【2011放送決算】豊作だったSBSドラマ「視聴者だけが正解」

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今年、とりわけヒット作が多かったSBSドラマの司令塔、ク・ボングン センター長に21日、SBS一山(イルサン)制作センターで会った。彼の考えるよいドラマとは何か、今年の豊作の秘訣は何だったのか。ク・ボングン センター長とSBSドラマを振り返ってみた。

「新妓生伝」「サイン」「ボスを守れ」「武士ペク・ドンス」「千日の約束」「根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~」(以下「根の深い木」)などを送り出したSBSドラマは今年、他のテレビ局をはるかに越える成績を出した。CM収益も好調で、SBSの注目度を高めるきっかけになった。
これについてク・ボングン センター長は「これといった成功の秘訣はありません」ときっぱり言い切った。
「テレビ局3社のドラマの歴史は浮き沈みを繰り返している。あるテレビ局がとりわけ上手くいくときは何か秘訣がありそうに見えますが、それは勘違いです。一時期KBSは、『花より男子』『チュノ~推奴~』『製パン王キム・タック』などが連続でヒットしていた時期がありました。しかし、これといった秘訣はありません」
平日の夕方に放送されるドラマは、口コミを通して人から人へと話がつながるため、連鎖反応が表れるが、朝のドラマや毎日ドラマ(月~金に放送されるドラマ)、週末ドラマは視聴率が低迷しているため、全ての作品が成功しているわけではないと話した。

しかし、高い人気を博した「根の深い木」については、個人的に今年最高のドラマであり、成功した作品だと高く評価した。
「台本を読んで、本当に良い台本だと思いました。読んでいるうちに、泣きそうになったこともありました。他の俳優さんたちもそうですが、ハン・ソッキュさんの演技は特に素晴らしかったです。演出も一週間という短い間に2話ずつでしたが、高いクオリティを維持して作り上げました。台本と演技、演出という3拍子が揃いました。視聴率が30%を越えればもっと良かったのですが、それにはこだわりません」

さらに、クセンター長は「ドラマとは馴染みのないものが、意外にも視聴者から反響がありました。例えば、「根の深い木」は政治的な話の割合が相当高いです。しかし、難しくなりがちな官僚制のようなストーリーが若年層と女性層に受けました。このような視聴者の変化に意味を見出したいです。ドラマはとにかく面白くなければなりません。視聴者の反応を無視した良いドラマなんて存在しません。視聴者だけが正解です」と話した。

そして「短期的に視聴者をだませるかもしれませんが、2ヶ月もすれば、全てばれてしまいます。ケーブルテレビでポルノに近い外国コンテンツを深夜に流せば、視聴者は少しの間、興味を持ちますが、10分以上、そのチャンネルに止まりません。驚くほど、視聴者の集団知性は健全なものを求めているようです。例えば、MBC『私たちの日曜日夜-私は歌手だ』では誰もが認める歌手たちがサバイバルを繰り広げます。彼らが準備したものを余すところなく、全て見せつくしたときに、拍手が起きます。今や視聴者たちは、軽いものでは動かないと思いました」と語った。

今年、SBSで予想外に苦戦したドラマもあれば、意外にも人気があったドラマもあった。クセンター長は「『ボスを守れ』は制作費もそれほどかからず、あまり期待していなかった。他社で放送された『王女の男』に押されたものの、十分な成績を出した。『私に嘘をついてみて』には比較的期待していて、スターのキャスティングに力を入れたり、台本も事前に検討したりしましたが、あまり注目されませんでした」と言う。

一方、「新妓生伝」は視聴率が30%に肉薄したが、無理な設定を詰め込んだドラマだという不名誉なタイトルがついた。いわゆる、悪口を言いながら見るドラマになってしまい、酷評された。特に、後半部で男性主人公の目からレーザービームが出たときは、視聴者から失笑を買った。「レーザービームを、精密なCGを駆使し、ハリウッドのようにしていれば、面白くなかったかも知れません。視聴者はどこか粗雑なCGの方を面白がります」
視聴者は興味津々で、ドラマチックなものを求める。強引な設定のドラマは、見込みが薄く、人為的に刺激的なものを入れようとするのだ。クセンター長は「無理やりで、見込みも薄く、面白くないドラマは見捨てられる」と声を高めた。

1年を振り返りながら、クセンター長は心残りがあると話した。
「今年、成績がよかったと言われていますが、あわてて走ってきたような気持ちです。制作も急ぎました。より高いクオリティの作品を作ることもできただろうに、完成度が落ちたことが心残りですね」

記者 : ソン・スンウン