【REPORT】キム・ジョングァン監督、映画「夜明けの詩」舞台挨拶に登場!日本への愛&気になる女優について明かす

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11月26日(土)に映画「夜明けの詩」の舞台挨拶が行われ、監督のキム・ジョングァンがファンに挨拶した。

シネマート新宿に大勢の観客が詰めかけ、キム・ジョングァン監督、古家正亨氏が登壇すると、割れんばかりの拍手がおくられた。キム・ジョングァン監督は「初めまして、キム・ジョングァンです。本日は宜しくお願い致します」と挨拶。

日本通として知られる彼だが、実は「広島国際映画祭 2022」に参加するため、11月16日から日本に滞在していたという。「日本の小説や映画が好きで、プライベートでも日本に旅行で来ています。作り手として、日本の素晴らしい作品に影響を受けています。また、日本を訪れると、心が安らぎ、制作者としてのヒントも得ることが出来ます」と、親日家ぶりも披露してくれた。

続けて、韓国大衆文化ジャーナリストとして活動し、韓流コンテンツを知り尽くした古家正亨がMCを務めて、映画「夜明けの詩」について、真摯な質問を投げかけていく。何故本作を撮影したのかと問われたキム・ジョングァン監督が、その理由を語ってくれた。

彼は「本作を撮る前に、ハン・ジミンさんと、ナム・ジュヒョクさんが出演した映画『ジョゼと虎と魚たち』の監督を務めました。『ジョゼと虎と魚たち』は、メジャー作品として。本作は、『第20回 全州国際映画祭』の全州シネマプロジェクトとして、同じ年に制作したんです」と伝え、「映画『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』という作品があり、ある空間で起きる1日の対話劇を描いたのですが、このスタイルを踏襲した別作品を作りたいと考えました。対話劇というジャンルに、非常に魅力を感じています」と解説。その返答を受けた古家正亨は、監督が紡ぎ出した映像美、作品性に魅了されたと賞賛した。

主演を務めた“ロマンス職人”ヨン・ウジン、“国民の妹”イ・ジウン(IU)といった、日本でも人気がある役者をキャスティングした経緯を、キム・ジョングァン監督が明かしてくれた。「ヨン・ウジンさんは、映画『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』で、一緒に仕事をさせていただきました。彼が演じたチャンソクは、対話を重ねていきながら、内面も変化していき、創作に繋げていくという役柄です。繊細かつリアクションが大事なキャラクターだと考えた時に、その演技を体現出来るのは、ヨン・ウジンさんしかいないと思いました」と明かした。

また「イ・ジウンさんは、『ペルソナ -仮面の下の素顔-』の『夜の散歩』という作品でご一緒しました。この作品のテーマが“生と死”を扱っていて、『夜明けの詩』と同じだったんです。なのでシナリオを着想したときに、イ・ジウンさんに相談してみました。大スターである彼女は、非常に挑戦好きだと思っているので、オファーしてみたんです」と、一番気になる情報を公表してくれた。

ここで古家正亨が、本作と日本が繋がる小ネタを披露してくれた。本編で登場するBarのシーンで使われたウイスキーグラスは、なんと新宿のゴールデン街で手に入れたものだと明かすと、観客からは驚きの声が上がった。入手時のエピソードを問われた、キム・ジョングァン監督が面白いエピソードを披露した。

彼は「新宿ゴールデン街には、多くのBarが存在しています。とあるBarでお酒を飲んでいたのですが、マスターが使っていたグラスが、とても美しかったんです。一部欠けていたグラスでしたが、何故か魅了されてしまったんです。その印象をマスターに伝えたところ、『僕は、いつも美しいと思いながら飲んでいるんです。初めて会った方に、そう言われて非常に嬉しいです。このグラスの良さに気づいてくれる方は、今まで出会えなかった』と言って、私にプレゼントしてくれたんです。なんだか悪いなと思いながらも、一つの思い出として受け取りました。でもその時のマスターは、恐らく酔っていたと思います(笑)。ただBarでの体験を、『夜明けの詩』にも落とし込みました」と、魅力のある経験談を語ってくれた。

続けて古家正亨より、グラスをくれたBarのマスターに対して、映画にウイスキーグラスを登場させたことを告げたのかと、サブ・クエスチョンが展開された。「実はマスターにお知らせしたいので、昨日ゴールデン街に行ったんです。でもそのお店が見つからないんですよね(笑)。本当にお店が多すぎて、未だに見つからないんです」と、キム・ジョングァン監督が笑顔で答えると、客席から笑い声が聞こえてきた。

また新宿ゴールデン街の魅力について問われると、「自称・路地好きなんですよ(笑)。僕の映画には、多くの路地が登場していまして、新宿ゴールデン街は、素敵な路地で溢れています。今後新宿ゴールデン街を舞台にした作品を、創作できるのではないかと考えています」と、日本を舞台にしたディープな構想も明かしてくれた。

さらにここで映画を鑑賞した観客から、Q&Aも受け付けた。「『夜明けの詩』は、全体的にイギリス映画の様な、静かで鬱々とした雰囲気を感じました。この作品で光を照らすとした場合、どのシーンが当てはまりますか」という質問にキム・ジョングァン監督は「本作は、うら寂しい作品だと言えます。撮影監督とよく話したのですが、あらゆる物事には“光と闇”があると思います。その闇の中にある“光と闇”を、探してみようと思ったんです。本作で登場するシーンの中に、スクリーンが闇に包まれる瞬間があります。その暗さは、見る人に対して負担にならないように、気を付けながら撮影したんです。これは“生と死”を描くうえで大事な事で、絶望・否定的な部分だけでなく、希望もあるんだという事を表現出来たと思っています」と明かした。

また「日本がお好きだと伺いましたが、気になる俳優さん等いらっしゃいますか」という問いには「沢山の作品を手掛けた、成瀬巳喜男監督を尊敬しています。私も一つの作品だけなく、コツコツと積み上げていきたいと思っています。また犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』には、多くの影響を受けました。素晴らしい監督と役者さんたちの演技に感銘を受けたんです。いつか関わった人たちと、作品を共に出来たらなと思っています」と伝えた。

古家正亨より、具体的な役者名を問われると、キム・ジョングァン監督は恐れ多いと語りつつ、恥じらいながらも「女優さん主体の対話劇を作りたいと思っています。安藤サクラさん、黒木華さんは、とても気になっている女優さんです」と明かした。

盛り上がりをみせた舞台挨拶も、終わりの時間を迎えた。最後にキム・ジョングァン監督が、観客に向けて挨拶した。「『夜明けの詩』は、寂しさが漂う作品ですが、その中に希望の様なものを感じ取れる映画だと思います。映画を通して、様々な感情を感じてもらえると嬉しいです。作品は、お会いした事がない人や、感性が似ている方に向けての手紙だと思っています。是非沢山の方に、映画館で観て頂きたいです」と締めくくり、盛大な拍手を送られながら、イベントは終了した。

■作品情報
「夜明けの詩」
11月25日(金)より全国公開

<出演>
ヨン・ウジン「39歳」「愛に奉仕せよ」
IU(イ・ジウン)「ベイビー・ブローカー」「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」
キム・サンホ「ビューティー・インサイド」
イ・ジュヨン「サムジンカンパニー1995」
ユン・ヘリ「ジョゼと虎と魚たち」

監督:キム・ジョングァン「ジョゼと虎と魚たち」

2021年 / 韓国 / 韓国語 / 82分 / カラー / シネスコ / 5.1ch / 原題:아무도 없는곳 / 英題:SHADES OF THE HEART / 字幕翻訳:深田あゆみ
配給:シンカ
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<ストーリー>
まだ冬が残るソウル。小説家のチャンソク(ヨン・ウジン)は、イギリスから7年ぶりに帰ってくる。時間を失くした女、想い出を燃やす編集者、希望を探す写真家、記憶を買うバーテンダー。心に深い葛藤を抱えながらも、人生を歩み続ける4人との出会いを経て、チャンソク自らも、心に閉ざしてきた記憶と向き合う時がきた……。

■関連リンク
「夜明けの詩」公式サイト:https://synca.jp/yoakenouta/

記者 : Kstyle編集部