Vol.2 ― 放送終了「アラン使道伝」これだから“特別”になるしかなかった

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写真=MBC
どんでん返しを重ね、最後まで手に汗握らせたMBCドラマ「アラン使道伝」。生まれ変わったウノ(イ・ジュンギ)とアラン(シン・ミナ)のハッピーエンドを描き、放送終了した。

最初、このドラマが注目されたのはイ・ジュンギの除隊後、復帰作という点とシン・ミナが幽霊をもう一度演じるという点からだった。

「アラン使道伝」は期待以上に新鮮で魅力的なドラマだった。問題は20部作でドラマが長く、物語の活力がなくなってしまった。そのため、興味を無くしてチャンネルを変える視聴者もいた。

しかし、ドラマ本来のストーリーと俳優たちの演技は興味津々だった。「アラン使道伝」が愛された特別な理由は何かを考えてみた。


バラエティーなジャンル

「アラン使道伝」のジャンルは一言で説明ができない。公式的なジャンルはファンタジー恋愛活劇。ここにミステリー推理劇というタイトルも付けられる。

物語の序盤のポイントは「アラン(シン・ミナ)がなぜ、誰によって殺されたのか」だった。アランは天帝(ユ・スンホ)から命をもらい、この世で真実探しを始めた。

ホンリョン(カン・ムンヨン)が登場してから、物語は新たな局面を迎えた。彼女はドラマを一瞬にしてホラーにした。このときから視聴者の目は「ウノ(イ・ジュンギ)の母であるソ氏夫人がなぜ妖怪になったのか」「妖怪の正体は何なのか」に集まった。

後半ではウノ、アラン、ジュワルの三角関係にフォーカスが当てられた。特に、お互いの気持ちを確認したウノとアランのキスシーンは視聴者をときめかせた。どんな結末を迎えるかを知っておきながらも、二人はお互いへの気持ちをなくすことができなかった。

「アラン使道伝」OSTで、ペク・チヨンが歌う「愛よ、また愛よ」の歌詞に出てくる“運命より運命のような愛”がまさに二人を表現している言葉だ。さらに、二人の真心がハッピーエンドに繋がったので、嬉しいことではないだろうか。


あまりにも悲しいキャラクター


「アラン使道伝」のキャラクターは、それぞれの事情と痛みを抱えていた。

不死を夢見る妖怪ホンリョン。実は、ホンリョンは天上の天女、ムヨンだった。実はムヨンは、一人の男性を本気で愛した女性だった。

死神のムヨン(ハン・ジョンス)とムヨンは恋人関係だった。お互いを求めていたが、結ばれなかった二人は兄妹として蘇った。そして二人は天上で死神と天女として再び出会った。

天上では愛が許されず、ムヨンはこの世行きを敢行した。これでムヨンは妖怪となり、死神ムヨンと悲劇的な運命の前に立つことになった。結局ムヨンは剣で刺してムヨンを消滅させ、自分も命を絶った。

ウノとジュワルは身分に関するトラウマを持っていた。ウノは庶子で、ウノの母ソ氏夫人は謀反者の娘だ。ソ氏夫人は自分の父を謀反者に仕立てたチェデガム(キム・ヨンゴン)を屈従させ、ウノが堂々と生きることを願う気持ちから自分の体をムヨンに渡したのだった。

ジュワルは子どもの頃、ウシのエサを食べて凌いだ物乞いだった。人間らしく生きるという夢を叶えてくれたのがムヨンだった。彼はムヨンの家来になって魂の狩人になった。

このような二重人生を生きていたジュワルの心の中にアランが入ってきた。しかし、かわいそうなジュワルには愛も許されなかった。かつて、イ・ソリムが死んだ理由は内緒で恋を寄せていたジュワルを助けるためだった。

ジュワルはその後、イ・ソリムが自分のために死んだということと、自分がアランを殺そうとしたことを思い出した。すべての真実を前にしたジュワルは自殺を選んだ。「もし、あなたに出会っていなかったら、その時はあなたの後ろだけにいようと思う。遠くから見守る影になる。あなたを愛さない」という言葉を残して。後にジュワルは死神になった。

俳優たちの好演、美しかった

キャラクターがより生き生きと表現できた理由は、俳優たちの好演のおかげだった。

シン・ミナは「アラン使道伝」を通して様々な魅力をもっている女優であることが証明された。ドラマ序盤でシン・ミナは走り飛び、不思議な魅力のおてんばなアランを表現した。シン・ミナの活躍は視聴者の視線を惹き付けた。シン・ミナが見せた姿は「僕の彼女は九尾狐」のときとあまり変わらず、そのときと同じく可愛らしかった。

あわせてシン・ミナは、イ・ソリム時代を演じるときは清純で女らしかった。恋に落ちた女の心理を淡々と描き、好評を受けた。シン・ミナは二つのキャラクターを行き来しながら様々な魅力をアピールした。

カン・ムンヨンこそがこのドラマでもっとも恩恵を受けた人ではないだろうか。初登場から凄まじい存在感を示したカン・ムンヨンは、目を見開いたとげとげしい表情で視聴者の荒肝を抜いた。カン・ムンヨンはソ氏夫人を表現するときは、ホンリョンとは異なる一面を披露した。ソ氏夫人とホンリョンが顔が同じだけで、ほかの人物であることを感じられる演技だった。

イ・ジュンギもクールで正義感のある使道の一面を描いた。特に彼は母とアランに対する切ない恋を繊細に表現した。ヨン・ウジンは暗鬱で悲しく見えるジュワルの感情を上手く引き出したという評価を受けている。


それだけでなく、クォン・オジュン、ファン・ボラ、そして官庁の3人組であるキム・グァンギュ、イ・サンフン、ミン・ソンウク、ゴドル役のキム・ミンジェなどが名脇役として視聴者から愛された。

最終回を迎えた「アラン使道伝」の後続番組としては、JYJのユチョン、ユン・ウネ主演の正統派ラブストーリー「会いたい」(脚本:ムン・ヒジョン、演出:イ・ジェドン)が放送される。

記者 : ソン・ヒョジョン