ユンナ、古家正亨との出会いは19年前！日本で16歳でデビュー「あの時の情熱が今も自分を支える力」 ― Vol.1
Kstyle |
時にはインタビューを、時には対談や僕の言葉で、あえて書体には拘らず、ご紹介していければと思っていますが、そんな韓流20周年振り返り企画第1弾として、来年日本デビュー20周年を迎えるシンガーソングライターのユンナさんへのインタビューをたっぷりお届けしていきたいと思います。
先日、8年ぶりに来日を果たし、初のファンミーティングを日本で開催したユンナさん。昨年リリースした「Event Horizon」が記録的な大ヒットとなって、さらにはBTS（防弾少年団）のRMさんとのコラボ曲「WINTER FLOWER（feat.RM）」を介して、彼女のことを知ったというARMYも多いのではないでしょうか？
韓国デビューに先駆け、いち早く日本でデビュー。その後韓国に帰国して、本国でもデビュー。それ以降多くのヒット曲を生み出してきた彼女ですが、今回は、デビュー当時から彼女と仕事をしてきた私、古家が、じっくり、たっぷり、デビュー当時のことから、RMさんとのコラボの話、さらにはヒット曲「Event Horizon」のこぼれ話に至るまで、幅広くお話を聞かせてもらいましたので、ぜひお楽しみください！
Vol.2 ― ユンナ、韓国で逆走ヒット！古家正亨と語るこれまでの活動「皆さんの人生の挿入歌になりたい」
古家との出会いは19年前「私たち、幼なじみ（笑）」
ユンナ：うわぁ～、本当にお久しぶりですね、古家さん！
古家：全然変わらないですね！
ユンナ：お互い様です（笑）。
古家：日本語力が、昔、出会ったままの上手さなんですけど。
ユンナ：へぇ～、そうですか？ それは何よりですね。やっぱり、早期教育ですか（笑）。
古家：早期教育ね（笑）。
古家：だって、考えてみたら、日本デビューから来年で20年ですよ。
ユンナ：そんな、歴史とか……。でも、時間が経つのは本当に早いですね。
古家：でも今回、8年ぶりに日本のステージに上がったわけじゃないですか。前回の来日から、そんなに時間経ちましたか？
ユンナ：そうですね……8年かぁ。ご飯、何回か食べただけのように感じますが（笑）。
古家：その内、コロナ禍があったので、3年半ぐらいは仕方ないとしても、それ以外に 5年ぐらい、来日していなかったわけですよね。
ユンナ：そうですね。パンデミックもありましたし、私は所属事務所のその間変わったりとか、変化もいろいろとあって。でも、心の中では、「来年は日本に行く、来年は絶対行く」って、ずっと決めていたんですけど、なかなかできず、その時間が蓄積されて、8年になってしまった感じです。
古家：そうすると、多分、僕が前回お会いしたのって、その8年か9年ぐらい前になるんだけど……でも、一番最初にお会いしたのは、2004年に日本でリリースされた「ゆびきり」のプロモーションタイミングの時です。19年前ですよ！
ユンナ：すごい！ 私たち、幼なじみじゃないですか！
古家：幼なじみといえば、幼なじみですね（汗）。確かにユンナさんは、その時、幼なかったのは間違いないです。ドラマ『冬のソナタ』が日本で放送されたのが2003年ですよ。
ユンナ：うわぁ、そんなに時間経ったんだ。
古家：そう「韓流ブーム」と言われてるものが始まったのが、その翌年2004年ですから、その頃からもう日本で活動してたんですよユンナさんは。
ユンナ：外国人労働者として（笑）。
古家：外国人労働者（汗）。でも、あの頃って、日本に住んでいたじゃないですか。一生懸命日本語勉強されて、それが今も変わらない、ネイティブ並みの日本語力に結びついたと思うんですけれど、どんな気持ちで当時、日本で活動していたんですか？
ユンナ：もう、全てが新しくて、全て自分で乗り越えなくちゃ駄目で……。自分の価値を決めるっていうことを……そうだなぁ、社会をちょっと早くに体験したかな。
古家：16歳でデビューって、中学卒業したぐらいだからね。
ユンナ：そうですね。だから、卒業式に行けなかったんですよ。
古家：卒業式に出席できなかったんだ。
ユンナ：でも、その分、たくさんの大人から、いろんなことを学んで……なので私の青春は日本にありますね。
古家：そうだよね、そう考えると。あの当時、僕はもう既に韓国関連の仕事をしていたときだったんだけど、いろんな関係者から「スゴイ子がいるから紹介したい」と言われて、それがまさに目の前にいるユンナさんだったんですよね。しかも日本先行でデビューすると。「画期的ですね」っていう話をして、そして、お会いしたのが、その19年前。
ユンナ：多分それは、私がスゴイんじゃなくて、会社の力が（笑）。
古家：いやいや（笑）。実際に会った時も、くりんとした目で、常に笑顔で、まだ中学卒業したぐらいなのに、ハッキリと自分の言葉で話をされていて、ハキハキとした印象でしたよ。なんか、こう、アニメから飛び出してきたような、そんな元気いっぱいなイメージの子だったの。その時からピアノで弾き語りしていたよね。
ユンナ：そうですね……そんなイメージだったんだぁ。
日本で忘れられない場所「活動のご褒美だったペッパーランチ！」
ユンナ：それが、あの時は何もかもが「面白いな」と思っていましたし、すごく楽しくやっていたと思うんですよね。エネルギッシュだったし。もう自分のスタミナを、どう発散すれば良いかわからない子供って、とにかくよく走り回るじゃないですか。そんなもんで、何をどれだけしても、疲れない。そんな感じでした。あの時の情熱が、自分を支える力に、今もなっている感じがします。
古家：当時のことを思い出して、「あの時の、あれ、美味しかったなぁ」とか、忘れられない場所とかってある？
ユンナ：ありますよ！ ペッパーランチ！
古家：ペッパーランチ！
ユンナ：そんな自分に対してのご褒美でしたね。場所は渋谷の陸橋下だったんですけど、今はもうないんですよね。
古家：あの橋の下のペッパーランチって、結構、韓国のスターの人たち、通っていたよね。
ユンナ：あとは、広尾（東京）の公園かな？
古家：広尾の公園？ そこで何してたの？
ユンナ：私、当時、自転車で練習室に通っていたんです。お金もなかったし。宿舎から通う途中、坂があって、それがきつくて……。だから、もうそこで休まないと、帰れないっていうぐらいだったんです。なので、その公園で一休みながら、ちょっと息整えて、家に帰る……みたいな生活パターンだったんです。
古家：なんか胸がいっぱいになるね、そういう話聞いてるだけで。そういう努力をされながら、「ほうき星」がアニメの主題歌になってヒットして、その後も『タッチ』の主題歌も歌ってヒットしたでしょ？
ユンナ：でも、正直あまりやりたくはなかったんです。なぜかっていうと、踊りですよ。踊り苦手だったし、オリジナルが多くの人にとって、特別な曲だったから、それをカバーするというプレッシャーもあったし……。「私のそんな大きな荷物を背負わせるの？」っていう。でも今となっては楽しい思い出ですし、良い経験になったと思っています。
古家：なるほど。名曲のカバーって難しいよね、確かに。ただ、この2曲を通じて、確実に当時、「ユンナ」という名前を知られるきっかけにはなりましたよね。
ユンナ：そうですね、ありがたいことです。決してお金で得られる経験ではないと思います。
古家：それが2005年、6年だったと思うんですが、2007年から活動の拠点を韓国に移すじゃないですか。そこから韓国でデビューすることになるわけですけど……。
ユンナ：当時は10代で何もわからないまま、会社が入れてくれたスケジュールをこなすことで精いっぱいだったし、自分も、今、どこで、何をしているかわからない状況の中、仕事をしていたこともあったんですね。だから、このタイミングで韓国に戻って……というのも、自分の意志というより、そういう流れになったという感じでしたね。
古家：それ以降も、日本と韓国を行ったり来たりしながら、日本では女優として銀幕デビューも果たしたわけですが……。
ユンナ：古家さん、知りすぎです（笑）。
古家：女優業はどうだったの？
ユンナ：今、その姿見るとかわいいけど、当時は、必死でしたし、今、同じ選択肢が目の前にあったら、どう選択するんだろうって。演技が上手な人っていっぱいいると思うんです。だから、私が敢えてする必要はないんじゃないかなぁ。もちろん、面白いなとは思いました。でも、やっぱり面白いだけじゃ仕事にならないというか、ちょっと、いろんな大人に迷惑かけたんじゃないと思いますね、今は。だけど、とても宝物のような経験をさせていただいたと感謝の気持ちでいっぱいです。
「BTS・RMとのコラボは記憶に残るしかない」
ユンナ：今までのコラボは、ありがたいことに、相手からのサジェストですね、ほぼ100％。
古家：100％！ すごいですね。皆さん、ユンナさんの、アーティストとしてどんなところに惹かれて、アプローチされるんですか？ 歌声？
ユンナ：それが私、未だに理解できないんです。あえて言うなら「1％の好み」なのかな？ どんな曲にも、私の声は合わせやすいから？ なのかなぁ。
古家：確かに、どんなジャンルの、どんなテンポの歌でも歌いこなせますよね。
ユンナ：それって、日本で歌っていた経験が、確かに役立っていると思います。
古家：そうなんだ！
ユンナ：当時の事務所の社長が、こんな曲も、あんな曲も、全部持ってくるんですよ！
古家：（笑）そうか、でもそこで吸収した感覚なんですね。
ユンナ：いっぱい吸収しました（笑）。だって、日本は音楽のジャンルも幅広いじゃないですか。韓国とちょっと違うところは、日本はヨーロッパのロックベースの曲が多いと思うんですけど、韓国はちょっとアメリカのR＆Bがベースの曲が多いんですよね。全然違う感じの好みを持っているんですけど、日本でそういう音楽を吸収して、韓国に戻ったら、今度は韓国のスタイルに合わせなきゃいけなくなった……そんな事情もあって、いつのまにかマルチになってしまったのかなぁ。
古家：そんな中で、一番記憶に残っているコラボレーションって？
ユンナ：やっぱり、BTSのRMさんとのコラボは記憶に残るしかないですよね。
古家：これもやっぱりRMさんから話があったわけ？
ユンナ：そうなんです。「いつか、何かやろう、やろうね？」っていう時間が何年か過ぎて、「やるなら、何をやる？」っていう話で、ずっと止まっていたんです。で、ちょうどいい曲を見つけて「これならどうなのかな？」っていう話になって、仕上がった曲なんですけど。ただ、直接会わずに、メールのやり取りだけで仕上げた曲なんです。
古家：そうなんだ！
ユンナ：はい。もうRMさんは、あまりにも忙しいです。世界中回っているから、今どこにいるのか、わかりませんでした（笑）。
古家：じゃ、完成された音源を聞いて「こうなったんだ！」みたいな感じ？
ユンナ：そうですね。でもすごいのが、いろんなヴァージョン、パターンを提供してくれて、どのヴァージョンでも、何選んで使ってもらっても良いよって。すごいですよ、RMさん。誠実な人は、成功するんだなと思いました。
古家：誠実だよね、RMさん。でも、それもすごい話題になって、そこでARMY（BTSのファン）がユンナさんを知って、新しいファンの方も増えたんじゃないんですか？
ユンナ：結構いらっしゃると思います。
古家正亨×Kstyleコラム Vol.22
古家正亨（ふるやまさゆき）
ラジオDJ・テレビVJ・MC
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。2000年から韓国音楽を中心に、韓国の大衆文化をあらゆるメディアを通じて紹介。昨年までは年平均200回以上の韓流、K-POP関連のイベント等のMCとしても活躍している。
現在もラジオでは、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」（日曜21：10～）、FM NORTH WAVE「Colors Of Korea」（日曜11：00～）、テレビ愛知「古家正亨の韓流クラス」（隔週水曜 深夜0時～）、BSフジ「MUSIC LIST～OSTってなに～」（毎週日曜20：30～）、配信では韓国文化院YouTubeチャンネル「Kエンタメ・ラボ～古家正亨の韓流研究所」といった番組を通じて日本から韓流、K–POP関連の情報を伝えている。
自身のYouTubeチャンネル「ふるやのへや」では妻でアーティストのMina Furuya（ホミン）と共に料理やカルチャーなどの情報を発信中。
自身の歩みを記した初のエッセイ『K-POPバックステージパス』（イーストプレス刊）を昨年末発売。
Twitter：＠furuyamasayuki0
記者 : Kstyle編集部
