MONSTA X キヒョン「メンバーの考えていることは目を見なくても分かる…今は家族よりも近い存在」

@STYLE |

爽やかでありながらもセクシーな歌声、パワフルなパフォーマンスにも揺れない声量、高音まで。声そのものが“極楽への座標”であるボーカル、MONSTA Xのキヒョン。MONSTA Xが名実共にK-POPを代表するアイドルとして全世界のファンから爆発的な支持を得られるようになったのは、メインボーカルのキヒョンの役割も大きかった。ポップとロックを行き来するキヒョンのソウルフルな歌声は、MONSTA Xの音楽において中心的な役割を果たし、ソロとしてもトップアーティストになった。先日、彼はデビュー7年で自身だけの色を詰め込んだ1stシングルをリリースして、音楽界で圧倒的な存在感を見せた。“MONSTA Xのプライド”と呼ばれるだけのことはある。できないことなどないキヒョン。彼の存在そのものがファンタジーだ。

―― 初動売上の自己最高記録更新に音楽番組2冠王まで、今回のカムバックも「MONSTA XがMONSTA Xした」と言いたいです。ファンの熱い声援の中で活動を終了した感想はいかがですか?

キヒョン:実は今回のアルバムは、僕たちにとっては無謀な挑戦だったんです。2つの選択肢がありました。元々得意なステージをやるか、ジュホンが手掛けた新しいスタイルの音楽を試みるか……。いつも挑戦する姿を見せてきたMONSTA Xなので、「今回も新しいことにチャレンジしてみよう!」という気持ちで出したアルバムです。はらはらする気持ちで出したんですけど、多くの方々に好評していただいて本当に嬉しかったです。本当にありがとうございます。

―― 「SHAPE of LOVE」は、“愛”をテーマにしたアルバムです。ヒョンウォンさんのナレーションバージョンで質問してみます。キヒョンさんは、愛は何だと思いますか?

キヒョン:練習してレコーディングする度に、愛に関する歌詞が何度も出てくるので、考えざるを得なかったんです。今回のアルバムを準備しながら愛とは何か、僕なりに考えてみました。僕は「自分の一部を取り出して、相手にあげること」が愛ではないかと思います。自分を取り出した分だけ相手につぎ込むか、もしくは自分でいっぱいだった空間を空けて、他の人で埋め尽くすこと。それが愛ではないでしょうか? 確実に愛には犠牲が必要だと思います。

―― 先日、3年ぶりに対面ファンコンサートを開きました。ファンの歓声や“テチャン”(歌に沿って一緒に歌うこと)でいっぱいの公演で、これまでの悔しさを晴らす公演になったんじゃないでしょうか?

キヒョン:コロナ渦にファンに2~3回ほどお会いしたんですけど、それも少人数で遠く離れている場所だったので、すごく残念だったんです。また、これまで公演を非対面でやったので活気がなく、ステージの大変さをそっくりそのまま感じたりもしていました。しかし今回対面コンサートをやって、「これが歌手だろう!」ということを改めて感じました。歓声もあってテチャンもして、ファンの方々からフィードバックをすぐに受けられるので、ステージに立つ喜びが感じられました。幸せでした。「これが本当のステージなんだ」と思って、次の日まで夢見心地で実感が湧きませんでした。

―― 米州ツアーが始まりますが、お気持ちはいかがですか?

キヒョン:実はファンに申し訳ない気持ちでした。ずっと延期された公演だったんです。すぐに行く、状況が良くなれば会えるだろうと、ずっと先が見えない約束だけをして時間を過ごしました。そうやって2年が経ちました。そしてついにツアーの日程が決まりました。申し訳ない気持ちと感謝する気持ちが同時にあって、本当に素敵なステージでお応えしたいです。ファンもメンバーたちも、これまでのわだかまりを全部解消する公演になると思います。

―― ヘムチ(ハムスターみたい)、ユソルセン(ドキドキさせる顔)など面白いニックネームが多いです。1番愛着を持っているニックネームは何ですか?

キヒョン:K-POPの神様です。身に余るもので、ちょっと恥ずかしいニックネームですが、歌を歌う人としてこのように言われるのは、本当にありがたいことです。K-POPの神様というニックネームは大きな刺激になります。「これほどのステージでは足りない。もっと頑張らなきゃ。もっと良い姿を見せよう」と思って、ニックネームにふさわしい人になるよう、もっと努力するようになるんです。

―― 先日“K-POPの神様”ことキヒョンさんが、ついに1stシングルをリリースしました。遅くなりましたが、“神”人歌手デビュー、おめでとうございます。

キヒョン:ハハ、ありがとうございます。デビュー7年でリリースしました。ソロ活動についてはこれまでも考えてみなかったわけではないんですけど、グループのスケジュールだけでも忙しくて、考えられませんでした。そしてメインボーカルでもあるので、初のソロ曲を慎重に選びたいという欲もたくさんありました。自分が本当に上手くできる、良い曲にしたかったんです。でもある日、副社長と打ち合わせをした時、曲を1つ聴かせてもらったんですけど、頭を打たれたかのように良かったんです。もうこれは自分の曲だと思いました。聴いてすぐにその場で「やる」と言いました。スケジュールがタイトだったんですけど、なんとしてでも必ずやらなければいけないと思いました。ファンの方々も好評していただいて嬉しかったです。

―― ソロ活動の満足度は、100点満点中、何点でしょうか?

キヒョン:自分自身を高く評価するタイプではないんですけど、今回のソロシングルはそれでも85点くらいはあげたいです。初のソロシングルですけど、僕が見せたいものをたくさん盛り込めたので、「キヒョンが得意な音楽」が何なのかをお見せする作品になったようで、すごく満足しています。

―― キヒョンさんに良い影響を与えるロールモデルはいますか?

キヒョン:最近ハマっているミュージシャンがいます。ハリー・スタイルズです。何だかすごく自由でありながらもセクシーな雰囲気があるミュージシャンですけど、本当に自分の好みにぴったりなんです。ソロ曲を準備しながらも参考にしました。定型化されていないステージを見せますが、それがカッコいいですね。この方のステージをたくさん見ました。良い刺激になる、カッコいいミュージシャンだと思います。

―― 趣味は写真なんですね。最近も撮っているのですか?

キヒョン:たまに撮っています。専門的に習ったことはなくて、ただ1人で趣味でささやかに撮っています。でも今回良い機会をいただいて「SHAPE of LOVE」のアルバムに何枚か参加しました。元々は人物写真を撮るのが好きですけど、自分の写真を撮ることはできないじゃないですか。だからジャケット撮影をした現場で風景写真を何枚が撮ったんですけど、それが収録されました。参加することに意味を見出そうと思って、一生懸命に色を補正して収録することになりました。

――いつの間にか8年目、MONSTA Xはまだ新しく成長を重ねるグループだと思います。挑戦を止めない原動力は何だと思いますか?

キヒョン:MONSTA Xの原動力は当然ファンの方ですね。ファンの無限の応援と愛のおかげで、今のMONSTA Xが存在することができました。メンバーたちも努力を本当にたくさんしました。僕たちはデビューした時から大ヒットを記録したケースではありません。階段を一つずつ上がってきたグループです。努力してきた時間に慣れて、今は体に染みついたようです。メンバーたちとは本当に話をたくさんします。今回はこれをやってみよう、あれをやってみようと言いながらお互いに意見もたくさん出します。安住しないグループになろうと努力しています。

―― 努力派が集まったグループじゃないですか。

キヒョン:メンバーみんなが初心を忘れずにいつも努力をしてきたと思います。ステージに対する「態度」がとても重要だと思います。年輪が重なって慣れや経験がステージに加わるのはいいですが「僕たちもう8年目のグループじゃない?」という態度はよくないと思います。「年をとって大変だね」こんな言葉も好きではありません。年をちょっと積み重ねたからと言って自慢して、休み休み、いい加減なステージはやりたくないです。

―― 韓国国内で発売したアルバムだけで14枚です。8年間休みなくMONSTA Xとして活動していた過去を振り返ってみていかがですか?

キヒョン:デビューして4年ほどはどのように過ごしたのか記憶にないほど忙しく生きてきました。その時は個人の時間のようなものは全くなかったです。たった一日も休めず、本当に一生懸命前だけを見て走りました。一生懸命やればすべてうまくいくと思ったのですが、そうではありませんでした。それを悟ったのが2~3年前です。隣も見て後ろも見ながら生きなければならないのに、前だけを見て生きているから、逃していたものがたくさんありました。数年前から、大切なものを失うことなく生きていこうと心に決めました。最近はゲームや写真のような趣味も楽しんで、友達にも会いながら過ごしています。

―― MONSTA Xをロールモデルに挙げる後輩アイドルたちも出てきたじゃないですか。特別な気分だと思います。

キヒョン:本当に嬉しかったです。僕はメインボーカルですが、何人かが本当にありがたいことに、僕のことを褒めてくれたこともありました。ハハ、恥ずかしいですね。恥ずかしいですが、本当に嬉しいです。「深夜アイドル」に出演しながら本当にたくさんのアイドルに会いました。その度に僕たちに対してものすごい先輩グループのように対応してくださいますが、照れながらもとても嬉しいんです(笑)。

―― MONSTA Xと言えばチームワークは欠かせません。今は目が合うだけで分かる間柄のようですね。

キヒョン:目を見なくても分かります。見なくても言葉やジェスチャーだけでメンバーたちがどんな気分なのか分かります。お腹が空いたんだ、今日はちょっと体調が悪いんだっていうことはすぐに分かりますよ。僕たちは本当に隠していることがありません。何か不便なことがあればその場ですぐ話します。ものすごいけんかをしたこともあります。そのような過程を経て、お互いをより理解できるようになったと思います。親しいけれどラインもしっかり守りますよ。からかいながらも越えてはならないラインがどこなのか分かるんです。お互いがお互いにうまく合わせられる関係だと思います。

―― MONSTA Xのメンバーはキヒョンさんにとってどんな存在ですか?

キヒョン:こんなことを言うと家族が悲しむかもしれませんが、今は家族よりも近い存在です。家族にできない話をメンバーには全部話しますからね。「家族にこの話をしてもいいかな?」とメンバーに聞いてみます。メンバーたちは僕にとって仲間、友人、家族以上の存在だと思います。

―― MONSTA Xは、ファンへの愛がグループのアイデンティティであるだけに、MONBEBEに対する愛情が格別だと思います。

キヒョン:メンバーたちは普段から本当に面白いんです。でもMONBEBEはもっと笑えます(笑)。MONBEBEがファンダム(特定のファンの集まり)の間でも面白いことで有名です。表現自体もすごく荒くてためらいがないです。それがメンバーたちとぴったり合うんです。ティキタカ(相性が良く、ポンポンとやり取りする様子)がいいと言うべきでしょうか。他のグループのファンの方々が僕たちを見るととても驚くことが多いです。お互い遠慮なく本当の友達のように、そしてけっこう冗談を言ったりもしますので。僕たちの間柄をうらやましがる他のグループのファンの方々もたくさん見ました。MONSTA XにとってMONBEBEは単なるファンダム以上です。友達でもなく恋人でもなく……。魂の同伴者(?)みたいな感じでしょうか。「その歌手にはそのファン」という風に言いますよね。MONSTA XにぴったりのMONBEBEが隣にいていつも楽しいです。

―― 今年ちょうど30歳になりましたね。30代はどのように過ごしていきたいですか?

キヒョン:20代は、本当に熾烈に生きてきました。一生懸命に前だけ見て走ってきました。20代後半になってから、手に負えなくなったんです。自分自身をケアしながら生きなければならないということを感じました。前の桁が変わったので新しいスタートをしてみたいです。自分自身にもっと気を使って、周りも見回しながら余裕を探そうと思います。

―― 今後、MONSTA Xがどんなグループとして記憶されてほしいですか?

キヒョン:今のようにフレンドリーで面白いグループです。コメディアンでもないのに、なぜこんなに笑いに対する欲があるのか分からないですが(笑)。誰にとっても面白くて笑える、愉快なグループとして記憶されたいです。でもステージの上に立った時だけは誰も笑えないグループ。そう記憶されたらいいですね。

記者 : ファン・ヨンド