「ユナの街」キム・オクビン、人生の指針書に出会った

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写真=イ・ソンファ
女優キム・オクビンがユナとしてお茶の間を虜にした。これまでの役とは違った。現実的な空間で生きていく日常的なドラマ、日常的なキャラクターだった。その魅力に惹かれてキム・オクビンはユナになり、約8ヶ月間傷を癒した。

第50話を最後に放送終了となったJTBC月火特別企画「ユナの街」(脚本:キム・ウンギョン、演出:イム・テウ)は職業、性別、年齢、性格まで千差万別で個性満点な人々と元スリのユナが住む集合住宅に、世界中どこを探してもいない善良な男チャンマンがやって来ることから傷と痛みが癒され、一緒にもみ合いながら生きていく物語を描いた作品だ。キム・オクビンはヒロインのユナ役を演じた。

「明日にもドラマのスケジュールが出てきそうです。ほぼ8ヶ月間撮影しました。独特なキャラクターに飽きて、日常的なキャラクターを演じたかったんです。その時にキャスティングのオファーが入ったのが『ユナの街』でした。ものすごく日常的なドラマでした。日常生活のように続くのが好きでした。楽しい経験でした。『ユナの街』は私の人生の指針書のような気がします。演技のスタイルや演技自体のターニングポイントになりました。今後どうやって生きるかを提示してくれた作品なので特別です」


「ユナの街」演じながらとても楽だった

キム・オクビンは自身の服を着たように、本当に楽に見えた。見る人がそう感じたのは、演技をしているキム・オクビン自身も楽だったからだ。このドラマを通じてキム・オクビンはドラマ部門初受賞の栄光も手にした。大田(テジョン)ドラマフェスティバルで長編ドラマ部門の女性優秀演技賞を受賞したのだ。

「これまで賞を期待しながら生きてきたことがないので、ああ、そうなんだとしか思いませんでした。でも、受賞したら嬉しかったです。そんな席によく行くのも悪くないような気がします(笑) 『ユナの街』は気楽な気持ちで演技しました。最初はある程度適応期間が必要でした。前作はクローズアップが多いので多少大げさに演じなければならない部分が多かったです。イム・テウ監督は日常的なものだから動作や眼差し全て自由にしなさいとアドバイスしてくれました。それで楽になりました。劇的なものより、日常的なものがもっと合うような気がします」

ユナは自身だけの哲学を持っている。スリはいいけど、強盗はダメだと主張する。そうしながらも仲間たちの間ではお姉さんとして強いカリスマ性をアピールする。しかし、実際の生活では抜けの多い面を見せたりする。

「ユナは心の中にあることを全て話すじゃないですか。ストレスのないタイプです。愛を与えることを知らないからチャンマン(イ・ヒジュン)を引き続き断りました。好きなくせに嫌いなふりをするのが可愛かったです。自分の仲間にはカリスマ性のある人なのに好きな男には感情を隠したりして、可愛い女だと思います」


「ユナの街」を通じて心が癒された

「ユナの街」は小市民たちの物語を描いた。集合住宅に住む人々のささやかな日常の物語で、全50話で展開された。その中の隣人同士の情、愛、友情などの温かいメッセージが胸に響いた。善良な男チャンマンによって変わっていく集合住宅の人々を通じて韓国社会にはまだ情が溢れ、温かく変化できるという可能性を見せた。キム・オクビンはチャンマンの魅力を聞く質問に少しも迷わず「やさしい心のありかた」と答えた。

「ユナみたいに愛されることさえ知らない人のために長い間待ってくれたことだけを見ても信頼できそうです。最後まで信じてくれそうです。この人との愛が厳しさの中で芽生えましたから。やさしいから愛するしかないと思います。でも、うっとうしいとは思いますね。本人より他人をもっと思い、配慮する人ですから」

キム・オクビンは「ユナの街」に出演しながら同僚俳優たちの激励から多くの力を得たと明かした。イ・ヒジュンはもちろん、キム・ヒジョン、ソ・ユジョン、キム・ウンスなどの慰安と激励が自らの原動力になったという。

「気まずいかもしれないけど、たくさん励ましてくれるので力を得ました。同僚の俳優たちに褒められることに大きな意味がありました。監督はもともとあまり褒めません。先輩や同僚の励ましに慰めてもらいました。大きな力になりましたね。今回の作品を通じて心的に癒される面もありました。『人間ならこう生きるべきなのでは』と思いました。心が温かくなりました。台本を読みながら内面が満たされる気がしました」


キム・ウンギョン脚本家はまったく予想できない人

キム・オクビンに 「ユナの街」の名シーンを聞いた。名シーンが多すぎるから何を挙げればいいのか分からないと悩んだ彼女は、ヒョンジョン(イ・ビッナ)と刑務所で再会するシーンを挙げた。今見ても胸が痛いシーンだという。

「ヒョンジョンの面会で今までの悲しみが爆発するシーンでした。突然泣き出すシーンでした。『どうしたの』と聞くチャンマンの前で大声で泣きました。チャンマンの前で泣くのはチャンマンに心を開いたことを意味すると同時に、『この人がこれまでどんなに寂しくて、大変だったのか』という思いがしました。そのシーンは今見ても胸が痛いです」

キム・ウンギョン脚本家は毎回異なるエピソードで物語を展開する。対立を長引かせず、1話で解決するスタイルだった。キム・ウンギョン脚本家の予想できない展開はキム・オクビンを驚かせた。

「チャンマンが母親に会ったと言うシーンがあります。母親を恨んでいたユナは『どっちにしろ二度と君とは話さない』と怒りました。二度と会わないように怒りながら演じましたが、次の日には話をしないだけで手のしぐさで対話をしていました。小学生が拗ねたような感じでした。可笑しくて、あきれちゃいました。このシーン自体が可愛かったです。脚本家は本当に予想できない方向に展開する方です。想像を超えていました(笑)」

記者 : ファン・ソヨン