「九家の書」チェ・ジニョク、7年間の努力の末ク・ウォルリョンに出会った

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久しぶりの“大当たり”だった。先月25日に放送終了したMBCドラマ「九家の書」のチェ・ジニョクは、本人とドラマの両方が“ウィン-ウィン(win-win)”の関係になるキャスティングにより、最近あまりいなかった新しいスターの誕生を予告した。視聴者にはまだ見慣れていない顔かもしれないが、彼は芸能界で非常に長い時間をかけて努力してきた。2006年KBS「サバイバルスターオーディション」で大賞を受賞してデビューし、これまでKBS「愛しの金枝玉葉」、SBS「私の娘コンニム」、MBC「パスタ~恋が出来るまで~」、SBS「大丈夫、パパの娘だから」、tvN「ロマンスが必要」などで様々なキャラクターを演じ、視聴者と会ってきた。しかし、ドラマのキャラクターとして強烈な印象を与えたのは、今回の「九家の書」が初めてである。本来は歌手志望生だった彼は、「九家の書」のOSTを歌い各音楽チャートで1位を席巻するなど、しばらく忘れていた歌手の夢も叶えることができた。「僕にこんな日が来るとは思わなかった。すべてが夢のようだ」という彼が語る“ク・ウォルリョンのすべて”を聞いてみた。

―撮影当時、ク・ウォルリョンのキャラクターがこのように大きな関心を集めると予想したのか?

チェ・ジニョク:いや……ドラマが人気を集めるとは思ったが、ク・ウォルリョンのキャラクターがこんなにたくさん愛されるとは思わなかった。上手く作られた作品の中でキャラクターがよく描かれた結果だと思う。

―短い登場だったが、存在感が大きかった。撮影しながらもプレッシャーを感じたと思うが。

チェ・ジニョク:ク・ウォルリョンが出るシーンは平凡なシーンが一つもなかった(笑) でも、過度に欲張らず、僕にできることだけを見せようと思った。もし欲張って大げさに表現すると、視聴者も違和感を覚えるだろうだから。できるだけ自然に演じようと思った。

―ドラマの成敗を左右する第1、2話に初登場し、一気に話題を集めた。ドラマの前半にまだあまり知られていない俳優を投入することは、製作陣にとって大きな冒険だったと思うが。

チェ・ジニョク:僕が制作側だったとしてもそう思っただろう。未知数の俳優をドラマの最初に投入するのは、ギャンブルのような選択だから。特にク・ウォルリョンはキャラクターの変化が多い人物だったが、監督が僕の演技を指導してくれて魅力的なキャラクターに仕上げることができたと思う。

―第21話のソファが死ぬシーンで嗚咽する姿は、「九家の書」の名場面の一つに挙げられる。

チェ・ジニョク:そのシーンの撮影の時、撮影現場で一晩中泣いた。もともと僕はうそ泣きが上手くできなくて、演技をする時も本当に泣くタイプだ。その時は、8時間ぐらい疲れるまで泣きながら撮影した。撮影が終わると、本当に胸が痛くて頭痛も激しくなり、鎮痛剤を飲んだほどだった。

―ク・ウォルリョンは中低音の声など、重厚感のある男性的な雰囲気が強かった。実際にもそんなタイプなのか?

チェ・ジニョク:これまで良い評価を得たキャラクターは、ほとんどがその人物を実際の僕の姿に投影して演じた場合だった。ク・ウォルリョンにも僕自身の雰囲気を多く投影させた。そうすることで、キャラクターが自然に見え、キャラクターから僕の姿も多く見えたと思う。多情多感な面があり茶目っ気もある性格だが、その中でも重みのある自分の姿が好きだ。

―まだ夢を見ているような気分なのか?

チェ・ジニョク:第21話の放送後、その日の夜から翌朝までリアルタイム検索ワードランキングで1位を記録したが、そんなことは僕の人生で初めてだった。10社の音楽チャートで1位を席巻したと聞いた時も、とても驚いた。これまで一度も感じたことがない気分なので、まだ実感が湧いてこない。

―バラエティや他の番組からも出演オファーが多く来ていると聞いた。

チェ・ジニョク:バラエティ番組からの出演オファーが特に多かったが、まだ慎重に考えている。その理由は、“もう満足したから”ではなく、ク・ウォルリョンというキャラクターが僕にとっては一生忘れられない人物なので、視聴者の心の中にもう少し長く残っていたらいいなと思ったからだ。長い間記憶されるように、余韻を残したい。

―DCinside(オンラインコミュニティサイト)内のギャラリーやファンサイトができるなど、自分の人気を実感できると思うが。

チェ・ジニョク:ファンたちが僕の書き込みを待っているだろうと思い、時々、何時間もかけてコメントする。短い内容ではあるが、僕にとってはものすごく大変なことだ。(手につけたブレスレットを指差しながら)このブレスレットも数日前にファンからもらったプレゼントだ。最近、毎日つけている。

―数年間の無名生活が今の演技に役立っていると思うのか?

チェ・ジニョク:もちろんだ。何の苦労もしなかったら、今を感謝する気持ちがこんなに大きくなかったと思う。多くの試行錯誤を経験し、撮影現場でたくさん怒られたり泣いたりしながら学び、演技が少しずつ上手くなったと思う。ゆっくりだが、少しずつ成長していく姿を自分でも感じており、とても幸せだ。

―先日、MBCラジオ「2時のデート パク・キョンリムです」に出演し、無名時代の話をしながら涙を見せたが。

チェ・ジニョク:実は、僕にとってパク・キョンリム姉さんは母親のような存在だ。新人時代から僕の面倒をたくさん見てくれた姉さんであり、いつの間にか僕がそんなキョンリム姉さんが進行するラジオ番組に出演しているんだと思い、感情がこみ上げてきた。その日、番組で泣かないように太ももを何度もつねり続けた。

―次回作としてキム・ウンソク脚本家が執筆するドラマ「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」に決まった。

チェ・ジニョク:脚本家が「九家の書」の第1、2話を見てすぐに連絡をくれた。今年は何だか運が本当にいいみたいだ(笑) 大手企業の社長役だが、前から演じてみたかったキャラクターなのでとても嬉しい。

―今後の作品ではまた違うイメージに変身する予定なのか?

チェ・ジニョク:今は男らしい役をもう少し演じてみたい。今年はドラマのほかにも映画を2本ぐらい撮影する予定なので、本当に忙しい一年になりそうだ。

記者 : チャン・ソユン、写真 : ク・ヘジョン、翻訳 : ナ・ウンジョン