「私は歌手だ2」いつまで勇者を待っているつもりか

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デュエット特集、テーマのあるミッション曲など、多様なアイテムの開発が必須

MBC「私は歌手だ2」の新しい歌手、ソヒャンへの関心が高くなっている。「本物が現れた」「『私は歌手だ2』の勇者」「化け物だ」などの反応は、少々大げさに感じられるほど、彼女への評価は高い。しかし、本当にソヒャンが低迷している「私は歌手だ2」を救う“勇者”になれるかどうかは、正直なところ疑わしい。

これは、歌手ソヒャンの資質の問題ではない。彼女の歌の実力は、初出演でいきなり1位という結果からも分かるように、非常に素晴らしい。しかし、「私は歌手だ2」放送以降ひたすら彼女だけが注目される現象は、ソヒャンにおいても、また「私は歌手だ2」においてもそれほどプラスにはならないと思われる。

写真=MBC

ソヒャンへの反応、GUCKKASTENの初出演当時と酷似している

まず、ソヒャンへのメディアと世論の評価は、GUCKKASTENが初登場と共に1位になった、およそ1ヶ月前の反応に酷似している点に着目し、「私は歌手だ2」の現在の状況を振り返ってみる。

苦労して用意した“生放送”が事実上失敗に終わった「私は歌手だ2」は、シーズン1に比べ半分ほどに落ち込んだ視聴率に、音楽や話題性の面からも苦戦を強いられている。出演歌手たちのステージは疑う余地がないほど素晴らしいが、どこかインパクトが足りないのだ。競演でない祝典を作ろうとしたものの、離れた視聴者たちを呼び戻すには力不足だった。

そこで、GUCKKASTENが登場した。大衆的な認知度の低いインディーズバンドの出演にメディアは疑問を示したが、GUCKKASTENの初ステージは「私は歌手だ2」ステージの中で大きな話題を呼んだほど、人々の予測を超えるものだった。それこそ、「私は歌手だ2」の“救世主”として浮上したのだ。

しかし、多くの人の期待とは裏腹に、視聴率低迷に陥った「私は歌手だ2」は、挽回の兆しを見いだせないでいる。キャスティングや順位の騒ぎでなく、ステージそのものに対する前向きな話題を作り出したにも関わらず視聴率が上がらないのは、結局「私は歌手だ2」の問題はステージにあるのではないということになる。そのため、ソヒャンもGUCKKASTENのように低い認知度と「私は歌手だ2」の低迷の中で起きた現象であるだけで、番組を再起させる代案にはなれない。

もちろん6月はGUCKKASTEN、7月にはソヒャンというふうに、12月まで制作陣が続けて話題を作り出せる歌手を割り振りできるなら話はまた違う。最も人気のある歌手と言える“今月の歌手”が一人ずつ番組から抜ける仕組みの中で、その空白を埋められる歌手が表れるということなら視聴者の心を留めておくことができるためだ。その上、既存の出演歌手が1位になるより、新しい歌手が1位になった方が話題性の面からもさらに大きな広報効果をもたらすことができる。

しかし、いつまでもGUCKKASTENとソヒャンが「私は歌手だ2」を率いることはできない。気まぐれな大衆の心を相手に、彼らの人気と話題性がいつまで続くかも不明だ。すでに「私は歌手だ2」には、GUCKKASTENやソヒャンより自分の役割を着実に果たせる歌手が多い。既存の歌手が話題の中心に立たない限り、「私は歌手だ2」の再跳躍はむやみに大言できない。

ジョンヨプもキム・ゴンモも“救世主”になることができるステージを作ろう

今「私は歌手だ2」制作陣がやるべきことは明確だ。新しい歌手のキャスティングも頑張らなければならないし、何より既存の歌手たちが思う存分自分の能力をアピールできる環境を整えなければならない。恐らくシーズン1で披露したことのあるデュエット競演や、あるいは大衆の関心を引きつける“ミッション曲”を試みるなど、ステージの領域をさらに広げる必要がある。

シーズン1とシーズン2の最大の違いとも言える、音楽配信の成績だけを見ても、シーズン1当時は大衆が聞きたい歌をうまく選曲して歌ったという感じがする。投票したい心を刺激する、過剰な編曲ももちろんあったが、視聴者の立場からは、自分の好きな歌を自分の好きな歌手が歌う、その喜びを満喫できた。しかし、今はそれがないのだ。

出演歌手の歌が上手いことも、ステージを一生懸命用意したのも分かるが、また聞きたい気はそれほど起こらない。必ず生放送を見なければならないという意志も大きくない。「私は歌手だ2」が単純な“のど自慢”大会でないなら、大衆が何を聞きたがっているかも一度くらいは考慮して欲しいところだ。

“生放送”という実験は失敗に終わった。脱落に対する緊張感が前シーズンより弱まった今、録画放送への切り替えは出演歌手の心をさらに軽くさせるだろう。いまや、そのステージをもう少し気楽に楽しめるように、制作陣と出演歌手が一緒になって考えてみてはどうだろうか。夏に相応しいダンスナンバーもいいし、ステージのコンセプトを“ホラー”に合わせて準備するのもひとつの方法になるかも知れない。

これからは、GUCKKASTENやソヒャンだけでなく、キム・ゴンモもジョンヨプも、そしてパク・サンミンとイ・ウンミも勇者になって救世主になることができると知らしめよう。いつまでも“勇者”ばかり待っているわけにはいかないのだ。

記者 : パク・チャンウ