パク・チャヌク監督、映画「別れる決心」のキャスティングに言及“俳優を決めてから作業を行った”

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写真=CJ ENM
“世界的な巨匠”パク・チャヌク監督が俳優のタン・ウェイ、パク・ヘイルのキャスティングビハインドストーリーなど、「第75回カンヌ国際映画祭」で監督賞を与えた映画「別れる決心」に言及した。

最近、彼はマイデイリーとのオンラインインタビューを行い、韓国で公開された新作「別れる決心」について紹介した。

「別れる決心」は、「第75回カンヌ国際映画祭」(2022)で監督賞を受賞した作品だ。同作は、山で起きた変死事件を捜査することになった刑事のヘジュン(パク・ヘイル)が、死亡者の妻ソレ(タン・ウェイ)に出会い、疑いと関心を同時に感じることで始まる物語を描く。

特に、パク・チャヌク監督は「第57回カンヌ国際映画祭」審査委員大賞(「オールド・ボーイ」)受賞、「第62回カンヌ国際映画祭」審査委員賞(「渇き」)受賞、「第69回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門招待(「お嬢さん」)に続き、「第75回カンヌ国際映画祭」監督賞受賞(「別れる決心」)まで、なんと4回も招待されて世界的な地位を再び証明して話題を集めた。

この日、パク・チャヌク監督はタン・ウェイのキャスティングビハインドストーリーも聞かせた。彼は「この作品は、事前にタン・ウェイを念頭に置いて作業しました。主人公のソレを中国人に設定したのも、彼女をキャスティングするためでした。キャラクターに似合う俳優をキャスティングしたのではなく、俳優を決めてから作業を行ったんです」と明かして目を引いた。

また「もちろん、僕がその前に彼女と親交がなかったので、彼女の前作を見て、僕が持っていた漠然とした印象と彼女の魅力に関する考え、彼女への好奇心、そしてこの役割をする彼女の姿を想像しながら脚本を書きました。僕が知っている彼女は『ラスト、コーション』(2007)、『レイトオータム』(2011)、そして『黄金時代』(2014)の俳優だった」と付け加えた。

特に彼は「脚本が完成する前、すでに彼女に会っていたので、キャスティングしようとしました」とし「彼女から『出演する』という答えをもらって、次のストーリーを描きました。彼女と個人的に知っていく過程と、脚本を完成していく過程を同時に進めたと言えます。彼女に対面した後、脚本で反映された部分に言及すると、実際に会ってみたら、思ったより愉快な人でした。そして我が強い性格です。『私はこんな部分が得意だ』『これが私の演技スタイルだ』というように、演技への信念がはっきりしている俳優でした。そのような部分を、脚本で反映しました」と語った。

実際の作業で感じた彼女は、どんな俳優だったのか。パク・チャヌク監督は「彼女が韓国語のセリフが多かったですが、『文法など基礎から学ばないといけない』と意地を張って、愚直に韓国語を学んでいたんです。それに本人のセリフをはじめ、相手俳優のセリフまで覚えて、単語の意味を理解しながら演技しようとしていました。そのおかげで、彼女の韓国語は正確ではなかったですが、単語一つ、助詞一つ、語尾一つにも自分の意図と解釈を込めたセリフを完成することができました」と、タン・ウェイの演技への情熱を称賛した。

また「彼女は一言で言うと、愚直です。何をしてもこのように基礎から着実にしないと、次の段階へ進まないんです。自分が理解してこそ、次の段階へ進む俳優です」と付け加えた。

パク・ヘイルも最初からキャスティングを念頭に入れておいたという。パク・チャヌク監督は「僕と共に脚本作業を行った脚本家のチョン・ソギョンさんに『パク・ヘイルさんを想像しながら、この作品の脚本を書いてみよう』と提案しました。もちろん、彼が出演するという確信はなかったですが、それにもかかわらず、ある映画中のパク・ヘイルさんじゃなく、実際に淡白できれいで、優しいパク・ヘイルさん、そんな人間パク・ヘイルをヘジュンというキャラクターに溶かしてみようという気持ちで作業しました」と伝えた。

そして「ヘジュンは『警察は公務員だ』というはっきりした職業意識と、『市民に奉仕する』という心構えを持つ人物です。ここからヘジュンのすべてがスタートすると思いました」と説明した。

これと共にパク・チャヌク監督は「オールド・ボーイ」のカン・ヘジョン、「親切なクムジャさん」のイ・ヨンエ、「渇き」のキム・オクビン、「お嬢さん」のキム・ミニ、今回「別れる決心」のタン・ウェイまで、各作品で魅力的な女性キャラクターを誕生させる秘訣にも言及した。

彼は「僕は別に性別を区別して、女性キャラクターをもっと丁寧に完成するとかはしません。性別に関係なく同じです。ただ一人一人の個人であるだけで、『女性がこのように行動してもいいのか』『男性を意識して女性がこのように行動する』などと意識しません。ただ、我々の日常でどこかで見たことがある部分を投影しますが、それでこそ、そのキャラクターの行動を理解することができるので。そしていつも人は同じじゃないので、場所が変わると、予期せぬ行動もできるから先入観を持って考えず、様々な様子を持っている存在ということを、事前に認めてキャラクターを作ります」と述べた。

最後に「最も気になるのは、映画を見るのが職業じゃなく、観なくてもいいのにわざと時間を作って劇場へ映画を見に行く観客の方々の反応です。観客の方々の反応が、一番大切だと思います」と伝えた。

記者 : キム・ナラ