日本でも話題の小説「アーモンド」作者の同意なしに演劇を制作・上演…出版社が経緯を説明し謝罪

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写真=チャンビ
韓国で40万部を売り上げ、日本でも2020年「本屋大賞」の翻訳小説部門で1位を獲得した長編小説「アーモンド」を原作にする演劇が、著作権者の同意なしに制作されたことが明らかになり、議論を呼んでいる。

この事案を解決する過程で、著作権の仲介を担当する出版社「創作と批評(以下、チャンビ)」が著作権者の権利を十分に保護できなかった点について、批判の声が相次いだ。

チャンビは本日(5日)、この議論に関する経緯を説明し、原作者のソン・ウォンピョンに正式に謝罪した。

チャンビの関係者は「弊社の出版図書であるソン・ウォンピョンの長編小説『アーモンド』を原作にする演劇(2019年9月に初演、2021年5月に第2回公演、2022年5月に第3回公演)の4回公演の企画が、著作権者および著作権の仲介を担当している出版社の同意なしに行われているという事実を、10月17日、龍仁(ヨンイン)文化財団のオンライン報道資料を通じて発見された」と伝え、「10月18日に制作を務めた財団と劇団に、この事案について抗議し、経緯の把握および事実確認、契約条件の伝達を要請した。その後、11月29日に劇団側の契約条件を最終的に受け取り、著作権者である作家に該当事案を知らせ、二次創作物の使用許可の有無を案内した」と説明した。

また「初演から演劇を上演した劇団側と、龍仁文化財団の公演を主観した高陽(コヤン)文化財団に抗議する一方、『アーモンド』が従来、演劇やミュージカルとして上演された前例に従って、劇団と使用条件について協議しようと努力した」と付け加えた。

しかし「その事実を事前に作家に知らせず、協議が遅延した結果、著作権者である作家の同意がない公演が契約なしに準備されることになり、契約条件を含む再公演の事実を公演開始の4日前に告知するなど、著作権侵害が懸念される状況を作家に迅速に共有したり、早速に解決することができなくなった」と過ちを認めた。

このため「作家は演劇がいきなり中止になった場合に発生しうる、出演陣と観客の混乱やあらゆる問題を懸念して、演劇上演の中止は要求しなかったが、深刻な精神的被害を被ることになった」という。

そして「弊社は、小説作品を映画や演劇に制作することに、とても慎重な立場を見せてきた作家の意思を確認しないまま、今回の事案を進め、二次創作の管理において、著作権者の許可が最優先という原則を見落とし、著作権者の権利を十分に保護できなかった」とし「この過程でショックを受けた著作権者のソン・ウォンピョンさんに深くお詫びする。二度とこのような問題が発生しないよう、徹底して手続きを点検し、努力する」と謝罪した。

写真=チャンビ SNS
チャンビは謝罪文と共に、ソン・ウォンピョンのコメントも公開した。

彼女は「『作家の基本的な権利が守られている』という最小限の条件だけ確認した後、ひたすら作品の創作にだけ集中すること、それ以外のことに注ぐエネルギーは最小化すること。それが作家として守ってきた大事な原則であり、自分のルーティンだった」と告白した。

しかし「本公演は、作家と出版社が全く認知できなかった間に確定された場所と日程で広報されていた上に、10月17日の報道資料を通じて、一歩遅れてその事実を知ることになったチャンビの青少年出版部と著作権部が、すでに作家と出版社の同意なしに上演日まで明記され、商業的に広報されている重大な著作権侵害の状況について、該当事案を阻止したり強力な釈明を要求せず、どういうわけか、それから6週間、演出家のミン・セロムさんとだけコミュニケーションを取り、作家兼著作権者である自分に、この事件の発生と、上演日が確定した事実を一切知らせなかったことを確認した」と伝えた。

続けて「一番先に進めるべき『著作権者の同意』は最も優先度を低くされ、著作権者である作家の私は、この演劇を予約した観客よりも遅れて、公演開始の4日前に『アーモンド』が上演されるという事実を認知した。演出家のミン・セロムさんは個人的な健康上の理由と不覚、安逸を、チャンビの両部署は不覚、安逸、よりいい条件のための協議、ミンさんと連絡が取れないなどの理由をあげ、数ヶ月間の経緯について釈明したが、私は彼らが違法に値する重大な事案を作家に知らせなかった時間が長かったことについて、理解できなかった」と怒りを爆発させた。

そして「この事件は、作家の保護者になるべき出版社の編集部、作家の権利を保護すべき出版社の著作権部、そしてある意味では創作者という面で、1人の同僚と言える演劇演出家が、“著作権”についてどれほど貧弱な認識を持っていたのかが、如実に現れたとんでもない事件だ」と強く批判した。

結局「著作権という概念が無視される状況、創作者の魂がむやみに毀損される状況を傍観してはいけないと結論を出した」と強調した。また「チャンビは、作家の権利を守って保護する出版社として、骨身を削るリノベーションと革新を起さないといけない。最初に許可も得なかった公演が、上演日まで確定して広報されていたことを認知した時点に戻り、著作権侵害が懸念される状況について検討し、ミンさんとそれ以外の主体に、作家に代わって正当な異議を提起する手続きを、今からでも行わないといけない。その手続きをすぐ実行すべきだったチャンビ内部の複数のチームと多数の責任者が、この事態の深刻性を認知せず、長期間無視して放置してきたので、彼らについても適切な措置を取らなければならない」と強力に要求した。

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記者 : パク・ユンジン