「神が送った人」キム・ジンム監督“北朝鮮の地下教会を水面に引き上げるのが目的…賛否両論は意図したこと”

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写真=ムン・スジ
正直、映画「神が送った人」(監督:キム・ジンム、制作:テプンコリア)は観客が気楽に楽しめる映画ではない。主演キム・イングォンの表現を借りると、「楽しみたくて行った映画館から後味悪い気持ちで出る」映画だ。

しかし、すべての映画の目的が娯楽になることはできない。ある映画は戦うように誰かの声を代弁したり、ある映画は観客に重い課題を投じることだけで意味を持ったりもする。

13日に韓国で公開された「神が送った人」は、観客に忘れていた、あるいは知らなかった不都合な真実と向き合わせる。荒い言い方をすれば、「神が送った人」は人権映画であると同時に宗教映画だ。にもかかわらず、しっかりとしたストーリーの力で観客を映画に集中させる。退屈になる暇がないという意味だ。体制の抑圧の中で信仰を守ろうとする北朝鮮の地下教会の実態をリアルに描き、心の響きと衝撃を同時に伝える。

サンミョン大映画学科出身のキム・ジンム監督は、高校の時から独立映画界に入った映画人だ。10年近く積んだ映画界での人脈のおかげで、「高地戦」「ザ・タワー 超高層ビル大火災」「FLU 運命の36時間」などの大作に参加したスタッフと共に「神が送った人」を制作することができた。おかげで美術から照明、ロケーションなどにおいて一定水準以上の完成度を引き出すことができたという。

20代、賈樟柯に代表される中国6世代監督の映画に夢中になっていたキム監督は、自然と“社会派映画”に目を向けた。偶然に北朝鮮の地下教会に対する話を聞いた彼は、「この話は必ず取り扱ってみよう。投資に難航しても、映画にできなくてもまずはシナリオを書いてみよう」という一種の使命感を持って「神が送った人」のシナリオを書き始めた。

彼は映画の公開直後に浮上した賛否両論に、意外にも淡々とした反応を見せた。彼は「地下教会の物語を水面上に引き上げるのがこの映画の目的です。賛否が分かれることは予想していました。一つの意見に統合されるよりは批判と賛成、様々な談論が形成されて欲しいです」と説明した。

「神が送った人」は強烈な拷問シーンで始まり、北朝鮮での実際の処刑シーンが収められたエンディングクレジットで終わる。見るに忍びないという言葉を実感させる。悲しいことに、その“見るに忍びない”シーンが北朝鮮の現実だ。

「オープニングとエンディングのシーンは氷山の一角です。かなりレベルを下げました。一部では残酷すぎるという指摘もあるが、観客に不都合な真実を正面から見てほしかったです。だからといってうちの映画が抹消神経だけを刺激する映画でもないですよね。残酷な現実と向き合った時、北朝鮮の現実に対する観客の態度も変わると思いました」

「神が送った人」が挙げたもう一つの成果は、俳優キム・イングォンの真面目さだ。喜劇的なイメージが強いキム・イングォンは、実はデビュー作「鱒」(1999、監督:パク・ジョンウォン)をはじめ1000万人の観客動員数を記録した映画「王になった男」(2012、監督:チュ・チャンミン)など、真剣な正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)演技に優れている俳優だ。今回の作品で、彼は死んだ妻との最後の約束を守るために村人たちを連れて自由を求め脱北を主導するチュ・チョルホ役を演じ、重たい演技で映画をリードする。

「温かいキャラクターでよく知られているキム・イングォンさんですが、実際の性格はそれとは少し異なります。実際はとても冷徹で論理的です。仕事と自身の距離を確実に取るタイプです。その分プロフェッショナルですし。キム・イングォン先輩との初めての出会いを今でも覚えています。まるで『僕のことを説得してみなさい』という感じでしたね(笑) コミカルなイメージを脱皮するチャンスを与えると約束しました。試写会の反応を見ると、僕は悪く言われてもイングォンさんが悪く言われることはありません。良かったと思います」

キム監督は最近、SUPER JUNIORのドンヘ主演の中編映画「噂」の後半作業に力を入れている。「噂」は新人監督5人が集まり、“青春が青春を語る”というテーマの下で作った5本の映画のうち1本だ。

キム監督は「『噂』は彼女との恥さらしな噂に巻き込まれた高校生のストーリーを通じて、罪の意識と不安な責任意識、いわゆる10代の不安を描いた映画だ。ドンヘの新しい顔が楽しめると思う」と伝えた。

記者 : キム・スジョン