「パラサイト 半地下の家族」ソン・ガンホ“韓国的なディテールが多いのにも関わらず、海外の観客の反応に驚いた”

OSEN |

写真=CJエンターテインメント
「パラサイト 半地下の家族」に出演したソン・ガンホが、「カンヌ国際映画祭」で初の公式上映を終えた思いから、海外の観客の驚くべき反応などを明かした。

最近、「第72回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門出品作「パラサイト 半地下の家族」出演俳優ソン・ガンホのインタビューが、パレ・デ・フェスティバル4階のサロンで行われた。

「パラサイト 半地下の家族」は、21日午後10時(現地時間)、リュミエール劇場で初の公式上映を行った。映画のいたるところに隠喩とブラックコメディ、韓国社会の現実を風刺する場面が入っている。

ソン・ガンホは劇中で生活苦の中でも家族愛が強い、全員が失業者である家族の家長キテク役を演じた。仕事も将来への備えもなく、妻のチュンスクから小言を言われるが、いつも呑気だ。相次ぐ失敗のため、計画しても上手くいくはずがないと思っているが、息子のギウがお金持ちの家の家庭教師になり、これを皮切りに普通に食べて生活していくという希望を抱くキャラクターだ。

上映後、リュミエール劇場では8分間のスタンディングオベーションが続き、ポン・ジュノ監督は遅い時間まで映画を観覧してくれた観客に対して、「ありがとうございます。夜遅いので家に帰りましょう」と話した。現在、海外の配給会社をはじめ、ハリウッド・リポーター、デイリー・テレグラフなど海外マディアも映画を絶賛している。

「パラサイト 半地下の家族」は、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホが4度目に息を合わせた作品だ。二人は2003年「殺人の追憶」、2006年「グエムルー漢江の怪物ー」、2013年「スノーピアサー」などでコラボし、韓国映画界の“魂の相棒”と呼ばれている。

「第72回カンヌ国際映画祭」は25日に閉幕し、「パラサイト 半地下の家族」は最高賞のパルムドールを受賞した。5月30日に韓国で公開される。

――レッドカーペットで、他の俳優たちをちゃんとリードしていましたね。

ソン・ガンホ:何度か来ているんですけど、リュミエール劇場周辺以外はよく分かりません(笑)。

――上映が終わって、涙がこみ上げるような表情でしたね。

ソン・ガンホ:なかなか経験できない感動です。涙がこみ上げたというよりは、胸が熱くなりました。

――「スノーピアサー」で共演した女優ティルダ・スウィントンが「パラサイト 半地下の家族」の試写会に来ていました。何と言っていましたか?

ソン・ガンホ:「マスターピース」だと100回ほど言いました。それがお世辞ではなく、心を感じました。僕たち同士でそんな話をしていました。この映画はティルダに本当に気に入ってもらえるはずだと。独創的だし、いつもそのような作業をしてきたので、特に気に入ってもらえるんじゃないかと思っていましたが、本当にすごく気に入ってくれました。たくさんの方々から褒めてもらいました。

――ポン・ジュノ監督ともう一度タッグを組みましたが、初期作の雰囲気と今までの自身のノウハウをすべてつぎ込んだ印象を受けました。

ソン・ガンホ:僕が「パラサイト 半地下の家族」を置いて「殺人の追憶」の話をしたのは、内容も全然違うし、方式も完全に異なる映画ですが、「殺人の追憶」でリアリズムのそれなりの成果があったとすれば、その成果が今や哲学的な深さにまで至っていると思いました。ポン・ジュノ監督の進化だと思います。また、大げさな言い方をすれば、90年代後半から成し遂げたポン・ジュノ、イ・チャンドン、パク・チャヌクら韓国映画のルネサンス時代を作ってきた主役たちが、今やクラスを上げていると思います。だから「韓国映画の進化だ」という大げさな表現をしました。誇らしく話せると思います。世界の映画人たちに自信を持って言えます。

――ポン監督のディテールを誰よりもよく知っているんですよね。

ソン・ガンホ:クライマックスの選択の果敢性、作家として自信、この社会を貫通する正確な視線、そういうものを感じました。僕自身もすごく驚きました。

――今回の映画はそれぞれ俳優たちが動ける余白が均等になっていて、調和が取れていたと思います。

ソン・ガンホ:だから個人的に楽でした。「もう僕一人で責任を取らなくてもいいんだ」と思いました(笑)。最近偶然にもそのような作品にたくさん出演しました。その一方で「パラサイト 半地下の家族」は、すごく楽しく撮影しました。後輩たちと楽しくN分の1に分けてやるので、本当に楽しかったです。ボン監督も今回は「自分も負担を分け合うから、楽にやろう」と言っていました。

――俳優は体で演技しますが、全身の細胞で演技するような印象を受けます。「パラサイト 半地下の家族」では肌の色も変わっていました。

ソン・ガンホ:ポン・ジュノ監督もその状況に合うように、たくさん実験をします。後半で顔が赤らむのは去年の夏に撮りましたが、その時の気温が40度まで上がっていました。瞳孔の虹彩まで見えました。

――骨の髄まで韓国人にしか100%理解できないということでしたが、海外の観客たちの熱狂的な反応に驚いていませんか?

ソン・ガンホ:拍手しながら部分的に面白く感じるシーンはあるだろうと思いましたが、このような反応には僕も驚きました。ポン・ジュノ監督が心配していたのは、半地下の情緒だと思います。正確に翻訳することもできないし、半地下を翻訳してもその情緒を表現することはできません。ポン・ジュノ監督の作品は、韓国的なディテールが多くて、外国の方はすべてのディテールを理解できないかもしれません。それは心配というよりは、残念な部分かもしれません。しかし昨日は残念ではなく、驚くほどの反応がありました。「ル・モンド」の記者は、小津(家族の作品で有名な日本の映画監督小津安二郎)で始まって、イタリアのネオシネマに行っては、結局はヒッチコック(スリラーで有名な映画監督アルフレッド・ヒッチコックになったと表現していました。それからブラジルの記者の方は、2つの家族が1つの家族に見えたと表現しました。本当に驚きました。この映画が話したい究極の姿を正確に見てくれました。すごいことです。「外国の方は分からないかもしれない」と思っていましたが、もっと深く知っていました。

記者 : ハ・スジョン