fantagio、ナ・ビョンジュン代表「俳優専門マネジメント会社の限界を越えたい」

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“核となるモットーはfantagioクリエイティブ!”

芸能マネジメントは独創的で容易ではない分野だ。有望な人材を取り込み、作品や歌を通してスターにした後、広報、CM、イベントなどで収益を出すといった構造になっているからだ。少なくとも、これまではこのような基本構造の枠を超えたり、新たな例を見せたマネジメント会社は存在しなかった。その高い“壁”を壊すために乗り出した人物がナ・ビョンジュン代表である。

15日、ソウル駅三洞(ヨクサムドン)にあるfantagioビルで会ったナ・ビョンジュン代表の表情は明るかった。昨年末エンターテインメント会社としては初めてKONEX(中小企業専用の株式市場)に上場したことに続き、KOSDAQ(コスダック、韓国の証券市場)上場のためのマスタープランを立てることに余念がない。「エンターテインメント会社にとってR&D(研究開発)は重要だ。今年は今まで注いできた努力が実を結ぶ重要な年だ。私たちの力をしっかりとお見せできる時が来た」

「革新」を夢見た青年、エンターテインメント会社のトップに

この分野でR&Dの重要性を強調した人物が彼の他にいるだろうか。実は、これは彼が経験から得た結論だ。貿易業を夢見たナ・ビョンジュン代表は知人に薦められ、2001年にiHQのマネージャーとして芸能界での生活をスタート、キム・ヘス、チョン・ドヨンなどのトップ俳優たちを管理するチーム長として経歴を積んだ。その後、2008年にチ・ジニ、ヨム・ジョンア、チョン・ドヨン、ハ・ジョンウなどと一緒にN.O.Aエンターテインメントを設立し、独立の道を歩み始めた。現在のfantagioの基である。

「少し他とは異なる形のマネジメントをしてみたかった。俳優マネジメントの限界を越えたいという気持ちが大きかった。音楽分野とは売り上げの構造自体が異なるからだ。しかし、現実は甘くはなかった。タイミング悪くリーマンショックによる世界的な金融危機が襲った。自分なりに経済の勉強を本格的に始めた。そして最終的には最初の計画の多くを諦めざるを得なかった。マネジメントだけに集中していた時期であった」

社名を「fantagio」(ファンタジー+根源)に変えた昨年からは、売上141億ウォン(約13億円)、純利益21億ウォン(約2億円)を記録するほど高い業績を見せ始めた。ハ・ジョンウ、チュ・ジンモ、キム・ソヒョン、チョン・ギョンホ、キム・ソンギュンなど40人を超える俳優たちが在籍し、社員数も80人を超える大型マネジメント会社へと成長したのである。しかし、彼はまだ満足していない。「昨年よりも高い結果を出せなければならない。システムが重要だ。以前は“アーティスト=会社”という概念が強かったが、今はアイデアと企画力、効率的なマネジメント、新しいコンテンツの生産などを結合しなければならない」

5urpriseで第2のキム・ウビンを誕生させたい

写真=fantagio
このような過程を経て誕生したのが“R&Dの3点セット”だ。i-Teenオーディション、ActorsLeague、マネージャー仕官学校が正にそれだ。fantagioならではの新人育成プロジェクトで、業界では既に注目されている。簡単に説明すると、i-TeenオーディションとActorsLeagueは新人俳優、マネージャー仕官学校は専門マネージャーを育成するプロジェクトだ。これによる成果として、演技と歌の両方を兼ね備えた男性アイドルグループ5urprise(サプライズ)が挙げられる。5人組の5urpriseは、他のアイドルグループのように合宿生活をしながら活動をしている。

「結成してから6ヶ月が経った。基礎にたくさん投資したためか、関係者たちの間では『新人とは思えない』という評価をよく聞く。今年は第2のキム・ウビン、イ・ジョンソクが出てきて欲しい」ナ・ビョンジュン代表の言葉からは自信が感じられた。しかし、世間では「新人に主力し過ぎではないか」という懸念の声があることも事実だ。このような意見を意識してか、全般的な説明を続けた。

ナ・ビョンジュン代表は「昨年、良いこともたくさんあったが、再契約の失敗など、苦い経験もかなりしたと思う。目標のために投資を受け、対外的にやるべきことが多かったからだ」と自評した後、「今も昔も俳優たちとは会社の運営に関する話をよくしている。トップレベルの俳優だからといって悩みがないなんてことは絶対にない。それを解消するパートナシップと代案を既に実行している。今年は従来の俳優たちが相乗効果を発揮できるチャンスが多いだろう」と期待を示した。

アイドルグループを立ち上げる予定「限界はもうない」

ナ・ビョンジュン代表は大規模なエンターテインメント会社を率いるCEO、つまり組織のトップとしての悩みも打ち明けた。「元々人に恵まれている。80人を超える社員たちは皆優れた才能と人格を備えている。しかし、システムの問題でそれらを上手く活用することができなかった。最終的には組織を再度整備し、意思決定の構造を簡素化した。昨年の限界を参考に、年初から新しい計画を立てており、会議もたくさんしている。私はもっと努力しなければならないと思っている(笑)」

インタビューを行ったfantagioビルのミーティングルームには、玩具のレゴシリーズが飾られていた。「『レテク(レゴ+財テク)』なのか」という取材陣の質問に、彼は「日本のある広告会社を訪れた際、これと似た形の物が展示されているのを見て、それから始めるようになった。元々レゴが好きだし、マネージャーたちと一緒に集めているうちにこのようになった」と恥ずかしそうに笑った。創造力はこのような意識から生まれるということを代弁しているような気がした。或いは、市場で認められる新しいものを見せなければならないという「ナ・ビョンジュン式経営哲学」を表しているのかもしれない……

ナ・ビョンジュン代表は改めて「今年は重要な年だ。従来の俳優たちが成長し、新人俳優たちもステップアップしなければならない。戦略的に動く」と述べ。「秋頃には男性アイドルグループを立ち上げる予定だ。折角なのでSMエンターテインメントやYG ENTERTAINMENTなどのマネジメント会社とは違うものを見せたい。それを足掛かりにして俳優専門マネジメント会社の限界を乗り越えたい」と強調した。fantagioの2014年の成果は、このような情熱と確信から始まるだろうと断言する。

記者 : ソン・ヒョンソク、キム・イェナ、写真 : キム・ジェチャン