴行事件について公式に謝罪した。

「私生ファンもファンなので、過分な愛にも耐えなければならないと思いました。でも、言いようのない苦痛の中で日常は崩れ落ちました。最小限の人間的な人生を生きていけるようにお願いしたい気持ちだけです」(ジュンス)

これとともに身分証明証を利用した通話内容の盗聴、GPS設置と位置追跡、宿舎への無断侵入とキスを試みた事件など、ジュンスが明らかにした私生ファンの実態は衝撃的だった。その後、インターネットではある私生ファンがユチョンの関心を引くために彼の頬を殴る場面まで出回った。

12日の「中央日報」(社説「私生ファンの過激ぶりは度を越した」)と「東亜日報」(時論「歪んだファン文化が残念だ」)まで私生ファンの問題点を指摘したのは、“物理的暴力”がこの事件の本質ではないためだ。3年前の事件が埋もれていた理由は、スターと私生ファンという特殊な関係から始まった事件だったためだ。

写真=C-JeSエンターテインメント

メディアは「懲罰者」ではない

暴力というものは、単に物理的、肉体的範囲に限らない。録音ファイルが公開された後“私生ファン”に対しての非難が激しくなったことは、その理由からだ。

それにもかかわらず、「芸能街中継」の諮問委員でもある文化評論家は、「JYJはなぜ法律よりTwitterを信じたのか」というコラムを通じて「私生ファン問題は多くのアイドルがある程度体験していることだ。なぜ積極的に法的措置を取らずにTwitterに事情を説明しただけにとどまったのか」と叱責した。

だが今回の事件が私生ファンの弊害にまで拡大したことは、“芸能人の人権”問題と関わっているためだという事実を忘れてはならない。また、暴行を越えた暴力の問題は、基本的な人権問題とともに報道倫理や暴露に対する問題提起にまで拡大できる事件だ。

メディアの一方的な暴露で解決できるものは何もない。「アイドルには忍耐が、私生ファンには反省が必要だ」と言いながら両方とも非難しても、やはりこのニュースにはファクトが欠けていると思う。芸能人に対する人権侵害や精神的暴力、つまり私生ファンの“暴力”には目を瞑っているならなおさらだ。

記者 : ハ・ソンテ