「その冬、風が吹く」吹いてくる風にあなたの心も揺らぐ

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写真=イ・ジョンミン

SBS新水木ドラマ「その冬、風が吹く」制作発表会…2月13日に放送スタート

「風に揺らぐ一本の木を見て弟子が師匠に『あの木が揺らいでいるのか、風が揺らいでいるのか』を聞いたといいます。師匠は『お前の心が揺らいでいるのだ』と答えました。作品の中の風もそんなものだと思います。物語が進むにつれ、4人のキャラクターの価値観と感情が変わり、それによって新たな対立が生まれます。タイトルの中の風は心を揺らすものではないかと思います」

「風は心を揺らすもの」と言った俳優キム・ボムの真剣な言葉に膝を打った。同席していたチョ・インソンは「僕たちはまだそこまで考えたことがなかったけれど、ボムが賢明な答えを出してくれました。それ以上答えることは難しいと思うので、僕たちは『その通り』としてください」と感嘆した。31日午後、ソウル龍山(ヨンサン)区漢南(ハンナム)洞BLUE SQAREで行われたSBS新水木ドラマ「その冬、風が吹く」(脚本:ノ・ヒギョン、演出:キム・ギュテ)の制作発表会場での出来事だ。

ノ・ヒギョン脚本家「視覚障がい者も同じ人間だということを見せたかった」

何より「その冬、風が吹く」が話題作になった理由は「嘘~偽りの愛~」「グッバイ・ソロ」「彼らが生きる世界」などでヒューマニズムを見せたノ・ヒギョン脚本家が台本を書き、彼と息を合わせてきたキム・ギュテプロデューサーが演出を担当したためだ。特に、俳優にとってノ・ヒギョン脚本家の存在感はすごい。ノ・ヒギョン脚本家と息を合わせるのは2度目となる女優ソン・ヘギョは「2度目だからといって気楽になったり、易しくなったことはありません。前より2倍は難しくなったと思います」と言い、キム・ボムも「台本を見たらやはり俳優が勉強し、自ら質問を投げかけなければいけませんでした。脚本家の台本のおかげで俳優がその中で安定して演技をすることができます」と打ち明けた。

目の不自由なオ・ヨンの人生を描くだけに、ノ・ヒギョン脚本家は着実に取材を重ねキャラクターを完成させた。画面の中のオ・ヨンの完璧なメイクとキルヒールを見た一部の人は、リアリティを疑ったが、ノ・ヒギョン脚本家は揺るがなかった。取材しながら驚いたことは、視覚障がい者が一番聞きたくないと思う言葉が「部屋にいて」ということだったと言い、「私でさえオ・ヨンは部屋にずっといた方がいいと思っていましたが、『この人は部屋にいるべき人』という考えが逆に彼らを傷つけていました」と伝えた。

「視覚障がい者はただ患者だと思うだけです。『この人も人間だ』ということを見せたいと思いました。実際に視覚障がい者のための教本を見ましたが、メイクする方法とハイヒールを履く方法などが全部のっていました。部屋にいるオ・ヨンを世の中に引き出すことがオ・ス(チョ・インソン)です。ただ、ドラマが視覚障がい者をテーマにすることで彼らに迷惑をかけたり、傷つけたりすることは起きないでほしいという面では心配もあります」

キム・ギュテ監督は、今回の演出のポイントとして“淡泊さ”を挙げた。「絵だけが見える」という評価もあるようで今回は技術的な部分にはあまり気を遣わず、「シンプルだが力のある演出を見せたいです」と語る彼は「画面の角度が特別でなくても俳優たちが与える感じがあり、クローズアップショットだけでも力がありました」と満足感を示した。

「俳優の力がこれほど強烈だとは思いませんでしたが、3日間撮影しモニタリングしてみるとドラマチックな部分がよく出てきました。今回は脚本家や俳優にただついていく形になると思います(笑) 僕が悩むのは視聴者がオ・スの気持ちを全部分かるようにするべきか、それを分からないようにすべきか、という(演出の)線です。脚本家の(台本)スタイルは静寂な感じでしたが、それをインソンが演じると動的な感じもかなりに出てきました」

ソン・ヘギョ&チョ・インソン、トップ俳優の共演…序盤から感情的なシーン

同年代の俳優でほぼ同じ時期に芸能界にデビューした二人の俳優、ソン・ヘギョとチョ・インソンは「その冬、風が吹く」で初めて共演することになった。「一度は会えるはずなのに本当に会えないと思ったこともありますが、共演するという話を聞いて『頼りながらできる』と思って安心しました」というソン・ヘギョと「演技が難しくてよくまとまらない時、ソン・ヘギョの演技をみたり、台詞を聞いたりすると整理される時が多いです」と言うチョ・インソンはすでに撮影の序盤で感情を見せるシーンを集中的に撮り、「“最高のカップル”に生まれ変わった」と語った。

特に、多様な演技で女優としてキャリアを築いているソン・ヘギョは、大手企業の跡継ぎで目の不自由な“死にたいと思う女”オ・ヨンを演じる。彼女は「よく表現しなければならず、敏感な部分が多くて私も敏感になりました。視覚障がい者も、その症状は様々で症状の進み具合によってそれぞれ現れる現象が違いました。オ・ヨンは正面だけに視覚があるトンネル視力でよくいう“瞳演技”とは違います」という専門的な説明までしながらこれまでの悩みの時間を覗かせた。

「視覚障がい者を演じていると、自分でも寂しい時が多いです。(相手の)目を見ながら演じられませんから。相手が追う言う様に演じるのか、表情はどうなのかも見ることができず、空に向かって演じます。それだけで寂しさを感じます。ある時は私一人だけで何かをしていると思って寂しくなります。そのためあえて(感情を)作って演じるよりは現場で自然とそのような状況が作られるので、自然に演じることができるようです」

“イケメン”スターから離れ、確実な存在感をアピールしているチョ・インソンは専門のギャンブラーだったが金目当てでオ・ヨンの兄を装って接近する“生きたい男”オ・スを演じる。彼は、軍隊での生活を振り返りながら「変わったと思います。良い影響を画面で見せれたらと思います」と言いながらより一層深くなった眼差しを見せた。また、発表会の中ずっと俳優とノ・ヒギョン脚本家などを案内し、配慮する姿が印象的だった。

現場での気配りが感じられる姿のように、チョ・インソンは「大衆的ではないかもしれません」と、世間の憂慮も十分に説明した。「たくさんの方々が、作品があまりにも重くないかと懸念されていますが、ただ軸がしっかりしていると見ればいいと思います。僕は重い人ではないので演じるキャラクターもただ重く見えることはない」という言葉で作品への自信を示した。

「序盤で色々なことを説明する部分は真剣にアプローチします。ですが、撮影した結果を見ればキャラクターが重いだけではありません。面白いシーンもあります。ジンソンとヒソンも面白い演技を見せます。バランスが取れていると思います」

このような彼についてノ・ヒギョン脚本家も「自信があり、何よりも一生懸命にします。無謀に見えるほど情熱的な人です」と話し、「私自身も若くなる感じです」と評価した。「面白い」と語り始めた彼は「これだけ自身のある俳優は診たことがありません。後輩の前でも自身の短所を気兼ねなく語るが、それを見て『本当に自信があるんだ』と思いました。チョ・インソンは頭で演技をする俳優ではなく、心で演技する俳優で、チョ・インソンの解釈を見ながら私が台本を書くラインが決まりました」と語った。

最後にソン・ヘギョとチョ・インソンは一番印象深かったシーンとして屋敷のプールでのシーンを挙げた。ソン・ヘギョは「撮る時に体がしびれるほど感情が出ました」とし「他のドラマは第7話以降から恋愛や感情を見せるシーンが出てきますが、私たちは第1話からその様なシーンが多くありました」と語り、チョ・インソンも「計算して演じたわけではありません。ソン・ヘギョの演技だけを見てそのまま演じましたが、インパクトがあって期待できます」と話した。彼らのSBSドラマ「その冬、風が吹く」は、韓国で2月13日午後9時55分に放送を開始する。この冬、見る人の心に切ないながらも温かい風が吹いてくるようだ。

記者 : イ・ジョンミン、イ・ミナ