カン・ドンウォン「ベイビー・ブローカー」で夢を叶える“是枝裕和監督の作品に出演したかった…BTS(防弾少年団)のVにも感謝”

OSEN |

写真=YG ENTERTAINMENT
「俳優として制作にも関心はありますが、僕は死ぬまで俳優をやることが夢です」

俳優のカン・ドンウォンが、是枝裕和監督の新作「ベイビー・ブローカー」でスクリーンに復帰した。彼は「僕が書いたシノプシス(あらすじ)、シナリオの初稿を7月中に終わらせたいと思っています。来年制作に入るのが目標ですが、俳優として演技をすることが1番重要です」とし、今後の計画を伝えた。映画への出演は、ヨン・サンホ監督の「新感染半島 ファイナル・ステージ」(2020)以来2年ぶりとなる。

同作は「第73回カンヌ映画祭」に公式招待作されたが、新型コロナウイルスの影響で映画祭は開かれなかった。そのためカン・ドンウォンは、自身の出演映画でカンヌ映画祭を訪問できなかった。

しかし「ベイビー・ブローカー」で、ついにその夢を叶えることができた。今年開かれた「第75回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門に選出されたのだ。カン・ドンウォンが2018年にレッドカーペットを歩いてから、4年ぶりにカンヌを訪問した。

「是枝裕和監督の作品にぜひ一度出演してみたいと思っていました」というカン・ドンウォンは「監督に初めてお会いした時、具体的なシノプシスはまだなかったんです。その後シノプシスが出来上がったんですけど、それを読んですぐに出演を決めました。もともと監督の作品に出演して、一緒に仕事をしてみたいと思っていたんです。楽しい仕事になると思いました」と出演の理由を明かした。子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを預けていく“赤ちゃんポスト”を巡り、出会っていく人々と特別な旅を描いている。劇中で彼は、児童養護施設で育ったブローカーのドンス役を演じた。

カン・ドンウォンは、「是枝裕和監督の映画『万引き家族』が好きでした。そして特に好きだったのは、『奇跡』(2011)です。子どもたちが本当にあどけなくて、彼らだけの純粋な面を見事に描いた映画だと思います。そういう映画はほとんどないですね。子役の演技は未熟になってしまうこともあり得ますが、この映画の子どもたちの演技は本当に上手でした。個人的にとても面白かった映画です」とし、是枝監督に対する愛情を示した。

カン・ドンウォンは是枝監督、ソン・ガンホ、イ・ジュヨン、IUたちとカンヌを訪れた。何より今年はソン・ガンホが韓国の男性俳優として初めて、カンヌで最優秀男優賞を獲得し、公開前から関心を集めた。

彼は「ご自身が受賞できなかったことは残念ではないですか?」という質問に「僕は全く残念に思っていません。カンヌ映画祭のコンペティション部門に選出されたこと自体が光栄なことです。僕は副執行委員長と親交がありますが、今回その方が僕の演技について『とても良かった』とたくさん褒めてくださって、それだけで十分です。ソン・ガンホ先輩が受賞した時、最初に祝福できるという光栄なことが僕に与えられて幸せでした。今回は先輩がもらうんじゃないかと少し予想していたんですけど、受賞できて本当に嬉しかったです。監督もとても喜んでいましたし、みんなとても喜んでいました」と答えた。

そして、「カンヌ映画祭は、(映画を)作る人々に対する礼儀を持っているので印象深いです。(観客も)みんなドレスアップして映画を観なければならないというのは韓国にはない文化ですが、そこではそういうスタイルがいいなと思いました。だから劇場にいらっしゃる方々も、映画をより尊敬する気持ちで観ているような気がしました」と語った。

帰国した後カン・ドンウォンは「ベイビー・ブローカー」のPR活動に集中したとし、「韓国に戻って来て友達にも会いました。昨日は是枝監督の誕生日だったので、一緒にご飯を食べました。監督が2日ほど休んで『焦りを感じる』と言っていました(笑)。だから僕は『数時間だけ休んでも焦りを感じる』と話しました」と伝えた。

ドンス役を務めたカン・ドンウォンは、欠落した部分のあるキャラクターだが、明るい一面を生かしたかったという。彼は「ドンスは養護施設で育ちましたが、立派に育った人間として表現したかったんです。元気に明るく育った人物にしました。暗く描きたくはありませんでした。僕が会った養護施設で育った人は、シェフを目指しているんですけど、その方もすごく明るい方だったんです。子供の時は問題を起こしたり反抗もたくさんしたようですが……。ドンスもそうなんじゃないかと思いました。気楽に自分の仕事をしている人に描きたいと思いました」とキャラクターの解釈について明かした。

そして、「養護施設で育った人に会って話しながら、彼らが傷を抱えているように思いました。僕たちが包み込まなければならないと思いました。養護施設で育った人は、新しい家族との養子縁組を望んでいるそうです。切実ともいえる彼らの感情、家庭をほしがる彼らの気持ちに共感してくださったら嬉しいです。彼らにとって少しでも慰めになることができたらいいなと思いました。養護施設の院長と僕が会って話した(養護施設で育った)方が、今回試写会に映画を観に来ました。2人が手を握って映画を観ながらたくさん泣いたそうです。この作品を通じてたくさん慰めになったら嬉しいです」と願った。

カン・ドンウォンは「映画のテーマは軽くはないのですが、僕たちはなるべく軽く描こうとしました。アドリブまでではないんですけど、リアクションをする時は面白くしようとしたものがあります。そういった点で俳優たちとの演技がよく合いました」と話した。

カン・ドンウォンは、ソン・ガンホと映画「義兄弟 SECRET REUNION」以来、12年ぶりに共演した。「『義兄弟』以来、ソン・ガンホ先輩と久しぶりに会いました。僕もこれまで20本あまりの作品に出演したので、以前より現場でリラックスできました。気が楽だったので、先輩との演技がよく合いました。カンヌでは主に映画祭について話しました。先輩は経験が多いので、どのようにカンヌのシステムが動いているのか説明してくれました。(昨年はカンヌ映画祭の)審査員もされたので、彼らがどのように審査をして、どんな方式で作品を選んで発表するのか、そのような過程を話してくれました」と伝えた。

さらにカン・ドンウォンは、「実際にはどのような息子なのですか?」という質問に、「僕は良い息子です(笑)。忙しいので(実家に)頻繁には行けないんですけど、母によく連絡をしています」と答えた。続いて彼は「僕は母と友達のように過ごしています。母と僕の友達と一緒に夕飯を食べたり、一杯飲んだりもします。僕の友達も僕の母が大好きです(笑)。母は釜山(プサン)にいるんですけど、僕がいなくても僕の友達が釜山の実家で泊まったりもします」とし、笑顔を浮かべた。

カン・ドンウォンは2日、CGV龍山(ヨンサン)アイパークモール店で行われた「ベイビー・ブローカー」のVIP試写会を訪問したBTS(防弾少年団)のVに感謝の気持ちを伝えた。Vは、メンバーたちとホワイトハウスでバイデン大統領と歓談した後、試写会に合わせて先に帰国したという。

カン・ドンウォンは、「Vが僕のために(アメリカでのスケジュールを終えてすぐに)帰ってきたことを会って知りました。試写会に来てくれて本当にありがたかったです。Vは良い弟、可愛い弟です。正確に言うと僕は(慶尚南道)居昌(コチャン)出身ではないのですけど、居昌の高校を出ました。僕は(歌手の)パク・ヒョシンと親友なのですが、Vに僕に会いたがっていると言われて、彼を通じて知り合いになりました。ヒョシンと会っていた時、彼がそこに来て親しくなりました」とVとの親交を明かした。

彼は歌手、監督、制作者たちと親交を維持している秘訣について「性格が悪くないからでしょうか?(笑)僕は俳優なので、他の人たちの話を聞くことは重要だと思っています。さまざまな人の話を聞きながら、自分の中に閉じ込まらないようにしています。俳優として話を聞くことは重要な時間です。聞きながら学ぶことも多く、そういった時間が楽しいです。だからといって、外向的な性格ではないんですけど、年を取るにつれて、自分の中に閉じ込まらないようにしています。だから人との会話が絶えないのだと思います」と語った。

記者 : キム・ボラ