「姉さん」新人イ・ジュスン“生きていると感じる時は、演技する瞬間”

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写真=映画制作所JUNGGAM

柳楽優弥でも、イ・ジェフンでもないイ・ジュスンを覚える方法

「独立映画界のイ・ジェフン、または韓国の柳楽優弥」このような言葉はもう止める時になった。新人俳優のイ・ジュスンは、自身を指すこのような言葉に対し「買い被りだ」と謙遜したが、イ・ジュスンが自ら自身を証明してきた痕跡を見れば、イ・ジェフンまたは柳楽優弥ではないイ・ジュスンをそのまま受け入れる時がきたためだ。

イ・ジュスンが低予算の長編映画「姉さん」で帰ってきた。女優のソン・ユリと共に。“元祖国民の妖精”と息を合わせたが、淡々とした反応だった。1989年生まれ。歌手のFin.K.Lを記憶するには若い。幸い彼は、ソン・ユリをトップ歌手ではなく、女優として覚えていた。「本当のお姉さんみたいに気楽にしてくれた」と撮影当時を振り返るイ・ジュスンは徹底的に同じ俳優としてソン・ユリと息を合わせた。

小さな変身だったが、「姉さん」でイ・ジュスンが見せた真骨頂

映画「姉さん」は、知られた通り小さな一行の新聞記事から始まった作品だ。梅雨の時、急流に巻き込まれた姉を救った弟が代わりに死んだという報道だった。「姉さん」は痛ましい記憶を持って生きる姉に焦点を合わせ、彼女の人生を淡々としながらも温かく描いたヒーリングムービーで、イ・ジュスンは姉(ソン・ユリ)の死んだ弟を想起させるジンホに扮した。

実は、これまでイ・ジュスンは暗いイメージだった。デビュー作「A Cheonggyecheon Dog」(2007)を初め、初の長編主演作「Members Of The Funeral」(2008)、そして「A Confession」(2010)など彼が出演した映画から彼のイメージが作られたためだ。かなり注目されていたイ・ジェフンと比較され始めたのもこのような作品のおかげだった。だが、ほぼ同じ時期に出演した「姉さん」(2010)はまったく違う作品だったし、公開が最近になったことは彼にはチャンスになった。

「観客が泣いたりしながら反応してくれることが不思議でした。温かい映画だったでしょう。これまで前作は余韻は残りますが、憂鬱な役ばかりでした。『姉さん』は痛みを持っている人には慰めになれるし、痛みのない人には周りの人を振り返るようにするヒーリング映画です。今回の映画で僕が演じるキャラクターは荒い性格で悪いこともしますが、それが悪いように映ったらいけないと思いました。これまでの役が孤独な役だったら、今回は寂しい役だと思いました」

孤独と寂しさについて語るイ・ジュスンにその違いを聞いたら「孤独は自分で作る感情で、寂しさは周りから作られる感情だ」と説明した。自身だけの方法で違いを定義していることが、イ・ジュスンが見せる細密な表現の秘訣ではないのかと思った。


“本能型演技”俳優イ・ジュスンの潜在力が発揮され始めた

イ・ジュスンは最近約2年間の軍服務を終えた。彼は、かなり気楽になった表情で「人生の宿題のようなものをあらかじめ解決したかった」と語った。除隊と同時に所属事務所にも入った。これからは彼が持っているものを一つずつ見せるタイミングなのだ。

「中3の時、道端でキャスティングされましたが、詐欺でした。その時は、そのようなことが多かったようです。高校に入学してすぐに演劇部に入り、演劇と短編映画を撮りながら演技のことを習いました。当時サークルができたばかりで僕が部長として活動しながら活性化したいと思いました。

もともとテコンドーをしました。演技は、運動を止めてから始めました。テコンドー選手として活動しようとしましたが『なぜ人を殴らなければならないのだろう?』という気がして止めることにしました。幸い演技をすると言った時、両親が信じてくれました。高校時代にアル・パチーノの盲目の演技を見て初めて俳優は素敵だなと思いました。人を表現し、内面の感情を表現する俳優を夢見ることになりました」

運動をしたからといって“アクション”だけ思い浮かべることは適切ではない。これまでイ・ジュスンをキャスティングした監督たちが自然な彼の感情表現力に魅力を感じたためだ。大学入試のための実技試験を諦めて撮った「Members Of The Funeral」がそうだったし、ホ・ジノ監督の演劇「昼寝」に出演できたことも彼のリアルな表現力のためだったという。

「2本の作品とも特定の台詞でオーディションを受けたわけではなく、監督と自然に対話しただけなのに受かりました。家に帰っては全部落ちたと思いましたが、連絡が来ました。当時演じたキャラクターが感情の変化を見せない役だったし、行き過ぎた感情表現もしないべきだったが、監督が僕のよい面をよく見てくれたと思います。

普段友達と一緒に飲んだり、しゃべったりしますが、演技する時ほどの喜びは感じられません。生きていると感じる時は、演技する瞬間です。人は皆楽しく生きているのに、僕は人より敏感で暗くて口数も少ないです。演技は死ぬ瞬間まですると思います」

彼の簡潔な表現から逆に演技への情熱を大きく感じることができた。ただ「作品が入ってくればそれ一つに没頭するだけ」と言うイ・ジュスンは自身の考えを誇張したり、遠回しに言ったりしなかった。

「頭が悪いからか、ある状況でインパクトを与える演技はできません。ただひたすら台本を見ます。作品を始めると100回は見るようです。それでも下線を引くことはありません。ただ全体を覚えることが僕には気楽だと思います。

僕の長所であり短所です。俳優は陶磁器を作る人と同じだと思います。陶磁器を作る時、付随的なもの、例えばインテリアのようなものに気を遣えばよいものが出てこないです。映画も同じだと思います。映画は、結局台本です。撮影に入っても毎日見ます。やり遂げたシーンにエックスの印をつけますが、その喜びはとても大きいです(笑)」

これから映画界はイ・ジュスンという俳優により注目すべきだと思う。簡潔な言葉遣いに自身の仕事への確かな愛情と哲学がある俳優だった。「『俳優になる前に人間になれ』という言葉を噛み締めている」と言うイ・ジュスンは「演技が上手いという言葉より『あの俳優、とても好き』という言葉が聞きたい」と語った。どんな派手な表現よりも彼が願う最高の賞賛だった。

記者 : イ・ソンピル