「刑事ロク 最後の心理戦」イ・ソンミン“年を取って今後の俳優人生について考えるようになった”

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写真=Walt Disney Company Korea
俳優のイ・ソンミンが、「刑事ロク 最後の心理戦」の撮影ビハインドを公開した。

最近公開されたDisney+「刑事ロク 最後の心理戦」は、一本の電話で同僚を殺害した容疑者になった刑事が、謎の脅迫犯「友達」を捕まえるため、自身の過去を追う物語を描くミステリー捜査劇だ。

ソウル鍾路(チョンノ)区昭格洞(ソギョクドン)にあるカフェで行われた「刑事ロク 最後の心理戦」のインタビューで、イ・ソンミンが役作りの過程や撮影のビハインドなどを打ち明けた。

イ・ソンミンは、劇中で刑事キム・テクロク役を務めた。キム・テクロクは、一本の電話により一夜にして殺人の容疑者になるベテラン刑事だ。イ・ソンミンは「最初に台本をもらった時、臨時タイトルが『年老いた刑事』だったんです。タイトルがすごく気に入りました。ウェブ漫画の脚本家が書くタイトルも『年老いた刑事』です。そのタイトルを年配の人は好きだったのですが、若い人々がダメだと言って、『刑事ロク 最後の心理戦』になりました」と伝えた。

続いて「同年代の友人の中で公職に就いている人は、引退しなければならない年齢です。その時期に、自分の人生を振り返る友人たちを見ました。大学を卒業して試験を受けて、生涯その仕事をして、今やそれを終わらせなければならない友人たちを見ながら、変な気分になったけれど、そのような部分でテクロクというキャラクターに惹かれました。社会で必要なくなった刑事に見舞われた人生最大の危機、それを解決する魅力があります」と話した。

そして、「キャラクターが立体的でした。パニック障害を患っている部分、家族の物語がうまく描かれていたので、特にこのようにキャラクターを作っていこうとは思わず、台本に忠実にやりました。キム・テクロクという人物そのものがしっかり書かれていたので、演技する上ですごく大変な部分はありませんでした。パニック障害の演技は初めてやりました。始める時に演出部で参考にしてほしいとたくさんの資料をもらって参考にしたのですが、よく分からなかったんです。俳優イ・ヒジュンさんの短編映画も観て、資料もたくさん探して読みました。おじさんのファッション、ヘアスタイルなどもたくさん相談しながら作っていきました。オールドだと思ったけれど、最近はそういうスタイルだからこそおしゃれになったテクロクなのだそうです」として笑った。

イ・ソンミンは、テクロクのオールドなところが自分に似ていると話し、「新しいものに対する関心が減りました。若い時は全てのレーダーがあったけれど、年を取ったら整理して必要なものにだけ気を使い、エネルギーを節約していると思います。オールドなところは少し似ていますね」と明かした。

「刑事ロク 最後の心理戦」の最大のポイントは、“友達”の正体を追うことだ。イ・ソンミンは「友達の正体は最初から知っていました」とし、「台本を読みながら『これはすごい』と思うところが多かったです。子供の頃に漫画本を読むように、エンディングを見て次の巻も探して読みました。6部のエンディングで顔が公開されましたが、最後まで疑います。私も台本を読みながらずっと騙されていました」と明かした。

脅迫犯と電話だけで緊張感を維持するのは難しくなかったかという質問には「難しかったです。演出部の人が読んでくれたのですが、慶尚道(キョンサンド)の人だったんです。まさに棒読みです。私がリアクションをしなければならないのですが、その隙をくれなかったんです。だから3秒待って、次のものをやってほしいと話しました。運転中に通話をする時は、後部座席に横になって読んでくれる時もありました。大変でした。たまには直接電話をかける時もありますし、車があったら、窓のそばでかがんで読んでくれる時もありました」とビハインドを語った。

写真=Walt Disney Company Korea
劇中では体力が必要なシーンが多く、大変だったのではないだろうか。イ・ソンミンは「体力は問題にはなりませんでした。ですがいい年なので骨盤が痛かったです。昔は走ったらすねが痛かったけれど、今回は骨盤がすごく痛かった記憶があります。序盤の工場を走るシーンでは、3日走りました。山で撮影したのも大変でした」とし、「運動は好きではないので、運動をしないですから基礎体力でやります。撮影の半ば頃には病院に行きました。血糖値がそこまで高いわけではないけれど、管理はしなければならないと思っていたんです。しかし先生からは『正常です。運動はしていますか?』と聞かれました。撮影しながらものすごく走っていると言ったら、それが影響を及ぼしたかもしれないと言っていました。『刑事ロク 最後の心理戦』を撮影しながらしっかり食べました。管理しなくても元気でした。今は管理しているのにむしろ良くないですね」と言って笑いを誘った。

イ・ソンミンは「反応をチェックする方ですが、フィードバックはあまりなかったんです。記事もあまり見かけないですね」とし、「時間が経つに連れて、直接的にではないけれど、周りの空気が感じられました。制作会社や周囲の俳優、スタッフたちの表情が明るいことから、悪くないと思っています。意外と周囲には8話まで終了したら見るという人が多いです。家族の誰も見ていないですし、娘には無理やり1話と2話は見させましたが、その後は見ていません。妻は何度も『友達って誰?』と言いながら終了したら見ると言っています。良いものか悪いものか分からないけれど、不思議な現象だと思います。そういった面で『刑事ロク 最後の心理戦』は、OTT(動画配信サービス)向けのドラマに最適ではないかと思います」と自信を示した。

さまざまな作品で活躍しているイ・ソンミンは「私も年を取って、引退ではないけれど、そろそろ何か準備しなければならないと漠然と思っています。ハリウッド映画を観ると、レジェンドのような主演俳優たちが、年を取った姿で短い時間出演していて、自分の未来ではないかと思いました」とし、「Disney+に登録してマーブルを見始めたのですが、ミシェル・パイパーが出ていました。それを見て『私もあのように年を取っていけばいいんだ』と思ったんです。役の問題ではなく、自分の使い道の問題です。歳月が経って、イ・ハクジュがものすごい映画の主人公になった時、私が彼の祖父として出演する、そんなことを考えています」と打ち明けた。

変化を受け入れることに対する怖さはないとし、「それが俳優としての人生だと思います。ロバート・デ・ニーロは、年を取っても相変わらず作品に出演して俳優として生きているけれど、それを見ていいなと思いました。そのように年を取ることができれば、美しい俳優人生ではないかと思います」とつけ加えた。

多数の作品に出演した俳優としての悩みも打ち明けた。イ・ソンミンは「同じ俳優が何度も出演することに対する不安は持っています。キャラクターの変奏が自分にできることだから、観客に理解してもらえるんじゃないだろうか。だとしたら、同じ俳優が登場する別のドラマに入り込む上でもあまり邪魔にならないんじゃないかと思います。キャラクターの変奏に最善を尽くしています」と話した。

続いて「作品がよければやります。断ることはできません。だから休まず作品に出演しているのだと思います。自分が嫌いなストーリー、嫌いなキャラクターをやることはないですから。この作品を通じて、これまでより良いものを見せることが出来るんだと、絶えず挑戦するのが自分の職業だと思います。ずっと残念な部分が残るから、また別のことに挑戦しているのだと思います」と伝えた。

記者 : パク・ジョンミン