イ・ギウ、ドラマ「私の解放日誌」放送終了の感想を語る“道しるべのような作品になった”

OSEN |

※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
「パク・ヘヨンさんの台本には魔力があります」

最近、韓国でJTBC土日ドラマ「私の解放日誌」が放送終了した。視聴率は一桁だったが、「出来の良いドラマ」と好評を博した。ヨム氏三兄弟の“幸せ蘇生記”のおかげで視聴者は癒されたが、同作に出演した俳優のイ・ギウも同じだったという。

この作品で彼は、シングルファーザーのチョ・テフン役に扮し、視聴者と出会った。離婚した後、姉たちと一緒に小学生の娘を育てながらヨム・ギジョン(イ・エル)と恋愛模様を描く人物だ。彼は優しく魅力的な人物を個性的に演じ、視聴者から称賛の声を浴びた。

――作品が終わった心境はいかがですか?

イ・ギウ:俳優というのは、どのような作品に仕上がるかを知ることができない運命ですが、チョ・テフンという人物でキム・ソクユン監督とパク・ヘヨン脚本家にキャスティングされたことがラッキーでした。その為、撮影を頑張りました。撮影が昨年の夏に始まって冬に終わり、夏に放送終了したので「私の解放日誌」と1年過ごしました。

――「私の解放日誌」とチョ・テフン。どのような魅力に惹かれましたか?

イ・ギウ:台本を見た時、文字を読んでいるだけなのに立体的に描くことができました。様々な匂いがしました。台本を休まず読みました。絵を描くのも簡単で、人の匂いもしました。描写が細かいというよりは、全体的に台本から伝わるものが具体的でした。チョ・テフンは口数が少ない方です。状況や意見を表現する方法が、表情や短い言葉しかなくて、最初は難しかったです。監督も「その部分が難しいと思うけど、表現はあまりしないで」と言っていました。気持ちを抑えて表現せずに、見守っている感じで行こうと。俳優の立場としては、劇中人物について説明したい欲があるので難しかったですが、「シングルファーザーにバツイチ」というフレームがあるので、自ら閉じ込められて生きることを許した人物だと思いました。

――ヨム・ギジョン役のイ・エルさんはどのようなパートナーでしたか?

イ・ギウ:イ・エルさんは、本当にヨム・ギジョンみたいな方です。100%ギジョンとは言えませんが、ギジョンらしかったです。現場では、カジュアルで気さくな方でした。僕があまり表現しないチョ・テフン役を演じましたが、撮影裏では仲良くなりました。同年代で言葉遊びをしたり、動物が好きという共通点もありました。カメラが回っていない時は、もともと知っている友人のようでしたが、カメラの前では完璧にギジョンに戻ってきました。

――イ・エルさんが「この冬は誰でも愛します」と言ったのに対して「僕がやります。その誰かを」と告白するシーンは、反応がすごかったですね。

イ・ギウ:台本を見た時、「チュアン(崇める)」という単語がこのように使われるとは思いませんでしたし、「受け入れる」という表現もすごかったのに「誰かを」という表現をこのように使うなんて……。チョ・テフンが言った言葉の中で一番素敵でした。できるだけ素敵なシーンにしようとしましたが、一方ではできるだけ感情を抑えるべきところでした。ロマンチックな台詞ではありませんが、一番テフンらしい言葉でした。友達からもたくさん連絡が来ました。「誰かを」がこのような台詞として使われるなんて。ハイレベルの台詞にしてくださった脚本家さんが本当にすごいです。

――パク・ヘヨンさんの台本にはどのような魔力がありますか?

イ・ギウ:これほどまでに様々な人の人間味が感じられる魔力を持つ台本は初めて読みました。財閥の御曹司のラブストーリーや、自力で成功する英雄の話ではないからか、僕と繋がっている気がしました。次のページに何が書かれているか分からないのに、親しみを感じました。文字が良かったです。台詞の中で「歯一つ一つに『悪い』『悪い』と書いてある」という表現がありましたが、「私の解放日誌」の台本には文字一つ一つに親切さ、やさしさがありました。ク氏が走幅跳で飛ぶシーンは突然でびっくりしたのですが、文字で見た時はシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)のような感じがしました。放送で見た時は上質なコメディーになっていました。脚本家さんと監督さんの力だなと思いました。

――パク・ヘヨンさんの作品に出演して特別な気分になりましたか?

イ・ギウ:プライドより、意欲の方が高かったです。きれいに整った芝生の上で「サッカーをしなさい」とボールを投げられたように感じられて、しっかりやり遂げたかったです。良い環境だから。チョ・テフンは小さくない役で、その中で何かを見せるためには勉強しなきゃいけないと思いました。第1週目の放送を見て「僕、すごくいい場所で働いてる」と思いました。あの方々が僕を選んでくださったことに感謝します。

――俳優たちからとても信頼されているキム・ソクユン監督の作品に出演していかがでしたか?

イ・ギウ:僕は幸運です。全て良い監督さんに出会いましたので。その中でもキム・ソクユン監督にはとても感謝しています。ドラマ「記憶」の時、パク・チャンホン監督があまりにも父親みたいで、現場でずっと感動していましたが、キム・ソクユン監督は別の意味で父親みたいでした。ウィットに富んで面白いです。現場の雰囲気をいつも楽しくしてくれますし、俳優たちを細かく気遣ってくれました。絶えず若い方たちとコミュニケーションをとっていましたが、単純に目線を合わして話すのではなく、繊細に相手を尊重して知りたがるんです。何よりも、できるだけツーテイクで終わるくらい早く撮ってくれました(笑)。現場で絵コンテもいただいたんですが、ドラマの撮影中にコンテをもらったのは初めてでした。また監督の作品に出演したいです。

――劇中の人物が皆愛らしいですが、選べるならまたチョ・テフンを演じたいと思いますか?

イ・ギウ:ク氏もカッコいいのですが、ヨム・チャンヒを演じたいです。僕もカメラの前でふざけたいです。いつも静かでしたので(笑)。留学生、財閥の御曹司、室長のような役を主に演じてきましたが、実際に僕は町のお兄さんのように素朴です。ヨム・チャンヒが「電気自動車を買いたい」とだだをこねるのは、僕も上手くできると思います。高級なスーツよりトレーニングウェアをラフに着て演じたいです。

――徐々に視聴率が上がりましたが、数字の面で残念に思うことはありましたか?

イ・ギウ:序盤はみんな残念がっていました。僕の人生で一番好きなドラマが「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」ですが、その時も視聴率が終盤になって上がりました。視聴率が上がらない理由が説明できないドラマです。そして視聴率が意味のない作品です。僕も口コミを実感できるほどですので。数字だけの視聴率は意味がありません。視聴者の方々にとって共通点が多い作品です。誰かが共感できて、周りの人々と話をしながら盛り上がって、ますます多くの人が見て、期待して話すようになるドラマになったと思います。

――「私の解放日誌」はイ・ギウさんにとってどのような作品ですか?

イ・ギウ:デビューして20年になりましたが、知らないことがたくさんあります。知らないことが多すぎると思います。20年間演技してきたというプライドもありますが、まだよく分かりません。これから進むべき道が多く、広くて長いということを知っているので、地道にやっていけると思います。20年間、いろいろな役を演じましたが、これからずっとこのような役で食べていくことはできないじゃないですか。「私の解放日誌」は、20年ぶりに出会った道しるべのような作品です。この作品に出会って「僕の人生が変わった」と10年後に言えると思います。作品も演技も人間的な部分も、現場で得たものがあまりにも多いです。どのような大人がカッコいいのか、あまりにも大きな糧になりました。

――イ・ギウは何から解放されたいですか?

イ・ギウ:どうしても生活する拠点が江南(カンナム)ですので「僕もあんな家に住んであんな車に乗りたい」と思ったりします。芸能人という派手な職業ですが、地道に維持しなければならないというプレッシャーもあります。お金が全てではないのにお金がなければならないので、経済的なことからの解放が必要でした。ところが、解放の道を見つけました。最近、アメリカで1ヶ月以上旅行しながら出会った方々から、多くのことを学びました。小さな幸せを追求しようとする態度そのもので解放された気がしました。キャンプは僕が日常から離れて解放された感じもありますが、自然に行けば俳優ではなく、人間イ・ギウを迎える解放感があります。アメリカ西部の下から上まで旅行しましたが、捨て犬と環境についての関心が高くなり、先進国の文化を見て学びました。

――誰かを崇めるなら、イ・ギウさんはどのようなタイプだと思いますか?

イ・ギウ:実際に僕はチョ・テフンのようなタイプではありません。よく表現する性格です。大げさなことではなくて、些細なことでも気遣ってあげたりして、自尊心を高めて崇められる何かになるため努力する方です。積極的で温かいタイプです。

――これから一気に見る視聴者もいると思います。伝えたい観覧ポイントはありますか?

イ・ギウ:一度の観覧で、あまり人物の台詞や役に共感しないでほしいです。なかなか共感が難しい台詞も多いですし、日常的な会話ですが、哲学的な台詞が多いからです。このドラマがいいからといって、一度で理解しようとせず、ゆったりとしたドラマなので休み休みご覧になって頂ければ、もっと理解しやすくていいと思います。

記者 : パク・ソヨン