「静かなる海」ペ・ドゥナ“監督の短編映画に惚れ込んで出演…作品に満足している”

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※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
写真=Netflix
昨年12月に公開されたNetflixシリーズ「静かなる海」は、は資源の枯渇により荒廃化した近未来の地球で、特殊任務を受けて月に捨てられた研究基地に発った精鋭隊員たちの物語を描いた。韓国初の月を題材にしたSFミステリースリラーで、企画段階から大きな関心が集まった。

ペ・ドゥナは5年前に起こった渤海基地での事故の原因を探る宇宙生物学者ソン・ジアン役を引き受けた。事故の手がかりを探すことに熱中し、ハン・ユンジェ(コン・ユ)との間に葛藤が生まれたが、過去の事故の糸口と真実を見つける重要な人物だ。

―― 完成した「静かなる海」をご覧になっていかがでしたか?また一番うれしかった評価は何ですか?

ペ・ドゥナ:制作発表会でも申し上げましたが、(原作である)監督の「静けさの海」の短編映画を見て、とても巧妙な方法でSF物をやったと思いました。それも学生の卒業作品だったのに、作品の中にものすごく没入させるんです。SFですが、技術力や科学的な部分よりも、人の心理を追いながら没入させることに魅力を感じました。賢く作品を作ったと思いました。外国でSF映画に出演したこともありましたが、予算がものすごいことを感じ、それを具現化することを経験しました。韓国ではSFについてこれまで可能なのだろうかとたくさん考えたことがありました。チェ・ハンヨン監督の短編を見て、「なんだかこの人ならできると思う」という気がしました。その作品の中で私ができることがあるようだと思いました。私のこういった気持ち、私が作品を選んだ時そのままを表した評価が一つありました。監督の心理描写について書いてくださった評価が最も印象深かったです。私は完成した作品に満足しています。もちろん残念な部分がないわけではありません。すべての俳優たちと制作陣は「私の作品がこれより上手く出来るはずはない」という風には考えません。物足りなさがあるシーンもありますが、私たちが持っていた限られた時間と条件の中で、みんなが汗を流して最善の作品を作り出したという満足感があります。

―― 原作に対する賞賛をたくさんされています。原作と比べると、Netflixオリジナルの「静かなる海」にはどんな魅力がありますか?

ペ・ドゥナ:魅力が違います。原作はもう少し詩のような感じがありますね。Netflixは8部作シリーズですので、小説になるしかありません。長くなって説明も多くなりました。代わりに見どころがもう少し多くなったと思います。Netflixの資本力でより具現化できたビジュアルがあります。また、良い俳優たちがたくさん出演したと思います。それによってもっと豊かになったのではないかと思います。

―― 近未来の話、特に月へ行った精鋭隊員たちの話ですので、直接体験せずに想像で演じなければならない部分が多かったと思います。大変な点はどこでしたか?

ペ・ドゥナ:2010年、2011年「クラウド アトラス」という作品を撮る時、一番大変な部分がそれだったんです。緑色のスクリーンの前で想像力で演じることです。1999年にデビューし、2010年まではリアリティ、日常に近い演技を主に学んでたくさんやってきましたが、その時から海外作品、SFをやりながら「こうやって想像力を必要とするんだ。私が描かなければならないんだ」という部分が訓練されました。今作は大変ではなく、むしろ多くの部分が具現されていました。たくさんのことが渤海基地の内部で起きて、CGがむしろほとんどなかったんです。比較的演技はしやすかったです。

写真=Netflix
―― 撮影をしながら一番大変だった部分は何ですか?

ペ・ドゥナ:私はこれまで体を使う役をたくさんしてきたので、体をたくさん動かして大変だと思うことはありませんでした。最も大変だったのは宇宙服が持っている重量感でした。一日中着て、それを7ヶ月やっていたら、背中の筋肉が発達します、それほどでした。ですが苦労にはあたりません。他の作品でアーチェリーも卓球も格闘技もやって、体をたくさん使う役をやってきました。水中撮影するくらいは大丈夫でした。私は水中撮影を海でやったこともあるので、その程度は大丈夫です。今作で大変だったのは心です。私が感情線で視聴者を没入させするキャラクターだったので、それを逃すと終わりというプレッシャーがありました。ひきこもりのようなキャラクターなのに、宇宙船に乗って彼女の視線で話を進めなければなりませんが、それを繊細に持っていかなければならない、そしてみんなが理解できるようにしなければならないという強迫観念がありました。

―― 好き嫌いが分かれているような印象ですが、記憶に残っているコメントや周囲の反応はありますか?

ペ・ドゥナ:私の周りではみんなすごく好きになってくれて、とても面白いと言ってくれました(笑) 。ゆっくり行くようでありながらも緊張感がやってきて、次を見ないわけにはいかなかったというコメントをたくさん見ました。それが一番うれしかったです。俳優たちが導く心理描写や恐怖心によってずっと見ていられる力、これが理由で作品を選んだので、それが観客も感じられたならうれしいです。

―― 台本は8部全てを見て出演を決定したのですか。一部マイナスな評価があった理由の一つが、呼吸がかなり長い点だったと思います。

ペ・ドゥナ:6話まで見たと記憶しています。パンデミック前に外国にいた時に台本をもらったので、すでに2年を超えました。ところが私は台本を開く前に短編を見て惚れました。台本は短いと思いました。幼い頃から16部作のミニシリーズ、50部作の週末ドラマもたくさんやっていた世代です。その基準から見ると短く、短縮されている気がしました。監督の短編を見ると、なぜあんなに余白が多いのか分かった気がしました。ビジュアルもそうですし、現場を埋めていくものがあると思いました。また、私は余白があるのが好きです。序盤の1話で悪い評価があるとすれば……刺激的に視線をつかんでいく作品が多いですが、私たちはそのような公式には従いませんでした。私たちの作品は静かですが、水面の下で渦巻くドラマです。外部が波打つドラマではありません。刺激的なものを望んでいるのなら、合わないかもしれません。

―― 月での動き、音など、序盤の撮影時の現場はどうでしたか?

ペ・ドゥナ:月面の撮影時は余裕がありませんでした。ヘルメットを使うと音が聞こえないんです。私たちはそのヘルメットを使った瞬間、他の人のセリフや外でしている話はほとんど聞こえません。イヤホンを使ってディレクションが聞こえるようにしていました。ヘルメットと宇宙服を着ると、空間と分離される効果があります。ある意味本当に月にいる感じでした。

―― 人類が苦難に直面した状況で解決策を出し、希望を提示するのはすべて女性でした。キム・ソニョンさん、キム・シアさんとの共演はどうでしたか?

ペ・ドゥナ:私が「ああ、私たち3人だけが残ったね」と感じたのは最後のシーンを撮った時でした。「女性だけが残ったんだ」ということを最初は悟らず、「なぜみんな行ってしまったの?」と寂しく撮りました。撮ってみて、「ジアンがそんなに理性的なのか?」という考えはあります。個人的な思いもあったので意図自体が理性的ではなかったようですが(笑)。キム・ソニョン先輩は本当に最高です、とても驚きました。本当の良いパートナーに会えば感じるのですが、リハーサルやランスルーで、完璧にそのシーンを生かしてくれるんです。私はそれができないキャラクターでしたが、とても素敵だと思ってたくさん頼りました。本当にジアンとホンダク(キム・ソニョンの役)のようでした。2人の女性が連帯しました。シアは愛そのものです。完璧なプロで、大人10人よりもさらに大人でした。尊敬しています。

―― ジアンと生存者の最後は開かれた結末で終わりました。彼らの未来はどうなると思いますか?

ペ・ドゥナ:私は作家や制作陣とこれについて話したことはないんです。シーズン2も分かりません。ただ個人的な考えでは、地球に行かないでほしいです。地球に行かず、ジアンの言葉どおり国際宇宙研究所のようなところで研究してほしいです。

記者 : イ・ミンジ