「黄金の帝国」コ・ス“ロマンスがなくてさらに惹かれた”

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写真=BHエンターテインメント
人間は変わり続けるものだ。作品ごとに違うキャラクターを演じる俳優は、さらにその幅が広いはず。ロマンチストだった俳優コ・スも確かに変わった。

今月11日、SBS月火ドラマ「黄金の帝国」(脚本:パク・ギョンス、演出:チョ・ナムグク)の放送終了を前に行われたインタビューでコ・スに会った。向かい合って座った彼から、劇中の冷徹なチャン・テジュの姿は見られなかった。豪快な笑いは魅力的であり、優しいマナーは印象深かった。特にコ・スは思慮深い男だった。どんな質問を投げても心を込めて答えようとする姿勢がとても印象的だった。

チャン・テジュとして4ヶ月間生きてきたコ・スに、真っ先に放送終了の感想を聞いてみた。彼は「面白かった」と強調した。続いて「ドラマは重い感じがあったけれど、よかったと思う。僕が有名な脚本家や監督、スタッフと共にこのようなドラマに出演できるチャンスは滅多にない。気楽に演じられたし、素晴らしい方々と一緒に撮影したので、長く記憶に残ると思う」と付け加えた。

変化するチャン・テジュを演じることは楽しかった

「黄金の帝国」は、コ・スの「クリスマスに雪は降るの?」以来4年ぶりのドラマ復帰作だ。さらに、「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)チームが再集結した次回作の主人公であったため、さらに関心を集めた。チャン・テジュに変身したコ・スは純粋な男と野望を抱く男を行き来するキャラクターを演じた。前作とはかなり違った。ロマンチストだった彼が180度変身した姿で視聴者と出会ったのだ。それでも自身にぴったりの服を着たようにチャン・テジュを表現し、絶賛された。

「チャン・テジュには20年もの歳月の変化がありました。最初は大学を卒業したチャン・テジュから始まりました。その後、黄金の帝国を手に入れようと野望を抱くようになりますので、そのことも考えながら演じようとしました。それで若いチャン・テジュはさらに厳格な人物として表現しました。歳月が過ぎるにつれてさらに余裕が出てきて、老練な姿を見せるためにある程度計算をしました。現在に至っては、頭脳戦が中心になるため、その過程でも少しずつ変化を与えられたと思います」

歳月が流れた分だけ、コ・スはヘアスタイルや衣装などにも変化を見せるために努力した。それでもコ・スには明らかに足りなかった部分があった。彼は「チャン・テジュを演じることは本当に幸せだった。しかし、最近は過去の回想シーンが多く出てくるが、ヘアスタイルもそうだし、なぜあんなにダサいのか分からなかった」とウィットのある答えをした。続いて「時間が過ぎるにつれ、少しずつ変化をつけたが、それも面白かった」と話した。

「ソン・ヒョンジュ兄さんを見るだけで嬉しくなった」

コ・スはソン・ヒョンジュ、イ・ヨウォン、キム・ミスク、チャン・シニョン、リュ・スンスなどと共演した。先輩俳優たちとの演技はコ・スにとって二度とない時間だった。それだけ感じたことも多かった。

「パク・グンヒョン先輩は尊敬していますし、好きですが、一緒に演技することができなかったので残念でした。キム・ミスク先輩は本当に現場で後輩たちをリードしてくださいました。先に冗談を言ってくださったり、たくさん話しかけてくださいました。本当に驚きましたが、気さくに接していただき嬉しかったです。リュ・スンス兄さんとは映画『高地戦』でご一緒したことがあり、また演技することができ本当に良かったです。イ・ヨウォンさんとチャン・シニョンさんも演技が上手な方々なので、共演するにあたって大変ではありませんでした」

特にソン・ヒョンジュとの対決はどのキャラクターよりも熾烈だった。息の詰まるような二人の強烈な演技は当然のことながら話題になった。しかし、二人の間には誰もが予想できなかった結末が隠されていた。

「先輩のことが本当に好きです。それで、最初は集中できなくて大変でした。(ソン・ヒョンジュさんと)対立する演技をしなければならなかったのですが、顔をしかめるのが難しかったです。ヒョンジュ兄さんを見るだけで嬉しくなって、自然と笑顔になりました。僕は笑うと顔にしわが出来てしまうので、シャープに見えません。どうしたら笑わないでできるだろうか、かなり悩みました。それが大きな課題でした。また、ヒョンジュ兄さんから撮影前や後に結構いじられました。正直、ヒョンジュ兄さんが何もしなくても気分がよかったです。長く付き合ってきたような感じでした。そう感じたのは僕だけでしょうか?(笑)」


「チャン・テジュは恋をする余裕のない人物」

「黄金の帝国」にはありきたりなラブストーリーはなかった。もちろん、チャン・テジュとユン・ソリ(チャン・シニョン)の恋愛が描かれたが、それが中心になることはなかった。チャン・テジュとチェ・ソユン(イ・ヨウォン)も結婚を“取引”と思い、生きている。そのためだろうか。一部の視聴者からはラブストーリーを期待する意見も出ていた。

「僕も“チェ・ソユンがチャン・テジュを愛する”、“チャン・テジュはユン・ソリとは切り離せない”などの声を聞きました。しかし、よく分かりません。チャン・テジュはあまりにも野望だけを追いかけているため、一般的な恋という単語は頭の中になさそうな気がします。ユン・ソリも同僚の情であり、帰る場所がある家のような存在であり、恋ではないと思います。正直、チャン・テジュは恋をする余裕のない人物です。チェ・ソユンとも取引だと何度も話をしていますし。チェ・ソユンがチャン・テジュに恋することはあっても、チャン・テジュはまったくないと思います」

ラブストーリーがないことについてコ・スはどう思っているだろうか。彼は「『黄金の帝国』はロマンスがなくて惹かれた。これまで僕は恋愛ものにたくさん出演した。そのため、『黄金の帝国』が凄く新鮮で、新たな作品に出演できる経験になると思った。ラブストーリーは次の作品でもお見せできる」と率直に打ち明けた。

「黄金の帝国」の視聴率は期待とは裏腹に低迷した。8.5%でスタートした「黄金の帝国」は一時期、視聴率が一桁に止まる苦戦を強いられた。終盤に行くほど11%台を維持し、月火ドラマの2位の座を守った。これについてコ・スは「視聴率が作品の基準になってはならないと思う。作品として見るべきだ。多くの方々から良い作品として評価されている。おかげで胸がいっぱいで元気が出る」と明かした。

コ・スはチャン・テジュを通してロマンチストはもちろん野望家まで、どんなキャラクターにも変身できる俳優であることを証明した。変身の鬼才コ・スがまたどのようなキャラクターで帰ってくるかに注目が集まる。

記者 : パク・グィイム