「高速道路家族」ラ・ミラン、ペク・ヒョンジンと初対面で夫婦役に“気まずい雰囲気が逆に良かった”

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写真=C-JeSエンターテインメント
女優ラ・ミランの好演が際立つ映画「高速道路家族」が、韓国で注目を集めている。

同作は、生きるのは遊び、人生は旅行のようなものだと考えている高速道路のサービスエリアで暮らす家族が、偶然ある夫婦に出会うことから予期せぬ事件を経験することになる物語だ。ラ・ミランは劇中、中古家具屋を運営するヨンソン役を演じる。事故で息子を失った苦しみを抱えている彼女は、サービスエリアで偶然会った家族にお金を渡し、再会した際にジスク(キム・スルギ)と子どもたちを家に連れてくる。

ラ・ミランはヨンソンを通じて、特有のラフでリアルな演技で、劇の流れをリードした。自然なテンポで繰り広げられる感情の演技は、ヨンソンの心の傷を完璧に表現した。また涙を流す彼女の姿は、複雑な感情を持つヨンソンの性格を完璧に描き出し、深い余韻を残した。

作品の演出を手掛けたイ・サンムン監督は「シナリオの制作段階から、ヨンソン役にラ・ミランさんを念頭に置いていました。現場での集中力がすごい女優さんです。自然に出た一言から、彼女が今回のシナリオについてどのように感じているのか、ヨンソンをどういう風に解釈しているかが見えるほどでした。彼女の笑顔の裏にある影は、人の心を揺るがし、幅い表現力と心を込めた演技は、観客を説得する力を持っています。そのため、キャラクターについてよりも、一瞬一瞬のシーンの感情について話し合いました」と絶賛した。以下はラ・ミランの一問一答である。

――出演を決めた理由と、台本を読んだ時の感想を教えてください。

ラ・ミラン:ストーリーが面白かったです。世界のすべての人はそれぞれの痛みを持っているはずですが、ヨンソンもそんな人の中で、やっと毎日を耐えている人物です。偶然出会ったギウ(チョン・イル)の家族が、ヨンソンにとっては再び元気を取り戻して生きられる、一筋の光のような存在だったのかもしれません。普段の性格が、ヨンソンと似ているので楽でした。この家族のストーリーを見て色々考えることができてよかったと思いましたし、観客の皆さんも私と同じ気持ちだと思います。

――やっと毎日を耐えているヨンソンは、高速道路である家族に出会って、感情に変化が起こる人物ですが、彼女の感情の変化を表現するために重点を置いた部分と、役作りで特に準備した点はありますか?

ラ・ミラン:この家族を見て自然に沸いてくる感情が色々あったのですが、感情が段階的に変わっていきました。最初は家族と子どもたちを見て心が揺れましたが、再会した時は喜びもつかの間、「裏切られた」と感じるように、ヨンソンの感情は徐々に変化していきます。その中でヨンソンが持っている基本的な感情が最も大事でした。その感情によって、その家族を眺める目線や感情が変わるからです。おそらく、平穏な人生を生きている人だったら、違う感情を感じるかもしれないですが、ヨンソンは痛みと虚しさを抱えている人物なので、その家族に特別な感情を持ったのだと思います。特別に準備したことはなく、ただヨンソンの気持ちを理解して、共感しようと思いました。

――撮影中に記憶に残っているエピソードはありますか?

ラ・ミラン:子どもたちとの撮影がすごく楽しかったです。子どもたちもすぐに慣れて、みんなと家族同然の関係になっていました。私も気楽な状態で参加したので、楽しくて愉快な撮影現場でした。

――もし、ラ・ミランさんがヨンソンと同じ状況だったら、同じ選択をしたと思いますか?

ラ・ミラン:(その選択を下すのは)簡単ではありません。おそらく、自分だったら通報しなかったと思います。ヨンソンと同じ状況だったとして、「自分が責任を負うことができるか」と考えてみると、最悪の瞬間まで考えてしまう性格なので、ヨンソンのように選択できる自信はありません。難しいですね。

――ペク・ヒョンジンさんとの夫婦の演技が印象的でした。彼との相性はいかがでしたか?

ラ・ミラン:完成した映像を見ると、少しすねたような彼の呼吸が笑いのポイントになってよかったと思いました。夫の立場も十分に理解できますし、それを受け入れられないヨンソンの立場も理解できます。それでも作品の中で夫が、ヨンソンに力になってくれていると感じました。家での撮影シーンが、ペク・ヒョンジンさんとの初めての撮影シーンでしたが、初対面で気まずかった雰囲気が、逆に関係が良くない夫婦の姿をリアルに表現するのに役立ったようです。

――今年3本の作品に出演されました。久しぶりに観客とより近くでコミュニケーションをとり、様々な作品を通じてラ・ミランさんの魅力を見せることができた一年だったのではないでしょうか?

ラ・ミラン:様々な姿を見せたことが、プラスになったのかは自信が持てません。実は一回に色んな姿を見せることに、プレッシャーを感じたりもしました。観客の皆さんも、いろいろな作品のキャラクターに集中することが大変だったのではないかと思います。短期間に3本の作品に出演しましたが、観客の好みによってみる作品を選択できると思うと、心が楽になりました。それでもキャラクターが(ほかの作品と)重なってしまうから嫌だとか、という反応は聞きたくありません。私がこれからも皆さんに会うために、一生懸命に活動する予定です。楽しみにしていてください。

――コメディー、ロマンスに続き、ヒューマンドラマまで、様々なジャンルのキャラクターに挑戦しましたが、大変ではありませんでしたか?

ラ・ミラン:コメディ物に出演してからは休みが必要でしたが、自分を癒してくれる作品が必要な時期に、この作品に出会いました。自分にとっては必要な作品でした。劇の内容や人物の性格が変わるだけで、演技に接する態度は同じです。別のストーリーの中で話し手になって演じます。ヨンソンの言葉で演技しました。

――ラ・ミランさんが選ぶこの作品の注目ポイントを教えてください。

ラ・ミラン:シナリオを読んで、完成した作品を見て感じましたが、見ているといつの間にか思わず、胸の中が熱くなる作品です。感じるべき、見るべき注目ポイントよりも、作品を通じて感じることや、共感できるかに集中していただきたいです。

記者 : ヤン・ユジン