パク・チョルミン「『アベンジャーズ2』と同じ日に『薬売り』が公開…どうかしてると思う」

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お人好しな笑顔、アドリブの神パク・チョルミンは忘れよう。映画「薬売り」(監督:チョ・チオン、制作:26カンパニー)では想像もしなかったパク・チョルミンの顔を見ることができる。昨年ひどいマンネリに陥ってから出会った「薬売り」は彼を初心に戻した作品だ。そのためか、腹が捩れるほどおかしい馴染みのあるパク・チョルミンの姿はないものの、なんとなくいつもより楽に見える。

映画「薬売り」は孤独なお年寄りの女性たちに健康食品や生活用品などを売る広報館を舞台に、病気の娘の治療費を稼ぐため、やむを得ず広報館の職員として就職する主人公イルボムの生存記を描いた映画だ。映画「サイレン」(2000)の助監督、「恋愛の温度」(2012)、「視線」(2013)、「愛の棘」(2013)のラインプロデューサーを務めてきたチョ・チオン監督がメガホンを取った。

彼は今回の作品で広報館に来たお年寄りの前ではピエロのようにふざけながらも、“集金”の時期が近づくと無慈悲な態度に変わる広報館の店長チョルジュンを演じた。ふてぶてしく冷たいチョルジュンという人物を通じてパク・チョルミンの演技の深さを改めて推測させる。

「アドリブって、結局僕の頭の中から出るものじゃないですか。上手く行けば作品に味を加えることになるけれど、そうでない場合は『パク・チョルミンはいつも同じ』と言われることになります。結局、蛇足になるわけです。昨年、僕の演技に対する悪質な書き込みを見ながら、演技をやめなければならないのかと思いました。そうやって寒い夏を過ごしている時に『薬売り』に出会いました。本当に演じてみたかったキャラクターを表現しながら、自分自身がカメラの前に立つこと、演技というものをどんなに愛しているのかが分かりました」

純制作費4億ウォン、18回目という劣悪な環境の中で撮影した「薬売り」は4月23日にハリウッドの大作映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(「アベンジャーズ2」)と競り合う。まさにダビデとゴリアテの戦いだが、パク・チョルミンは「ひたすら負けることはない」と自信を示した。

「幸いなことに試写会の反応は悪くありませんでした。久々に重い映画、重い感動を受けたという反応でした。映画を見た後、親に電話したくなる映画が『薬売り』です。『アベンジャーズ2』との対決だなんて。息苦しくなりました。厳しい戦いになると思いますが、最後まで『アベンジャーズ2』のそばについていようと思います。(キム)イングォンと一緒に『アベンジャーズ2』俳優たちの来韓を出迎えようと思っています!(笑)」

以下はパク・チョルミンとの一問一答である。

―悪役がかなり似合っている。

パク・チョルミン:最初は低予算映画だというから話をするなと言われた。当時、すでに数本の低予算映画の撮影に参加していた状況だった。ノーギャラのせいだけではない。結局映画やドラマ、作品に出演する理由はたくさんの人に会いたいからなのに、低予算映画はその面で難しいじゃないか。そう言っているうちにシナリオを一度読んでみたらチョルジュンというキャラクターが僕が今までにやったことのない人物だった。やってみたいと思った。

―結局またノーギャラ出演だ。

パク・チョルミン:「もう一つの約束」の時も、出演料の変わりに株をもらった。最近1.7%の収益が出たので170万ウォン(約19万円)程度の収益金をもらった。すぐに現金で寄付した。ところが金額が少なすぎて足りない気がした。今回の「薬売り」は損益分岐点が40万人だ。100万人の観客が入ったら6000万ウォン(約662万円)もらえる。僕はワールドビジョン、分かち合い文化、美しい財団、参与連帯に定期的に寄付している。どうか100万人を突破して、その4つに仲良く分けて寄付したい。

―広報館、いわゆるトッタバン(お年寄りなどに健康食品や生活用品を売る、移動式無許可仲介業所)という題材に対する懸念もあったと思う。

パク・チョルミン:扱いにくく、敏感な問題だ。結局おばあさんたちに詐欺を働く人の話じゃないか。汚く、野卑じゃないかと思って心配した。シナリオを読んでみたらそこも同じ社会だった。汝矣島、青瓦台、財閥、市長の話でもあった。普遍性を感じた。また、広報館には逆機能と順機能があった。実際に広報館に通いながらうつ病を治した人が多い。「あいつがうちの息子よりもよく遊んでくれるから、騙されたと思って一度買ってあげよう」と考える方が多かった。

―撮影中に自分の親のことを思い出すこともあったと思う。

パク・チョルミン:果たして僕が1年間に親と心から遊んであげたのはどれくらいになるのだろうと思った。僕の母も広報館みたいなところに行ったらしい。いきなり体にいいからと言ってアロエを一箱送ってきたが、ずっと教師をしていた頭のいい方がまさか騙されてそのものを買ったとは思えない。母がなぜそこに行ったのかと考えるようになった。

―演技が一番大変だったシーンはどこか?

パク・チョルミン:叫ぶシーンだ。爆発するシーンだからといってひたすら怖く、残酷な演技をしたくなかった。できるだけ抑えた。

―一番満足しているシーンは?

パク・チョルミン:キャンディーを食べながらイルボム(キム・イングォン)に毒舌を吐くシーン。監督のモニターの前にハッカのキャンディーがあったから、撮影前にいつくか口に入れ、監督に「キャンディーを食べながらやってみようか?」と聞いたら、好きなようにやってみてくれと言われた。考えてみればガムを食べるシーンは多いけど、キャンディーを口に入れているシーンはあまりなかったような気がした。キャンディーを食べながらやってみたら新鮮だったし、もっと卑劣に見えたので良かった。

―パク・チョルミンと言えば“アドリブ”が思い浮かぶ。

パク・チョルミン:毒であり、薬でもある。上手く行けばシーンに味を加えることができるが、蛇足になることもある。結局自分が作ったアドリブだから「パク・チョルミン、面白くない」「いつも同じ」と言われたりもする。そのような書き込みを見て憂鬱になり、演技をやめようかとも思った。僕にはまだ力がたっぷり残っているのに、監督、観客が僕のことを求めなくなることが怖かった。

―いつそのように悩んだのか?

パク・チョルミン:昨年の晩春から夏の間だ。本当に寒い夏を過ごした。いろいろな理由でギャラの話まで行き来した3つくらいの作品が、他の俳優に代わった。これ以上観客が僕を求めていなかったらどうしようと思って、ちゃんぽんのお店を探し回ったりもした。料理に対する興味は普段からあったけど、俳優をやめようとも思ったのだ。そんな中、「薬売り」と「イニョプの道」、演劇「年老いた泥棒の物語」に出演しながら、カメラの前、舞台の上に立って演技をすることのありがたさに再び気づいた。意欲が再び燃え上がった。僕の従来の演技を少しずつ変えてみたら意外と好評だった。

―映画「アベンジャーズ2」と同じ日に公開される。

パク・チョルミン:どうかしている。どうかしていると思っている。僕たちも「アベンジャーズ2」との競争が息苦しいし、信じられないけど、一撃で倒れることはないと思う。「アベンジャーズ2」をKOさせることはできないけど、最後まで「アベンジャーズ2」のそばについていようと思う。(キム)イングォンと「アベンジャーズ2」俳優たちの来韓を迎えに行こうと思っている。花束も韓国の野花を準備する。

―実際、パク・チョルミンという俳優のアイデンティティは演劇にある。演劇の魅力は何か?

パク・チョルミン:一番大きな魅力は観客に直接会えることだ。様々な旅行番組や本を通じて間接的に旅行はできるけど、実際に行ってみることほど良いことはないじゃないか。演劇も同じだ。観客に実際に会って、その反応、涙を実際に見ることができるというのが本当にいい。観客と俳優の間には相互作用がある。観客が本当に公演や演技が良かった時にする拍手と歓声がある。そういう時には戦慄を感じる。それが好きだから演劇をする。

―一番親孝行だと思うときは?

パク・チョルミン:父が「お宅の息子のおかげで笑った」という電話をときどきもらっているらしい。幸せそうにその話を僕にしてきた。意図した親孝行ではないけど(笑)

―逆に一番親不孝だと思うときは?

パク・チョルミン:親と10分以上一緒にいるとたまらなくなる。1時間ほど時間があるのに、10~20分で立ち上がる。まさにこれが親不孝だと思う。果物セットを渡して帰る自分が恥ずかしいし、悲しい。

―主役を演じたいとは思わないか?

パク・チョルミン:本当に思わない。僕の能力がないからというよりは、それぞれの色、大きさが異なると思う。僕にはドラマ全体をリードし、責任を持つより、小さいけれどその中でふざける役の方がもっと似合うような気がする。100のシーンに出たのに「あの人退屈だ」と言われるより、1つのシーンに出るだけでも魅力的なキャラクターがいい。

―「薬売り」は孤独死の問題にも言及する。老後の計画はあるのか。

パク・チョルミン:病気にならず、撮影が終わった後に生ビール一杯飲んでから楽に死ねたらいいなと思う。世界でもっとも幸せな死ではないか。

記者 : キム・スジョン、写真 : イ・ソンファ