「愛だと言って」キム・ヨングァン“役作りのためあえてイ・ソンギョンとの接触を避けた”

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写真=The Walt Disney Company Korea
俳優キム・ヨングァンのフィルモグラフィーにおいて最も寂しげなキャラクターではないだろうか。前作「サムバディ」で殺人犯を演じた彼が、「愛だと言って」では愛してはいけない相手に恋をするキャラクターのドンジン役を務め、180度異なる魅力を届けることに成功した。

キム・ヨングァンはソウル鍾路(チョンノ)区のあるカフェでインタビューを行い、作品について語った。

―― 放送終了の感想を教えてください。

キム・ヨングァン:視聴者の皆さんがたくさんの関心を持って、ドラマのロマンスや感性を好きになってくれてとても感謝しています。撮影しながら、とても心配していたんです。これを理解してもらえるだろうか、こんなか形に共感してもらえるだろうかと心配したけれど、すごく共感してもらえて嬉しく思います。他の作品をやっていて、この作品(の撮影)が終わってかなり時間が経ったけれど、余韻はずっと残っています。ドンジンという人物が持っている寂しさ。そんな人物が多くはないですので。放送中なので思い出しました。

―― イ・ソンギョンさんとの共演はいかがでしたか?

キム・ヨングァン:元々知り合いだったので、気楽に演じられました。撮影がない日は食事会もよくやりました。ドラマのキャラクターやストーリー、演技の話が気軽にできて良かったです。共演中、ドンジンというキャラクターの雰囲気をきちんと作ろうと、わざとイ・ソンギョンさんを避けたりもしたんです。彼女はムードメーカーでした。撮影中に一緒にはしゃぐと、監督が「ドンジンがなぜ笑っているの?」と言いました。そういったところが自然に顔に出るというのが分かり、役のために(イ・ソンギョンと)わざと距離をとったりもしました。

―― キム・ヨングァンさんご自身はどんなタイプの人間ですか?

キム・ヨングァン:僕も徐々に好きになっていくタイプです。知っていく過程が重要だと思います。相手について知っていく中で燃え上がるようなこともあると思いますが、少しずつ知ることでその人を認め、それが積み重なると思います。

―― 「サムバディ」と「愛だと言って」では、演じるキャラクターが全く違いましたね。

キム・ヨングァン:「サムバディ」の撮影が終わって3週間休み、すぐに「愛だと言って」の撮影を開始しました。間隔が少し短かったです。早く進行したのもあって、「サムバディ」が上手く消えてドンジンがすんなり入ってきました。前作の後遺症が残って大変だとか、そういうことはありませんでした。

―― 新しいキャラクターを迎える方法にはどんなものがありますか?

キム・ヨングァン:コツまではいかないけれど、あえて何かを念頭においたりすると、もっと難しくなる感じがします。早く前作のキャラクターが抜けるようにして、自然に新しいキャラクターを馴染ませる。頑張ると逆に難しくなります。僕は流れに任せるタイプです。自然に入ってきて、去る時間を与えます。プレッシャーを与えようとするタイプではありません。持ちはするけれど、それについて1日中考え、克服しようと努力する方ではありません。

―― 演技に対しては満足していますか?

キム・ヨングァン:演技をする立場として、満足することは簡単ではありません。ウジュ(イ・ソンギョン)とドンジンの恋を積み上げていく中で、「これから恋愛をするから、こう演じよう」など、狙ってやったものはありませんでした。現場の状況に任せ、ただ続けて演技をしただけです。でも満足はしていません。もっと上手くやるべきだったと考えます。

―― イ・ソンギョンさんも流れのまま演じたと言っていました。

キム・ヨングァン:(それについて)特に話してはいないけれど、それぞれがそう感じたみたいです。監督は「俳優たちに任せる」と言ってくれる方です。それぞれが演じたいようにやりました。

―― この作品を選んだ理由は何ですか?

キム・ヨングァン:監督とは以前他の作品で仕事をしたことがありました。終わってからも「もう一度仕事がしたい」と思って、時々連絡をしていたんです。「愛だと言って」で再会できて良かったですし、前よりもずっとリラックスしてできました。

―― 特に愛着のあるシーンはどこですか?

キム・ヨングァン:心惹かれるシーンはあります。自分の寂しさを語る第4話の最後のシーンで、全力を尽くしたと思っています。すごく心を込めましたし、リアルに演じたいと思っていました。そのため記憶に残っています。ウジュが慰めてくれたククス屋のシーンも印象的でした。個人的に好きなシーンは、序盤でウジュの家族が仕方なく家を空けることになった時に、3人の家族の淡々としている感情がすごく心に響きました。ジグ(チャン・ソンボム)が3つのぬいぐるみを置いておくシーンがすごく良かったです。

―― 寂しい人物を演じる時、難しいところはありましたか?

キム・ヨングァン:僕も常に寂しさは感じていますし、誰もがそのような感情は持っていると思います。表現の仕方がどう異なってくるかは分からないけれど、ドンジンにもそんな寂しさがあったと思います。傷つくのが怖くて線を引いて行きていく人物だと思いました。彼は誰かと会話をする時にあまり反応がない人として主に表現しました。ドンジンの寂しさ、切なさを淡々とした態度で表現しました。

―― 寂しげな背中の演技はどのように演じたのでしょうか?

キム・ヨングァン:自分がどうにかできるものではなく、カメラ監督がアングルをとても上手にとらえてくれました。シーン毎に俳優たちが頑張らなくても気持ちが感じとれるように構図を上手く考えてくださいました。

―― スタイリングのポイントはありましたか?

キム・ヨングァン:着たきり雀を考えました。毎日同じ服で会社に行く人かな?「あの人はなぜ毎日同じ服なのだろうか?」と思わせるような。スーツも5着あるけれど、Tシャツだけ着替えて。靴も2足あるけれど、1つだけ履く。鞄も1つ。人物として、時間が経っても“留まっている人”に見えてほしいと思いました。

記者 : パク・ソリ