映画「クモの巣」ソン・ガンホ“監督は難しい仕事…自分にはできない”

OSEN |

写真=BARUNSON E&A
映画「クモの巣」で主演を務めたソン・ガンホが、映画のビハインドについて語った。

最近、ソウル鍾路(チョンロ)区昭格洞(ソギョクドン)のあるカフェで映画「クモの巣」に出演したソン・ガンホのインタビューが行われた。

「クモの巣」は1970年代、一度撮り終えた映画「クモの巣」の結末を撮り直せばもっと良くなるという強迫観念が強いキム監督(ソン・ガンホ)が、検閲当局の妨害と変わった内容が理解できない俳優、制作者など、頭がおかしくなる一歩手前と言えるほどの悪条件の中、撮影を敢行したことで起きる出来事を描いた。

ソン・ガンホは「『パラサイト 半地下の家族』以来、約4年ぶりに対面インタビューを行っていると思います」とし、「いつも慣れたパターンの映画をご覧になっていた方々が、少し見慣れない、形破りなところがある『クモの巣』をご覧になったらどのように思われるだろうかと反応が気になっています。最近ではOTT(動画配信サービス)など様々なチャンネルを通じて映画館に行かなくても簡単に見られるコンテンツが多いじゃないですか。そのため映画だけが持つ映画の味を感じることが本当に貴重な時代になったと思います。(『クモの巣』にある)映画だけが持つエネルギーを楽しんでいただき、喜んでもらえのではないかと思っています」と心境を語った。

撮影の感想については「『クワイエット・ファミリー』『反則王』『JSA』『殺人の追憶』の現場で感じたことを今回撮影しながらたくさん感じたんです。休憩時間に、チョン・ヨビンさんと一緒にコーヒーを飲んでいた時の言ったことですが、約25年前、俳優たちと息を合わせ、情熱的で、ワクワクしてエネルギー溢れるその時の雰囲気を『クモの巣』を撮りながらたくさん感じていると話しました。もちろん、その間に撮った作品にも大切な価値があるけれど、俳優たちと息を合わせる過程であの時の感情を抱いたのは久しぶりでした」とし、「これまで一人で演技し、話を進めていく映画を主にやってきたと思います。でも今回のように6、7人が一つの空間で息を合わせながら密度を高める作業は、『クワイエット・ファミリー』以来、久しぶりだと思います」と伝えた。

「クモの巣」は、ソン・ガンホが「クワイエット・ファミリー」から「反則王」「グッド・バッド・ウィアード」「密偵」に続き、キム・ジウン監督と7年ぶりに息を合わせる作品として、期待が高まった。久しぶりにキム監督と息を合わせた彼は「普通、一つの作品をやって同じ監督に会うためには、それくらいの時間がかかると思います。ポン・ジュノ監督は10年ほどかかりました」と笑い「キム・ジウン監督はご存知のように、ジャンルに変化を与えて新たな映画を撮る方です。そのため、一緒に作品を作ることになるとすごくワクワクするんです。映画旅行に行くような感じがします。『今回はまたどんな旅行をするのだろうか?』とワクワクしますし、怖くもあります。なぜなら『今回はどのように人を苦しめるだろうか』と思うからです」と冗談を言った。

それから「以前は現場で様々な試みをして変えたりもしました。おそらく『グッド・バッド・ウィアード』の時まではそうでした。本当にものすごく苦労しました」とし「しかし、産業的にシステムが大きく変わって今はそれができません。その時も長所があったけれど、短所もありました。今は徹底して準備ができていないと撮影ができません。そのため、前に比べれば監督が僕にプレッシャーをかけることはありませんでした。その代わり、他に難しいところはありました。完璧に準備しなければなりませんので。演技もカメラの前であれこれと何度もやることができました。でも、今はフィルムを使ってもいないのに、そうすることはできません。俳優も自分の台詞や演技を予め完璧に準備した状態で最初のテイクからやり遂げなければなりません」と説明した。

特に彼は、「以前は撮り終えたシーンを撮り直しても良い環境だったので、ある作品は8回も撮影したことがあります。どの作品なのかは申し上げられません」と笑い、「その時『こうして100回撮ることもできる』と言った時、監督がとても喜んでくれました。それは本心でした。実際に撮り直したものが以前撮ったものよりすごくよかったからです」とつけ加えた。

キム・ヨル監督を演じた感想も伝えた。彼は「監督は簡単な仕事ではないと思いました。(以前は)監督が少し楽に見えました。カメラの後ろで俳優たちを楽に見ている人だと思ったけれど、キム・ヨルのように誰も責任を負えない苦痛の中で決定を下さなければならず、苦悩の中で創作活動をしなければならないことは、一介の俳優には手に負えないことだと間接的に感じました」と打ち明けた。これと関連し「監督になりたいと思ったことはないか」と聞くと、「このような質問をたくさん受けますが、監督は誰もができるものではありません。多芸多才な能力、情熱などが僕にはないと思います。僕は俳優で精一杯です」と笑い、「20年前からポン・ジュノ監督も、パク・ジウン監督も僕の背中を押したけれど、丁重に断りました。その時多くの俳優が監督に挑戦したので話しただけで、僕に才能が見えて話してくれたわけではないと思います。真剣でもなかったはずです。社交辞令だったと思います」と冗談を言った。

また「キム・ヨルが混沌の中でラストシーンを撮る時の姿は、僕がキム・ジウン監督と作った『グッド・バッド・ウィアード』の撮影現場でたくさん見たことです。当時、中国の砂漠に100日間いました。明日飛行機に乗らなければならないのに撮り直したいシーンもありましたし、でも時間は限られていて、情熱は溢れていたので狂気のるつぼの中で撮影した覚えがあります。(キム・ヨルの)そのような姿を見ると、その時がオーバーラップします。それがキム・ジウン監督だけでなく、映画監督の全体的な気持ちではないかと思いました」とし「しかし、キム・ジウン監督はどっしりとしている方です。キム・ヨル監督のようではなく、むしろ落ち着いていて静かな方です」とつけ加えた。

「クモの巣」を通じてイム・スジョン、オ・ジョンセ、チョン・ヨビン、f(x)のクリスタルなど様々な俳優と共演した感想も語った。彼は「監督も監督ですが、俳優たちともすごく息が合いました。監督の役をやりながら俳優たちを見ていたら、僕もその中で演技したくなるほど興味津々でした。作品の中の映画のシーンはすべてモノクロじゃないですか。すごくカッコよく見えたんです。僕もあそこに入って演技したいと思わせるほど、映画に出演する俳優たちの演技がとても良かったです」と絶賛した。

俳優たちへの賞賛も惜しまなかった。チョン・ヨビンについては「いつも規定されていない感情が出てくる女優です。そこからくる生き生きとした感じと躍動感に驚きました。どこに飛ぶか分からない、そんな躍動感です。予想できなかったキャラクターと予想できなかった演技が飛び出すことに驚きました」と振り返った。また、クリスタルについては「『エビギュファン』という作品を観て『態度が良い』と思いました。歌手が女優に転向する時は、最初からメインストリームにある作品、あるいは役をやりたがるのが普通ですが、話を聞いてみたら小さな短編など、下からきちんと作品に出演する姿を見てとても印象的で、たくさん称賛しました」と伝えた。その他にも「イム・スジョンさんも強烈なメイクから本当に愚直に、エネルギーそのものを見せてくれたと思います。チャン・ヨンナムさんにはいつも驚かされます。オ・ジョンセさんも印象的でした」とつけ加えた。

特別出演で印象深い演技を見せた俳優チョン・ウソンについても話した。彼は「当時、チョン・ウソンさんがキム・ソンス監督の『ソウルの春』という映画を地方で撮影していました。でも『クモの巣』のために来てくれて2日間撮影しましたが、それは決して簡単なことではないと思います。距離や時間の問題もありますが、気持ちと誠意がなければできないことです。同僚俳優としてそばで見守って、とても感動的でした。撮影後、すぐに車に乗って地方に行く後ろ姿を見た時、ありがたくてジーンときました」と回想し、「もちろん、チョン・ウソンさんは他の多くの作品で良い演技を見せてくれたけれど、『クモの巣』での姿は本当に新鮮でした。狂気じみた姿にとても驚きました。彼にはジェントルマンでカッコいい姿もあるけれど、観客の方々にとってチョン・ウソンさんのこのような姿は初めてだろうと思いました」と明かし、期待を高めた。

俳優ソン・ガンホの考えも聞くことができた。彼は「『クモの巣』を僕が選んだように、韓国映画が溜まらず、常に一歩でも進まなければならないという常に思います。それが興行的に失敗し、コミュニケーションに失敗しても、このような試みがなければ、本当に僕たちが典型的な映画をずっと繰り返すしかないですし、撮るしかありません。このような姿は避けなければならないのではないか、という考えで小さな努力をしてきました」とし「作品を選択する基準も、このような部分が一番重要です。もちろん色々な基準があります。監督がどのようなビジョンを持っているのか、この話がどれほど観客と密接にコミュニケーションできるかなどの点を見ますが、一番大きいのは韓国映画が溜まった水ではなく、一歩でも進むことができるということを示す作品なのかどうかです」と強調した。

最後に「他のメカニズムを悪く言うわけではありませんが、映画だけが持つエネルギーと表現、喜悦はとても大切だと思います。約2時間の映画の中に僕たちが話そうとすること、観客に与えたい話を最も効果的に盛り込むため、台本や演技、演出などすべてのエネルギーが入っています」とし「『クモの巣』というタイトルを見たら少し難解な感じもします。これってホラー映画? 難しい映画? と思われるかもしれません。先入観があるかもしれませんが、とても映画的な映画です。タイトルに先入観を持たず、新しい映画を鑑賞するという気持ちでご覧になれば、とても面白いのではないかと思います」と呼びかけた。

記者 : リュ・スヨン