【PEOPLE】チャン・ナラを構成する5つのキーワード

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チャン・ナラ

彼女が出演したドラマが40%以上の視聴率を記録し、CMを同時に10本以上撮った。“動く1人企業”とも言われた当時、彼女の年齢は22歳だった。そして、10年後の今。


フィソン

チャン・ナラの歌「Promise」を一緒に歌った歌手。
フィソンはデビュー前、チャン・ナラと同じ事務所に所属していた。チャン・ナラはデビュー前、SMエンターテインメントのオーディションに合格し、デビューを準備していたが、当時、制作者になろうとしていた歌手イ・サンウの目に留まり、所属事務所を移した。結果的にはいい選択だったが、デビューを控えた練習生にとっては不安なことだったし、フィソンとチャン・ナラはいつデビューアルバムを出すことができるのだろうと一緒に心配した。チャン・ナラは、小学生の頃から演劇に出演し、歌手としてデビューする前から広告モデルとして活動するなど、10代の頃から、芸能人になるための準備をしていた。また彼女の父によると、子どもの時、童話発表会で賞を取ったが、クラスの友だちや先生からそのお祝いでおごってよと言われ、裕福ではない家庭のことを考えて親に数日間何も言えなかったほど、余裕のない家計状況を理解していた。彼女がKBS「ゆれながら咲く花」で教えている生徒たちのように現実は切羽詰っており、歌手になることだけが夢だった。

ヤン・ドングン

MBC「ニュー・ノンストップ インソン&キョンリムの恋の行方」で共演した俳優。
望んでやまなかった歌手デビューを果たしたが、アルバムのジャケットにウェーブをかけたヘアスタイルで横になっている姿の写真を使い、成熟さを強調したコンセプトは、チャン・ナラ自身も少し“背伸びしている”と思うものだった。そして、「ニュー・ノンストップ インソン&キョンリムの恋の行方」は、このようなチャン・ナラに最も似合う姿を見つけてくれた。可愛くて凛々しく他の人から“情けない”と言われるヤン・ドングンが好きなチャン・ナラの演じるキャラクターは、男性たちにとって、まるで自分の彼女にできそうな女性だったし、女性たちにとってはより現実的で親近感の湧くイメージを与えた。「ニュー・ノンストップ インソン&キョンリムの恋の行方」の後、タイトル曲「涙に顔をうずめる」に代わり、難しい愛の感情を表現した「告白」や愉快な雰囲気の「四月物語」がヒットした理由である。コミカルな演技ができる女優が、そのイメージをそのまま歌に移したら、爆発的な反応が起きた。そうして、ムン・グニョン、キム・ヨナ、IU(アイユー)らに先立ち、いわゆる“国民の妹”が誕生した。

チャン・ヒョク

SBS「明朗少女成功記」で共演した俳優。
「明朗少女成功記」は、最高視聴率44.6%を記録するなど、爆発的な人気を博した。これまでトレンディドラマのヒロインが善良できちんとしたイメージだったとすれば、チャン・ナラは「ニュー・ノンストップ インソン&キョンリムの恋の行方」のイメージの上に、よくミスを犯したりするコミカルな姿を加えた。そのため、チャン・ヒョクとラブストーリーやコメディを行き来する演技を見せることができた。「明朗少女成功記」の成功後、トレンディドラマの流行が明るい女性主人公&神経質な男性主人公といった構図のラブコメディに変わった。チャン・ナラは青春シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で 連続放映されるコメディドラマ)とトレンディドラマにおいて、新しい流れの中心にいたことになる。チャン・ナラの人気は絶頂に達した。余りにも絶好調なことが問題に思えるほどだった。

キム・ジェウォン

MBC「マイラブ・パッチ」で共演した俳優。
当時、爆発的な人気を誇る2人が出演したため、「マイラブ・パッチ」はそのスタートから大きな関心を集めた。チャン・ナラが悪女に変身するといった設定で、さらに話題を呼ぶことになった。しかし、この作品でチャン・ナラは本当の悪女ではなく本来は善良なのに誤解される役であったし、前作のように、よくミスを犯す明るいキャラクターという点も同じだった。従来のイメージを繋げて持っていることで、完全なイメージチェンジとは呼べない曖昧な選択だった。また、「明朗少女成功記」の放送終了後、わずか3ヶ月後にもう別の作品に入ったことで、人々に彼女のイメージが急速に消費された。「マイラブ・パッチ」の放送終了直後、リリースされた2枚目のアルバム「Sweet Dream」は、当時のチャン・ナラのジレンマを見せてくれる。アルバムジャケットでのチャン・ナラは子どものような姿だが、ただ可愛いというよりも“異様”な感じを強調した。また、タイトル曲「Sweet Dream」のプロモーションビデオは、チャン・ナラを完全に子どものように作ってしまい、チャン・ナラの従来のイメージを極端に押し付けた反面、タイトルから印象的な「ひとりでも平気よ」では、成熟した歌声が盛り込まれていた。従来のイメージも、変身も必要だった。“妹”キャラクターのジレンマ。

パク・ジョンチョル

映画「オー!ハッピーデー」で共演した俳優。
「オー!ハッピーデー」は、ヒロインがワントップという、当時では珍しい映画だった。それほど、チャン・ナラの人気に頼った作品でもあった。しかし、当時、チャン・ナラはドラマやCMに絶えず出演し、急速にイメージが消化されており、「オー!ハッピーデー」は、作品性と興行収入の両方で失敗してしまった。もう少しゆっくり自分のイメージを変化させることができていれば、より良い結果が出たかもしれないが、当時のチャン・ナラは、「人気とお金を手に入れた後、私にさえもどうすることもできず、私の人生が流れていくのではないかと怖かったりする」と言ったほど、活動を止めることもできない状況だった。また、「撮影現場の雰囲気もよく分からなかったし、呼吸もドラマと違った」という映画撮影を、彼女は息苦しく感じ、次から次へと続くスケジュールは疲れをより積もらせた。チャン・ナラ自ら「その時は、ただ芸能人だったと思う。暇ができたら車の中にいたし、監督や撮影監督にも無関心だった。一緒にする作業の楽しさと言うか、そういうことを知らなかった」と言った時代。

リュ・シウォン

KBS「ウェディング」で共演した俳優。
チャン・ナラは「ウェディング」で相当な変化を見せた。ロマンチックな愛を夢みたが、結婚の現実に目を向けて苦しむ彼女のキャラクターは、彼女の従来のイメージを維持しながらも成熟な女性に自然に変身させ、コミカルな姿を排除して、結婚生活から来る葛藤を表現する演技は、チャン・ナラを本当の大人として見えるようにした。またチャン・ナラは、「ウェディング」の前にもMBC週末ドラマ「恋がしたい」でより憂鬱なキャラクターを演じた。「ゆれながら咲く花」を通じて視聴者に近づく前から、チャン・ナラは大人として自分の姿を見せようとした。しかしチャン・ナラは、「ウェディング」で人々から大きな反応を得ることができないまま、大きな人気を得た中国での活動に集中したため、「ウェディング」以後、長い間、ドラマに出演せず、大人になった自分の姿を見せるチャンスは少なくなった。チャン・ナラへの熱は過ぎていき、“妹”は大人になった。しかし、その間の成長を見せる方法はなかなか見つけられなかった。

チュ・ホソン

チャン・ナラの人生に、最も大きな影響を与えたと言っても過言ではない彼女の父親。
チャン・ナラは、テレビに出る父の演技を真似しながら役者への夢を育てた。チュ・ホソンは、チャン・ナラのマネジメントはもちろん、ホームページの管理やチャン・ナラの近況を伝えるインターネット放送を行った。それほど、娘に対して大きな関心と努力を注いでいたし、チャン・ナラは幼い頃、家庭環境が裕福ではなかったのにも関わらず、ボランティア活動を行う母親の影響や父親の積極的な勧誘により、寄付活動に参加した。しかし、父親がマネジメントを担当するということは、チャン・ナラの活動に父親が過度に関わっているというネガティブな視線を受けることにも繋がった。これについてチャン・ナラは、「父親が一緒にいてくれるので、より誠実に仕事ができる」と言い、中国では父親に対するネガティブな考えがないので活動しやすい面があるとした。しかし、真実とは別に、父親が自分で娘のマネジメントを行い、娘の活動についてメディアに直接意見を表現することは、娘を守るという面では良かったが、その分リスクもあった。特に、チュ・ホソンが制作し、チャン・ナラが主演した映画「空と海」は、公開する前から大鐘(テジョン)賞映画祭の候補に選ばれ、この作品に出演したユ・アインが制作者であるチュ・ホソンが権限の範囲を超える行動を取ったと主張し、非難を受けた。チャン・ナラは、ただ出演者に過ぎなかったが、制作者の娘という理由だけで事実であるかどうか関係なく、その非難の影響を受けるしかなかった。また、娘の活動について父親の影響力が大きいという視線がある状態で、「空と海」に対する避難は、チャン・ナラが過去のイメージから抜け出すことをさらに難しくした。チャン・ナラは、年も十分取ったし、成熟したいという意志もあったが、人々にそれを伝えることにおいて限界があったわけだ。もしかしたら、チャン・ナラの20代は父親と一緒に成長していくと同時に、父親を乗り越えなければならなかった時代だったのかもしれない。

リュ・ジン

KBS「童顔美女」で共演した俳優。
「童顔美女」で、チャン・ナラは童顔であるため自分の年齢よりかなり若く見える女性として出演した。自分の人気がトップだった時代のイメージを裏返したことになる。しかし、作品の中のチャン・ナラは、若く見えて可愛いキャラクターではなく、若く見えることで悔しい思いを多くするキャラクターだったし、貧しい家庭環境の中で家族の生計を一人で背負い、職場でも様々な受難を経験する人物だった。外見はとても若く見えたが、30代になった女性の現実は決して甘いものではなかった。「童顔美女」自体は大きな反響を得なかったが、チャン・ナラはこの作品を基点に、自分の成長に似合う役の消化方法を見せてくれた。童顔という幼い顔で、苦しい世界を乗り越えていくことはより大変に見え、これはチャン・ナラの過去と重なりキャラクターに没頭できる接点を与えた。平凡な魅力でスターになった女性が、もう一度、平凡な女性を演じた。そして、30代の女性のキャラクターを演じ始めた。

チェ・ダニエル

「童顔美女」に続き、「ゆれながら咲く花」でも共演した俳優。
チャン・ナラより5歳年下である。2人の中、どっちが童顔でどっちが老け顔なのか分からないが、「ゆれながら咲く花」で2人が共演する姿が自然に見えるのは確かだ。この作品でチャン・ナラが演じるキャラクターは、もうこれ以上若く見えたり可愛かったり世間知らずという設定を持たない。代わりにチャン・ナラは、自分の生徒たちがなんとか無事に次の学年に上がれるように指導し、答えがないように見える現実の中で、いい教育への理想に向かって進む教師の姿を見せてくれる。疲れた目をしたまま、現実にぶつかる度に虚しさを感じるチャン・ナラの表情は、越えることができない壁の前で無力になる教師、もしくは会社員の現実を盛り込む。しかし、それにも関わらず、保護者からのプレッシャーに抑えつけられた生徒をギュッと抱きしめるチャン・ナラの演技は、「ゆれながら咲く花」のメッセージを支える最も大きな力となっている。チャン・ナラが、過去の人気を取り戻すことはできないかもしれない。しかし、チャン・ナラはこれから女優として自分の領域を持っていくことができるだろう。10代から芸能人になる夢を見続けた少女は、華やかで忙しいのと同時に、険しかった20代を過ごし、30代になって10代の子どもたちを温かく抱きしめる大人になった。結局、チャン・ナラは立派に成長した。もう本当に、一人でもうまくやっていける。

記者 : カン・ミョンソク、翻訳 : ナ・ウンジョン