パク・ミョンフン、映画「サナヒ純情」出演のため準備したことは?“普段より少し増量した”

OSEN |

ウォンボ(パク・ミョンフン)は、馴染みのないソウルから来た人にも自分の部屋を差し出す、今の時代には珍しい田舎の青年だ。しかも世話好きで、初めて会ったユ氏(チョン・ソクホ)に酒をやめるようにと小言を言ったりもする。

大きな目を丸くして、ユ氏に親近感を持ってアプローチする姿から、映画「声/姿なき犯罪者」の中の悪役チョン本部長の怖い顔は見当たらない。闇が消えた晴れやかな笑顔を見ると、今後俳優のパク・ミョンフンが見せるキャラクターの変化に期待せざるを得ない。

パク・ミョンフンは最近、ソウル北阿硯洞(プクアヒョンドン)のカフェで行われた現地メディアのインタビューで、「『サナヒ純情』は、童心を持つ大人たちのためのヒーリング映画です。僕は家にいるときは、テレビで必ずドラマ『田園日記』をつけていました。最近は、3つのチャンネルで再放送をしてくれています。それを観ていると自分でも知らないうちに、癒やされるんです。『サナヒ純情』もそのような感覚になりました。日常に疲れた方々がこの映画を観たら、心の安らぎが得られると思います。難しい展開の内容ではなく、敢えて見なくてもつけっぱなしにしておく作品のように、心が楽になります。コロナのため疲れて大変な方々に『サナヒ純情』を通じて、力を得てほしいです」と話した。

彼が主演を務めた映画「サナヒ純情」(監督:チョン・ビョンガク)は、都心の苦しい暮らしから脱出して、マガリという田舎の村に定着した詩人ユ氏と、童話の作家を夢見る一風変わった農夫ウォンボの同居物語だ。異なる2人の男性の田舎ライフを描いた「サナヒ純情」は、Facebookで連載されて好評を得た詩人リュ・グンの「大家のおじさん」をもとに、イラストレーターPuuungのイラストが合わさった「サナヒ純情」を原作に脚色した映画となっている。

原作を読んでいないというパク・ミョンフンは、「僕は原作をもとに再解釈する立場ですから、撮影前に予め読んだら、影響を受けると思いました。(脚色された)シナリオだけを見て、自分がイメージしたキャラクターを演技しました」と伝えた。

続けて、出演を決めた理由として、楽しさとキャラクターの魅力を挙げた。「ウォンボは最近では珍しい温かい心を持つ人物です。その優しさの理由が気になりました。よく考えると、自分もウォンボに似ている部分があります。世話好きですし(笑)、何よりウォンボが村の人々のことを思っている人であることに魅力を感じました」と説明した。

出演することを決めて、真っ先に準備したことは何かと尋ねると、彼は「外見的な部分もありますが、心構えを一番最初に準備しました。ユ氏役を務めたチョン・ソクホさんと、地方で2ヶ月ほど一緒に暮らしたんです。メソッド演技とまでは言いませんが、リアルな感覚でウォンボの情緒を盛り込みました」と話した。また、穏やかなイメージを与えるため、体重を増やしたという。

続けて「『パラサイト 半地下の家族』の時は減量をしましたが、実はこの姿が自分の体重に近いんです(笑)。痩せすぎると人間的じゃないと思って、言い訳ならぬ言い訳で、普段より少し増量しました」と明らかにした。

「初めてシナリオを読んで、ウォンボは今の時代では珍しい優しい人だと思いました。そして僕は、その人物を表現する上で、彼の気持ちを覗いてみました。シナリオを読み終えた後は、この人はそうするしかない人だろうなと感じました。年を取っても純粋な心が残っている人です。『本業は農夫だが、童話の作家が夢だ』と話すところで、ウォンボの心に入り込みました」と語った。

「サナヒ純情」は、ユ氏とウォンボが一つの家族のようにつながる過程を繊細に表現した。オルタナティブな家族の形を模索しながら、“正常”と思われる家族のイデオロギーを崩すのだ。何より『サナヒ純情』は、田舎の日常に自然に溶け込んでいる素朴な人々の姿が懐かしくも感じられる。普通の場面でも、セリフに感情を揺さぶられる瞬間がある。

彼は「純朴で面白い役が、自分の感情に最も近いです。もちろんすべての演技が難しいけれど、特に悪役はすごく難しいです。どのキャラクターを演技するのが楽なのかと聞かれたら、僕は純朴でコミカルな役が楽だと答えるでしょうし、実際にそのような役に慣れています。『パラサイト 半地下の家族』のグンセのため、今でも僕を怖いと思っているかもしれませんが、僕は『サナヒ純情』のウォンボの情緒に近いです」と自身と役柄を比較した。

パク・ミョンフンは、ボン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」(2019)で人気を集めた。社会と人間関係を断ったまま、地下室に留まるグンセ役で、商業映画デビューを果たし、好評を得た。しかし、彼は1999年から演劇舞台に立ってきたベテラン俳優。「クラス」を皮切りに舞台に上がった。

15年間、大学路(テハンノ)の舞台で演劇俳優として活動しながら、自主制作映画「生きる」(2015)、「スチールフラワー」(2016)、「灰の花」(2017)に出演し、ボン監督が彼の個性を発見して自分の作品に抜擢した。その後、商業映画「ただ悪より救いたまえ」(2020)、「声/姿なき犯罪者」(2021)で観客に会い、今後「1勝」「休暇」「リミット」「雨光」など、様々な作品の公開を控えている。

活躍に彼は「最近はとても幸せです。ボン・ジュノ監督は本当に恩人で、素晴らしい方です」とし、感謝の気持ちを表した。そして、「(『パラサイト』への出演の前後に)監督が、僕の家の前に何度も来ました。一緒にご飯を食べたり、お茶を飲みながら、作品や役について話し合ったんです。映画が終わった後も会いましたが、本当に人間的で気さくな方です」と話した。彼は、ボン・ジュノ監督の作品なら、いつでも出演する準備ができていると明らかにした。

「すべての俳優たちはみんなそうだと思いますが、もっと多くの姿をお見せしたいです。千変万化する俳優になりたいです。1つのイメージを持つのもありがたいことですが、『あの俳優は演技が毎回違う。不思議だね、あの人がパク・ミョンフン?』と言われたいです。そのように千変万化な俳優になりたいですし、自分の年齢にふさわしい恋愛物もしてみたいです」と伝えた。

ドラマと映画を行き来しながら忙しく活動している彼は、新しい作品を披露するたびに、喜びやときめき、不安が入り混じった複雑な感情を人々に抱かせるが、普段は息子と癒やしの時間を過ごしているという。

「息子が今年で小学校1年生になりました。時間があるたびに子供と過ごしています。そうでない時は、友人や同僚俳優たちと会って過ごすことが多いです」と、プライベートな一面も明かした。

記者 : キム・ボラ