「後宮の秘密」キム・ドンウク“撮影中、本当に死にかけていました”

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すぐにでも涙をこぼしそうな、儚げな瞳の持ち主、キム・ドンウク(28)は、小心で幼弱なソンウォン大君からまだ抜けられそうもない様子だった。

純粋な少年のようなこの男は、韓国で来月6日に公開される映画「後宮の秘密」(監督:キム・デスン、制作:ファン・ギソン社団)で、すべてを手に入れるものの、心から求めているたった一人の女性を手に入れられなかった寂しい帝王を、重みのある演技で表現した。

「今も“ソンウォン大君”に酔っていると言えば、それは嘘になるでしょう。しかし、まだその香りが残っているんです。ソンウォン大君の香りが、とても強かったんでしょうね。後遺症が長引いています。この後遺症は、映画館での上映が終わる頃までは続きそうです」


ソンウォン大君は「後宮の秘密」の俳優たちが作ってくれたエキス

衝撃的なベッドシーンを大々的に取り上げ、観客の期待を思う存分膨らませた「後宮の秘密」が、21日のマスコミ向け試写会でそのベールを脱いだ。キム・ドンウクはテストの結果を待っている学生のような重い表情だった。彼の出演作の中で最も衝撃的だったこの映画について聞くと、「複雑」と「微妙」という言葉を口にした。

「色々と、考え込むようになりました。どんな反応でも、言葉でも気になります。このシーンはどんな感じに見えるのだろうか?観客は好きだろうか?嫌いだろうか?などなど。複雑な気持ちで、結果を待っています」

キム・ドンウクが複雑な思いを抱いていることには、それだけの理由がある。映画の序盤と中盤、そして後半に至るまで、多様に変わっていくソンウォン大君の感情の変化を演じることには、悩みもたくさんあった。ソンウォン大君の悲しみを瞳に秘めている彼の演技を褒めてみても、返ってくるのは自身を低く語る謙虚な言葉だけだった。

彼は「シナリオを見てキャラクターやシーンを分析し、大体の感じを頭の中で描きますが、いざ監督のアクションサインが入ると、頭の中に描いた細かい部分までに気を配ることはできませんでした。だから、きちんとした軸を立て、その軸から離れないようにする程度の感覚で演じました」と話した。

“計算された演技”は嫌いだというキム・ドンウクは、演じる役をできるだけ忠実に描くように心がけ、書道半紙に墨汁を落としたように、徐々にソンウォン大君の姿に染まっていった。

「僕の眼差しが良かったなら、それはすべて共演した俳優たちのおかげですね。相手の俳優がエネルギーと集中した姿を見せてくれたので、僕もそれだけ役に溶け込むことができました。『後宮』ではキム・ドンウクは消え、ソンウォン大君だけが存在していなければならないのですが、共演した俳優たちがそれを可能にしてくれました。ソンウォン大君という人物は、『後宮』のすべての俳優たちが力を合わせて作ってくれたものなんです」


気楽に撮ったシーンは一つもない

映画の後半、激しい狂気に満ちてしまったソンウォン大君は“男性版ブラック・スワン”を連想させ、映画の緊張感を高めた。彼は愛を求める寂しい帝王を表現するために常に気を配り、その分プレッシャーを感じて、辛かったという。

特に映画の最後のシーンは、キム・ドンウクが全身の細胞まで集中させ、念入りに撮影したシーンだ。ファヨン(チョ・ヨジョン)とソンウォン大君の激しいベッドシーンと、衝撃的などんでん返しが相まって、実に残酷な結末となった。

「実際、僕もあの時どうやって演じていたのか、詳しくは覚えていません。僕がどんな表情で、そんな行動をしたのか、全く記憶にないです。劇中のベッドシーンそのものの感情の変化が複雑で、難しいんですね。撮影する前に“どうか明日は僕ではない僕の姿であるように”と祈ったりしていましたが、その僕の悩みがベッドシーンに盛り込まれていると思います」

ゆったりとして穏やかそうなキム・ドンウクが、野望を抱いて撮影したシーンだった。知れば知るほど向上心の強い、気迫のある俳優だ。

キム・ドンウクは「何か想像でき、予測できる範囲内に僕が留まっていてはならないと思いました。大きな軸は知っていても、その中で感じられる詳細な部分とその衝突はそれ以上のものが出てほしかったんです。実際にそうだったと思います」と当時の状況を語った。

「ソンウォン大君の息がガクンと絶えつつあったその時、僕も実際に息をすることができませんでした。監督がはっきりと『カット!』と叫んだのに、息ができなくて驚きました。ソンウォン大君にどっぷりとハマっていたんですね。『あ……僕、ここで死ぬかも』と思ったほどでした。死ぬ時は、目の前にこれまでの人生が走馬灯のように見えると言うでしょう。あの時、僕の目の前にもそのような幻影が見えたんです。今もあの時を思い出すと、鳥肌が立ちます。僕、本当に死にかけていました」

キム・ドンウクは3日間も相手と抱き合って撮影しなければならなかったこのシーンを、最も大変だった瞬間のNo.1に挙げた。そして「『後宮』は、今思い出しても本当にどのシーンも気楽に撮影することはできなかった愛憎の作品です」と身震いした。

最後に、彼に「後宮の秘密」を通じて観客にどんなところをアピールしたいのかと聞いた。「とてもたくさんの方から受けた質問ですし、最も難しい質問でもあります。観客に信頼を与えられる俳優になりたいです。“キム・ドンウクなら信頼できる”と思って映画を見てくださった観客を裏切ってはなりませんからね。なので、僕はすべてのシーンで辛い気持ちとプレッシャーを思いっきり背負って撮影に臨みましたよ、ハハハ」

記者 : チョ・ジヨン、写真:ムン・スジ