「太陽を抱く月」脚本家チン・スワンがつけた“出演者の演技成績表”

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写真=パン・エンターテインメント

脚本家チン・スワン「ハン・ガインでないヨヌ?想像も出来ない」

「初恋」「砂時計」「ホジュン~宮廷医官への道~」など、以前は“大ヒットドラマ”が視聴率50%を突破することがしばしばあった。しかし、チャンネルが多様化され、人々のテレビの視聴パターンが変わりつつあるだけに、視聴率20%を超えると“成功”30%を超えると“大成功”と“大ヒットドラマ”の基準が低くなってきている。

42.4%。全20話のMBC「太陽を抱く月」が記録した最高視聴率だ。仮想の王を作り、彼が外戚と勢力戦いを繰り広げるという“時代劇”的な内容に“巫俗信仰”というファンタジー的な要素、それに初恋という“ロマンス”まで加えたこのドラマは、手堅い原作小説のストーリーからその力を得ているが、俳優陣の好演も人気の要素として挙げない訳にはいかない。脚本を執筆した脚本家チン・スワン先生に、長い間ドラマの中のキャラクターとして生きた俳優たちに対する印象を聞いた。

キム・スヒョン ― 「最初は力が入りすぎていると思ったが……」

「第6話が、子役のヨ・ジングからキム・スヒョンにバトンが渡された最初の回でしたよね。子役の残影がまだまだ残っている状態だったし、視聴者がまだ子役に別れを告げる準備が出来ていない状態で、成人になったフォンが登場したんですが、最初は力が入りすぎていると思いました。前の子役が上手くやりすぎたからか『緊張しているな』と思いました。ただ自然にいつも通りやればよかったのに……。幸い、すぐに調子を取り戻しました。キム・スヒョンのフォンは、私より視聴者の方に早く受け入れられたみたいです(笑)」

ハン・ガイン ― 「ハン・ガインでないヨヌは、想像も出来ない」

「まず、ドラマが展開される前に“魔女狩り”されたようで心を痛めました。キャスティングについては、いつも騒ぎがつきものです。小説で(読者が)思い浮かべたイメージがありますから。そのイメージと違うキャスティングになった時、抵抗があるわけです。『フルハウス』にソン・ヘギョさんがキャスティングされた時もそうでした。(演技力への疑念が)静まることを信じて待ちました。ハン・ガインでない、他の女優が演じるヨヌなんて、想像もつきません」

写真=MBC

チョン・イル ― 「一言で言うと“最善を尽くす姿が美しい俳優”」

「私は人見知りが激しい方で、俳優と別途に連絡を取ったり親しくするタイプではありませんが、自分の役のことで悩んでいると言うので一度会いました。本当に真剣でした。前作「美男ラーメン店」のキャラクターから完全に抜け出せず、どうすべきかと悩んで質問してきたんです。そこが有難かった。負担になってはいけないと思って『計算せずに演技したらいい』と言いました。そんな悩みの中でも最善を尽くすのが目に見えました。一言で言って“最善を尽くす姿が美しい俳優”でした」

写真=fantagio

キム・ミンソ ― 「ト書きより複雑微妙な眼差し……“賢い女優”」

「キム・ミンソも悩みが多かったです。台本読み合わせの時から『本気でフォンのことが好きなのか、権力のために好きなのか』について聞くんです。当時は両方とも当たっていると言ったんですが、最近あるインタビューで『どちらでも関係ないと思う』と話していました。賢い女優だと思いました。個人的に、ボギョンの母が連れてきた子を見つめるシーンが印象深かったです。ト書きには“不安な眼差し”とだけ書いてあったんですが、一層複雑で微妙な眼差しを表現していました」

ソン・ジェリム ― 「与えられた仕事を、幸せそうにやりこなす俳優」

「原作では、キム・ジェウンに恋愛要素が多いですが、ドラマは大きく違います。原作を読んだなら、自分がどれほど格好いいキャラクターであるかも知っているはずです。(ドラマで)恋愛要素はなくなって、友人と主君の間で葛藤する人物となりました。それでも、与えられた仕事を本当に幸せそうにやりこなす俳優だと思いました。現場の写真を見たら、顔に不満のかけらもありませんし、プラス思考のエネルギーに満ちています(笑) (見るだけで)気持ちがよくなる俳優でした」

写真=AMエンターテインメント

ソン・ジェヒ ― 「キャスティングミス騒ぎも笑い飛ばした、大人な俳優」

「本当に大人です。キャスティングミス騒ぎがありましたよね。俳優にとっては辛いはずなのに、冗談交じりに大人らしく笑い飛ばしたんです。ドラマの後半に、ヨム役が出演しない部分があります。ドラマのメインストーリー上、大きな事件が起こっていて、ヨムとミンファ姫はそこからは離れた人物なんです。それでも感情をしっかり掴んでいて、ドラマ後半の感情が爆発する瞬間があることを念頭に置いて演技していると感じました」

写真=MBC

ナム・ボラ ― 「まだ若いのに、なかなかの実力の持ち主」

「後半部分は、もう本当に感動そのものでした。フォンと対立するシーンで“渾身の演技”をしているという印象を受けました。キャラクターに吸引力が生まれました。ミンファ姫は(自分がヨヌの嘘の死に直接関係しているという)最後のどんでん返しが露呈するまで、ひたすらヨムに恋するだけのキャラクターです。まだ若い女優なのに、その最後の瞬間のためにずっと抑えていて、瞬間的に感情を爆発させる、なかなかの実力の持ち主です。感情のメリハリをコントロール出来る女優だと思いました」

キム・ヨンエ&キム・ウンス ― 「最初から心配などはなく信頼していた」

「キム・ヨンエさんは、実際会ってみたらとても可愛いんです(笑) どうやってドラマの中であのようなカリスマ性を発揮しているのか疑わしいくらい。最初からこの方達に関しては何の心配もありませんでした。『(脚本が)足りなくても上手く満たして下さる』という信頼がありました。『ト書きをこのように詳しく書き過ぎると、お気に障るのでは』と思うほど(笑) 初回の最初のシーンが、キム・ウンスさんとキム・ヨンエさんが話し合うというものでしたが、序盤に子役が登場するので、一歩間違えると“子供ドラマ”になるかもしれないと思って、意図的にドラマの中心軸を立てようとしたんです。この方たちのおかげで、相乗効果を出すことが出来ました」

写真=イ・ジョンミン

記者 : イ・ミナ