映画「ユンヒへ」イム・デヒョン監督が来日!キム・ヒエからのビデオメッセージも…キャストとの再会に感動
Kstyle |
本作は、韓国の地方都市で暮らすシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から一通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー。母の手紙を盗み見てしまった高校生の娘セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性ジュンに会わせようと決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、ジュンが暮らす北海道・小樽へ旅立つユンヒ。一方、小樽で伯母とささやかに暮らすジュンは、ユンヒが自分の書いた手紙を受け取り、小樽に来ていることを知らずにいた。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出し、多くの映画ファンや評論家たちから高い評価を受けた注目作だ。
7月2日(土)、Blu-ray&DVD発売決定を記念して、イム・デヒョン監督とプロデューサーのコウ・キョンランが来日。シネマート新宿での1回限定の「ユンヒへ」特別上映後、ジュン役の中村優子、マサコ役の木野花、リョウコ役の瀧内公美、リュウスケ役の薬丸翔といった日本人キャストも登壇し、舞台挨拶を行った。
イム・デヒョン監督は日本公開時も来日を強く希望していたが、これまでコロナ禍により実現できず、今回が念願の来日イベントとなぅた。また、韓国で撮影中のため登壇が叶わなかったユンヒ役のキム・ヒエからは、この舞台挨拶のためにビデオメッセージも届いた。
撮影当時の思い出について、監督は「日本で『ユンヒへ』が公開された時、早く日本へ行き、皆さんにご挨拶をしたいと思っていましたが、なかなか叶わず、ずっとずっと後になってしまいました。そして今日、撮影を終えてから約3年ぶりに俳優の方々とお会いして、本当に夢のよう、奇跡のようだと思っています。記憶に残っていることは沢山ありますが、俳優の方々と今日お話しをしていたら、撮影当時のことを思い出し、現場のスタッフの声が聞こえてくるような気がしました。例えば、ラインプロデューサーの方の『行きましょうか』と言う声や、助監督の方と一緒に雪を丸めて野球ボールのように投げ合ったりしたことを思い出しました」と振り返った。
中村は「監督とコウさんと最初にお会いした時のことが蘇ってきて、『これはきっと今までとは違う、新しいことが始まる』と、胸が躍ったのを思い出しました」と話した。
瀧内は「私は短い撮影期間での参加でしたが、現場で韓国語の『ハンボンドン(日本語で「もう1回」の意味)』という言葉が流行ったくらい、監督がすごくこだわって、何度も何度もねばっていたことが印象的でした。監督は男性ですが、女性を1人の人間として、女性の物語を描いてくれたことがとても魅力的だと思っています。監督の現場での丁寧さ、少しずつ少しずつ距離を縮めていってくださる感じも、この映画らしくて印象的でした」と監督の熱意について語った。
薬丸は「韓国での公開は3年以上前で、日本での公開初日に舞台挨拶をした時からも半年が経ちますが、今日の特別上映で皆さんのこの作品への愛がすごく強いことを感じて、『全ての作品がこうなったらいいのに』と思いました。とても幸せな気分を噛みしめています」と話した。
コウ・キョンランは、プロデューサーとして韓国と日本のチームをまとめたことについて「もちろん日本と韓国ではシステムが違うこともあるので、最初は苦労もありましたが、両国の素晴らしいスタッフの方々と心を1つにして、現場で力を尽くして作り上げました。撮影当時は雪が降ったり寒かったり、大変なこともありましたが、今振り返ってみると辛くはなかったと思えます」と語った。
木野は、マサコの人物像について「マサコおばさんはねえ……(笑)」と笑顔ながらも、少し考え込むような表情を見せ、「結婚していないということが1つのポイントかなと思っています。マサコを演じるにあたって、それはなぜなのかを考えました。彼女は独身主義者なわけではなく、マイペースでSF小説が好きだったり、ちょっと謎なところがあったりして、きっと自分の時間を楽しく過ごせていて、気が付いたら独り身だったという生き方をしている人かなと思いました。ジュンとの暮らしでも自分なりのペースを守りながら、ジュンがいることを自然に受け入れて、それがジュンもすごく気楽だったのかな、と思っています」と語った。
瀧内は、リョウコの役柄について「リョウコがジュンにかける『今日は月が綺麗ですね』という言葉がありますが、これがリョウコを表していると思います。監督の詩的なところや美的センスを感じて、直接的でもあり間接的でもある、これを大切にして演じていこうと思いました」と語った。そして、中村との共演については「私は夜中の撮影が多かったのですが、韓国からカップラーメンが大量に届いていたことに興奮して、撮影場所のバーでお湯を沸かしてもらったりして(笑)。中村さんは、『撮影が始まったら麺が伸びちゃう!』と私が言っていたのも許してくれた先輩です(笑)」と明かし、木野が「何しに行ったのよ(笑)」とつっこみを入れ、客席の笑いを誘った。
薬丸は、中村と木野との共演について「自分が十代のころから見ているおふたりなので、撮影前はとても緊張しました。でもおふたりはとてもフラットで威圧感なんて全く無く、親戚という役柄には距離感が大事だと思っていたので、おふたりが広い器で受け入れてくれて安心しました」と振り返った。
最後に、監督は「日本は暑いという言葉では表現できないくらい本当に暑いですが、そんな中で皆さんが映画を観に来てくださって胸がいっぱいです。私は『ユンヒへ』の監督であるということがとても幸せです。今日は俳優の方々とプロデューサーと一緒にご挨拶ができて光栄に思っています。皆さんどうかお元気で。今、沢山の準備をして作品をまた作ろうと思っていますので、皆さんにお見せできる機会があれば嬉しいです。本当にありがとうございます」と、感謝にあふれた言葉で締めくくった。
■商品情報
「ユンヒへ」Blu-ray&DVD
2022年11月4日(金)リリース
※レンタルDVDも同日リリース
封入特典:オリジナルポストカードセット、アウタースリーブ(Blu-ray限定)
映像特典:オーディオ・コメンタリー2種、削除シーン、NGシーン、インタビュー映像、メイキング映像、ミュージックビデオ他
監督・脚本:イム・デヒョン
出演:キム・ヒエ(「密会」「夫婦の世界」)、中村優子(「ストロベリーショートケイクス」「野火」)、I.O.I出身キム・ソへ、ソン・ユビン、木野花、瀧内公美、薬丸翔、ユ・ジェミョン(特別出演)ほか
2019年/韓国/シネスコ/カラー/105分/5.1ch/原題:윤희에게/日本語字幕:キム・ヨンヒ、チョ・ミンジョン、根本理恵
(c)2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
<あらすじ>
高校生の娘を持つシングルマザーのユンヒのもとに、いまは韓国を離れて北海道・小樽で暮らす友人から1通の手紙が届いた。もう20年以上も連絡を絶っていた2人には、互いの家族にも打ち明けていない秘密があった……。
■関連リンク
映画「ユンヒへ」日本公式サイト:transformer.co.jp/m/dearyunhee
記者 : Kstyle編集部