Netflix「すべては神のために」予想以上の反応?PDが語る“カルト宗教を認知し社会的な話題を投げかけたい”

MYDAILY |

写真=Netflix
プロデューサーのチョ・ソンヒョンが「すべては神のために:裏切られた信仰」を演出した感想を明かした。

最近、ソウル中(チュン)区ロッテホテルソウルにて、Netflixドキュメンタリー「すべては神のために:裏切られた信仰」の記者懇談会が開催された。演出を手掛けたプロデューサーのチョ・ソンヒョンが参加し、取材陣とトークを交わした。

これに先立って今月3日に公開された同作は、「摂理、神の花嫁」「国際指名手配犯の救世主」「電子アンクレットを装着した救世主」「五大洋、神と32人の死体」「天国への道」「死の園」「万民の神になった男」「刑務所行きとなった万民の神」のエピソードで構成された8部作のNetflixドキュメンタリーシリーズだ。自らを神と呼び、韓国を揺るがした4人の指導者、そして彼らをめぐる被害者の悲劇を冷徹で綿密な視線で追った。MBC時事番組「PD手帳」を演出したチョ・ソンヒョンがNetflixと手を組み、約2年にかけて制作した。

この日、チョ・ソンヒョンは今作に対する世界的な関心について「思ったより反応が予想以上で、慌ただしい。私が本当に望んでいたのは、今作を通じて多くの方々がこの事件、このカルト宗教を認知して、社会的な話題を投げかけてほしいということだった。すでにそのようなことが起きていて、社会的な変化が実際に現れているようで嬉しい」と感想を述べた。

続けて「プロデューサーの立場として、このドキュメンタリーをすべての方々が観るのも重要だが、最も観てほしいのはカルト宗教の内部の人々だ。内部の1人、2人でも多く観てほしいと思った。『脱JMS(キリスト教福音宣教会)』のネットコミュニティには、今作を観て『脱会した』という書き込みがかなり多かった。内部の人間が動揺し、反応しているという証拠だ。脱会を選択することができるように、刺激を与えることが核心的な目標だったので、実際にそのようなことが起きて、個人的にとてもやりがいを感じている」と話した。

今作の企画・演出を決めた理由について彼は「実はこのような内容をMBCで制作する計画だった。ところが内部的な理由により、企画が一度ダメになった。私の立場としては、とても勿体ないと思ったので、Netflixに再び制作を提案し、快く受け入れていただいて、2年という時間をかけて制作することになった。私の家族の中にもカルト宗教の被害者がいる。私のすぐそばにいる友人の中にも被害者がいる。そのため、今作は私にとって他人事ではなく、自分自身の話でもあった。また、1度は必ず扱わなければならない課題のような素材だった」と明かした。

今作のシーズン制に関する計画を聞くと「実は最近まで私が何をしているのか、家族に話さなかった。妻が知った後、子供たちを連れて家を出ると言われた。コンテンツの公開後、家族は心配し始め、大変苦しんでいるが、一度足を踏み入れた作品なので、引き続き取り上げたい内容が多い。まだ具体化された内容はないが、まずは今勉強を始めており、また別の被害者に会って進めている」と話した。

彼は「韓国は預言者が本当に多い国だ。その方々が皆対象になりうるが、私が関心を持っている特定の宗教がある。ここで言うと大変なことになりそうなので、自らやらなければならないことを表に出さずに進めてみようと思っている。カルト宗教を信じる両親に育てられた子供たち、そのような被害も本当に多い。選択権なしにカルト宗教にさらされた人々だ。今回は取り上げることはできなかったが、このような内容の取材を進めてみようと思っている。引き続き関心を持っていただきたい」と語った。

また、彼は「この作品に放送禁止仮処分が提起されるかもしれない。実際にそのような動きがあったと聞いた。過去に『それが知りたい』で新興宗教『アガドンサン』について制作した時、放送禁止仮処分の申請が受け入れられたことがあったので心配している」と話した。

そして「万が一放送禁止される可能性があるので、絶対にこの作品を観ていただきたい。我々の大切な子供たちがどのように扱われているのか実際に確認したら、カルト宗教の怖さを感じることができるだろう。『第1話を観た途端に消してしまった』という反応も多いが、第3話まで観ていただくと、2話までの具体的で疎ましいシーンをなぜ観なければならないのか、分かっていただけると思う。どうか耐えて観ていただきたい。皆さんに届けたいメッセージがその中に込められている」と強調した。

特に彼は「社会のあちこちにカルト宗教の信者が潜んでいる。宗教の自由を保障する国に住んでいるため、ダメとは言えないので、両面的に考える必要がある。KBSにもJMSの信者がいるというニュースが報じられ、うちのチームのスタッフも、Netflixも疑った(笑)。それほど、どこにでもカルト宗教を信じている人々が存在する可能性が大きい。しかし、彼らを探し出さなければならないかは、また別の問題だ」と指摘した。

「彼らは自ら宗教を選んだだけで、社会的に被害を与えていないのであれば処罰してはいけないと思う。信者まで悪い人間と思われるのが懸念される部分だ。悪いのはカルト宗教を信じる信者ではなく、そのような宗教を作って人々を引き入れた教祖だ。それをしっかりと区別してほしい」と声を上げた。

最後に彼は「勇気を出してくれた出演者の方々に感謝申し上げる。彼らが最も傷つくのは、『一体なぜ信じたの?』と尋ねられることだ。『正気じゃなかった』と答えるしかないだろう。それにもかかわらず彼らは、この作品のインタビューに参加して、本人がどれだけ狂っていたのか、なぜそうなってしまったのかを社会に知らせてくれている。彼らの目的はたった1つだ。自分たちのような被害者が出ないこと。彼らは人々に自分が遭った被害を知らせた、勇気ある選択をしたのだ。尊敬に値する彼らを、非難したり、バカにしないでいただきたい。私は実際に彼らを尊敬し、皆さんが彼らの勇気を応援してくださるよう願っている」と呼びかけた。

記者 : キム・ナラ