イ・ビョンホン、映画「非常宣言」で自身の経験をふまえた演技を披露“機内でパニック障害を経験したことがある”

OSEN |

写真=BHエンターテインメント
映画「非常宣言」に出演したイ・ビョンホンがVIP試写会に来た妻のイ・ミンジョンから、共演したソン・ガンホ、チョン・ドヨン、イム・シワンまで、俳優たちに向けた愛情を表した。

最近、オンラインを通じて映画「非常宣言」の主演俳優イ・ビョンホンのインタビューが行われた。

「非常宣言」(監督:ハン・ジェリム)は、高度28000フィートで起こった航空テロで、“無条件着陸”を宣言した飛行機と災難に立ち向かう人々の物語を描いた。

イ・ビョンホンは同作でアトピーを患う娘と共に飛行機に搭乗したジェヒョク役を引き受けた。過去、ひどい飛行機事故に遭い、トラウマ、パニック障害を経験する人物だ。「KCIA 南山の部長たち」以来、約2年ぶりにスクリーンに復帰した。彼は最近韓国で放送終了したtvN「私たちのブルース」にも出演して愛された。

「非常宣言」は、「優雅な世界」(2007)、「観相師」(2013)、「ザ・キング」(2017) などを手掛けたハン・ジェリム監督の作品で、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ナムギル、イム・シワン、キム・ソジン、パク・ヘジュンまで、韓国を代表する俳優たちが多数出演して公開前から話題を集めていた。同作は昨年開かれた「第74回カンヌ国際映画祭」で芸術性と商業性を兼ね備えた作品を厳選して招待する代表セクションの一つである非コンペティション部門に公式招待された。

イ・ビョンホンは「最初シナリオを読んだ時、緊張感と戸惑いの連続でしたた。その感情でシナリオは終わったのですが、ジェットコースターに乗っているような気持ちで一気に楽しく読みました」とし、「私が演じたジェヒョクは平凡でしたが、なぜこのように恐怖を感じ、不安がっているのか気になる人物です。もちろん映画の後半から全て出てきますが、ジェヒョクが感じる戸惑い、恐怖感は、一番最初に乗客の気持ちを代弁するものになると思います。搭乗した時から恐怖感、不安感を持っているキャラクターですが、そういったものが結局は乗客を代弁することになる人物です」と明かした。

写真=BHエンターテインメント
「KCIA 南山の部長たち」以来久しぶりに新作映画を披露したイ・ビョンホンは「映画が愛された時に新型コロナウイルスのパンデミックが起きて、これまで映画の撮影は熱心にしてきましたが、公開されたのは『非常宣言』が初めてなんです」とし、「1年に多いと2本、少なくても1本の新作で観客に直接会うことが私の日常でしたが、それがある瞬間からぴたっと途絶えました。数年間、そのように観客とのコミュニケーションなしに撮影だけをやってきましたが、試写会で観客に会って何だか新しい感じがしました」と心境を伝えた。

「エターナル」「白頭山大噴火」「非常宣言」などで子供のいる親を演じたが、「『白頭山大噴火』に出た子と『非常宣言』に出た子は姉妹なんです。2人の娘の父親役を演じたのですが、本当に良い俳優たちですね。私も息子がいる父親として経験が与える確信があります」とし「ただ、息子を持つ父と娘を持つ父の違いを、知人たちを見ながら観察しました。そして確実に違いがありました。子供と遊ぶ方法も違いました」と話した。

これに先立ち、メディア試写会でも若い時期にパニック障害を経験したと話したイ・ビョンホン。彼は「25~26歳の時、1997年に韓国で放送されたSBSドラマ『美しい彼女』を終えて、アメリカに行こうと飛行機に乗りました。その時初めてパニック障害を経験し、その時の記憶は鮮明です。『私はここで死ぬんだ』と思いましたし、その記憶がとても衝撃的だったんです。機内に医者がいるかと放送もしました。幸い、アメリカに無事到着することができたのですが、その時は途中で別の国に着陸できると思っていました。しかし、止められないと言われたんです。息ができなくてとても大変でした。今では笑って話すことができますが、当時は本当に辛い記憶でした」と明かした。

続いて「実際にパニック障害を経験したことがあるため、このキャラクターに共感したというよりは、その部分をよりうまく表現できると思いました。ジェヒョクというキャラクターを表現する過程で、どんな恐怖、症状を感じ、呼吸はどうなのか、このような点をハン・ジェリム監督とたくさん話しました」とし、「飛行機に乗るだけで恐怖を感じ、安定剤も必要なのに、機内で衝撃的なことが重なって、症状が繰り返し出てきます。パニック障害の表現は、それを知っている人間としてよりリアルに表現したいと思いました」と話した。

写真=BHエンターテインメント
最近行われた「非常宣言」VIP試写会には数多くのスターたちが参加した中、イ・ビョンホンの妻イ・ミンジョンも登場して話題を集めた。

これに対してイ・ビョンホンは「実は今回、妻が他の作品の撮影中なので、行けるかどうか分からないと言っていたんです。『それでも来ないと』『来てくれたら嬉しい』と言いましたが、幸いなことに来てくれました」とし、「ですがお互いあまりにも忙しくて、メールも送れませんでした。私も一日中舞台挨拶などのスケジュールがあって、メールを見る時間がなかったのですが、妻からもメールは来ていませんでした」と言って笑った。

彼は「試写会が終わって、後になって『次の日撮影があったのに、目がはれちゃってどうするつもり』というような内容のメールが来ていましたね」とし、「私は深夜から撮影があるから早く帰って家にいると言っていました」と夫婦の日常を公開した。

ソン・ガンホ、チョン・ドヨンら演技派俳優と共演したイ・ビョンホンは、「シナリオが良くても結果は分からないものです。さらによくなることもあれば、ストーリーは良いのに作る過程で間違った方向に進んで作品が愛されないこともあります」とし「まず、一緒に演技するキャストたちが素晴らしいと、自信を持つことができます。そして頼ることのできる映画はたくさん愛される可能性が高いため、楽しく仕事ができる背景になると思います。ですので天軍万馬を得たような気分で撮影しました」と笑顔を見せた。

写真=BHエンターテインメント
テロを計画した謎の男を演じた後輩のイム・シワンとは序盤の1時間を率いていくが、「もしこんな人がいたら本当に恐いだろうだという気がしました。映画の最初から不吉な感じをもたらすキャラクターですが、それを100%受け取ったのがジェヒョクだと思いました。飛行機に一人ではなく、自分の娘と乗って、そこでとても怪しい、精神異常者のような雰囲気の人物が目の前に存在し続け、同じ空間にいるということ自体がすごく神経を使いますし、ストレスになって恐いと思います。イム・シワンさんがあまりにもその役に合った表情と目つきで演技を上手くやっていたので、私が演じた部分と良いケミ(ケミストリー、相手との相性)が出てくるのではないかと思います」と称賛を惜しまなかった。

イ・ビョンホンは「テロを起こした犯人というキャラクターではありますが、『非常宣言』チーム全体が末っ子イム・シワンを可愛がっていると思います」という言葉に、「映画での姿とは違い、とても可愛い後輩です。すごく可愛くて、突拍子もなく、質問が多いです。その質問自体が突拍子もなくて、簡単に答えられる質問ではなく、私もたくさん考えなければなりません。個人的にも私にメールでたくさん質問をしてきて、時々会ってご飯を食べて、一杯する後輩ですね」と愛情を示した。

「『イ・ビョンホン演技は認める』という言葉についてはどう思いますか?」という言葉に彼は「たまに周りから同じ言葉を聞くとうんざりしませんかと聞かれるのですが、その言葉は聞く度に嬉しいですし、俳優として幸せなことですね」とし、「時々、私が観客に期待よりもよくない姿を見せる瞬間もあるでしょう。それも心配ではありますが、ただ私が役に最善を尽くしたと判断されれば、その後は観客にお任せすることだと思います。私は最前を尽くしたと思えれば、それでいいと思います。普通、そのような場合は良い話を聞くことになるので、そういうことに期待して仕事をするようになると思います」と笑った。

記者 : ハ・スジョン