ユ・アイン、Netflix「地獄が呼んでいる」のヒットに“世界中からの反応は俳優にとって励みになる”

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写真=Netflix
「地獄が呼んでいる」の中心にいたユ・アインが、作品について語った。

ユ・アインは最近、オンラインでOSENと会い、Netflixシリーズ「地獄が呼んでいる」(監督:ヨン・サンホ)に関するインタビューを行った。

「地獄が呼んでいる」は突然目の前に登場する地獄からの使者に会った人々が、“地獄行きの宣告”を受けて、超自然的な現象が発生し、この混乱の中で復興したインチキ宗教団体の新真理会と事件の実態を暴こうとする人々が絡み合い、繰り広げられるストーリーを描く。ユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミンらが主演を務め、「新感染 ファイナルエクスプレス」のヨン・サンホ監督が演出を担当した。

Netflixなどの動画配信サ―ビスランキング集計サイト「FlixPatrol」によると、同作は先月19日に公開されてから24時間で、Netflixテレビ番組部門1位を獲得(190ヶ国のうち24ヶ国)、K-コンテンツの力を見せた。これは「イカゲーム」よりも早い記録で、「地獄が呼んでいる」に世界中の視聴者が夢中になった。

ユ・アインは同作で新真理会の議長チョン・ジンス役を熱演した。以下は彼の一問一答である。

――「地獄が呼んでいる」を見た感想を教えてください。

ユ・アイン:初めて見た時は、参加した者の立場から見るよりは、視聴者の立場でより大きな視点で見ました。参加した者の立場から見ると、映画を評価、判断するようになり、私の演技の限界を見つけようとするので普通に見ることができないんです。多くの方々が感じていただければうれしいですが、ドラマが生み出す没入感にただ従って見ていったら、6部が終わっていました。不思議な経験でした。全ての回が同時に公開されるドラマは一気に見たいと思わせる力が重要だと思いました。力のある作品だという安堵感を覚えました。

――チョン・ジンスという人物にどのようにアプローチしていったのですか?

ユ・アイン:与えられたキャラクターに関する情報がありました。インチキ宗教団体の教主、若いのにそんなことをやり遂げるミステリアスな人物という情報をもとに、監督と話をしながら具現化していきました。特に心がけていたのは、私たちがよく考えるインチキ宗教団体の教主ではなく、ちょっと隔たりのある、どんでん返しを見せることができるキャラクターにするということです。実際にインチキ宗教団体の教主の映像や声を見たり聞いたりした時は、私たちが頭で考えているような、そんな方はいなかったんです。静かに人々を引き寄せていました。そのような部分でチョン・ジンスと同じに感じられて、ソースを持ってきました。

特にチョン・ジンスは、出演分量に比べてかなり核心となるような作品のエネルギー、緊張感を作り出さなければなりませんでした。そのため水位をどの程度にするか悩みました。他の人物に比べて線が太いキャラクターであり、他の人物は地に足をつけて空を見つめているような感じですが、チョン・ジンスは浮いているような感じがあって、このような違いを維持しながらも、調和させようとしました。私が勝手に決めたものを現場で反映できるわけではないので、和を少しずつ作りながらも、ある程度は割り込んでいくくらいのトーンを探していきました。

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――「地獄が呼んでいる」の熱い反応を実感していますか?

ユ・アイン:長く1位であってほしいです。世界1位をどのように受け止めるべきか分かりません、感じている途中です。俳優としてこのような感情を持つことができるということに感謝しています。どのように消化すべきかという過程を経ているところです。このような現象は毎日起こることではないでしょう。プラットフォームを通じて私たちが作り出した作品が世界に公開されるということが一番嬉しいです。作品の解釈、評価がますます熱くなっている過程の中で、より幅広い反応、世界の観客からのフィードバックを総体的に得ることができるということが、俳優にとっては良いことで、励みになります。

――「地獄が呼んでいる」が難しいテーマにもかかわらず愛された理由は何だと思いますか?

ユ・アイン:作品で素材として使われるもの、例えば宇宙人、死神などは、その時によって流行に乗り、熱いイシューを生み出すと思います。しかし、「天国」と「地獄」のコンセプトは、永遠不滅のトレンディな素材です。作られている地獄も、そんなに難しく受け入れなくてもいいと考えています。何かの風刺にもなり得ますし、現実で私たちは、検証されていないものを盲信して、武器にして攻撃するのを簡単に目撃することができます。あまり難しいことではないと思います。作り出した形式自体が気に入りました。重い話を重く、真剣にするのではなく、娯楽性の濃い作品の中で簡潔にメッセージを溶けこませているんだなと思いました。

――最も記憶に残っている評価と、演技が絶賛された感想を教えてください。

ユ・アイン:とても嬉しいです。一番嬉しかったのは、外国の方々の反応も良かったのですが、ある韓国の方がYouTubeにコメントで「世界の舞台に出すのなら、ユ・アインがふさわしい」と書いてくださいました。国家代表になった気分でした。プレッシャーにもなりました。演技はますます難しく感じています。多くの方々が上手だと拍手をたくさん送ってくださって、私に対する期待値が高すぎるというプレッシャーが生まれます。少しの隙も許さないという観客の刃のような視線も感じられます。私が気をしっかり持っていなければ危険だと思うこともあります。ユ・アインというイメージを一人ひとりが持っている韓国の観客たちとはどのような呼吸を作っていくべきかと考えたり、初めて私に接する方々にはどのように表現を伝えようかという悩みもあります。いつもそうだったように、すでに作られたキャラクターがあり、私はそれを消化する人ですので、うまく表現しようと思います。

――チョン・ジンスが作品の序盤の世界観を形成する核心となる人物なので、プレッシャーも大きかったのではないですか?

ユ・アイン:すごく楽しみながらも、こなせなかったらどうしようとも思いました。たくさんの場面に登場して自然にビルドアップされ、没入感を生み出すのが難しい人物でした。最小限の登場だけで最大値の効果、そして緊張感を生み出さなければならない人物でした。ミステリアスな人物であるため、露出が多ければだめなので、さらに難しかったです。ものすごく緊張しながらやりました。

――チョン・ジンスの登場シーンが少なく、残念ではなかったですか? シーズン2が制作されれば復活の可能性はありますか?

ユ・アイン:冗談半分でそのような話をしますが、少ない登場で最大値の効果を生み出す人物ですので、来るべきものが来たと思いました。多くの方々が惜しんでくれて感謝しています。私も物足りなさを超えて再登場を最も望んでいます。チョン・ジンスは生き残りそうじゃないですか。

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――ウェブ漫画が映像化されると聞いた時、どのように思いましたか?

ユ・アイン:監督に会ってシナリオを見た後、原作を見ましたが、詳しくは見ませんでした。原作のある作品はこれまでもたくさんやりました。原作があるから映像化が可能ですが、作る側の立場では、原作が束縛のように感じられる時もあります。より自由でストレートな表現をしたくても、原作のファンに許可をもらわなければいけないように感じられます。作られた表現がうまく演技で具現化されないならば、演技者としての失敗ではなく、原作ファンに多大な失望を抱かせることになります。そんな負担を振り払うためには、原作を勉強するのではなく、遠ざけることが重要だと考え、作品に取り組んでいます。

――不思議な話がとても現実的に感じられるのですが、どんな動力が作用していると思いますか?

ユ・アイン:非現実的な物語というのが、地獄の死者と呼ばれる怪物が現れるという点、また天使の告知などが非現実的で暴力的であり、ウェブ漫画で見るようなものだと思いがちですが、少しだけ違なる視点で見れば、今世界で起きていることと大きく変わらないと思います。私たちが持っていく「信仰」のようなものが、どのように働いているのかということまでが「地獄が呼んでいる」が話すものだと思います。私たちがよく目撃する嫌悪、暴力、集団の狂気がこの作品の中では他の形で起きているようですが、現実世界に引き寄せてみると、同様の現象が継続して起こっていると思います。作品がとても同時代的で重いメッセージがあると思います。

――ヨン・サンホ監督が信念に関する話だと言いましたが、ユ・アインさんは危機の前で信念と現実、どちらを選びますか?

ユ・アイン:できる限り疑い、検証する方です。内面の中で解決された状態で、外面に出る時もあります。ずっと細工されなければならないのです。完成したと思うのではなく、自分で作っていかなければならない、私に与えられた原石を細工していかなければならないと思います。私の信仰が無条件に正しいと思って生きてはいません。しかし、それなりの信念と信仰があるので、私の周りに、そして世界にも投げてみて、反応も聞きながら中心を探しています。絶えず新しいバランスが生まれると思います。

――ユ・アインさんが出演していない2部(4、5、6話)を見た感想を教えてください。

ユ・アイン:2部は3回しか見ませんでした。1部(1、2、3話)と2部に分けてたくさん言及されているようですね。私が登場した序盤はとても不安で、どうやって受け入れるべきだろうかと考える時間が必要でした。1部の最後の3話では、かなり衝撃を受けました。激情的に1部が流れていきました。4話からは安定して受け入れられるようになりました。怪物を通じて作られるディストピア的な世界が繰り広げられたとすれば、その世の中で生きていく人間の物語が後半に描かれ、「人間性とは何か」ということを改めて考えてみる余地があるのではないかと思いました。

――20年後に死ぬという告知されたら、どのように行動したり、どのような生活を送ると思いますか?

ユ・アイン:告知はされませんでしたが、20代はそのように生きていたと思います。表情と虚勢まみれになって、30代半ばに死ぬだろうと思って暮らしました。チョン・ジンスとは違いましたが、私をもう少し果敢に投げ、挑戦し、実験しながら生きていけました。20代の時は明日死んでも構わないという感じで生きていました。瞬時に出すエネルギー、力が後にはないような状態でした。チョン・ジンスを演じながらその時代を思い出しました。

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――「ヨンニバス(ヨン・サンホ監督+ユニバース)」の魅力は何でしょうか?

ユ・アイン:新しい世界を繰り広げますが、片足は現実世界にあります。現実世界と本人が創造した世界を絶えず調律しながら、独特でとてつもないものでありつつも、共感できる世界を生み出すことが魅力であり、力だと思います。

――チョン・ジンスを演じる上で参考にした作品、人物はいますか?

ユ・アイン:本当にいないので、お話できず申し訳ありません。私はある一人の人物、作品のためにリファレンスを鮮明にしない方です。本、映画、ドラマなど、そのすべてが私が担う役割や作品と直接はつながっていないですが、私が触れてきた情報がリファレンスになり得ると思っています。

――チョン・ジンスがユ・アインのフィルモグラフィーにどんな意味を持って記憶されたら嬉しいですか?

ユ・アイン:皆さんが思うように記憶されればいいと思います。個人的には「王の運命」「ベテラン」のような線の太いキャラクターを務めながらたくさん愛されましたが、一方では私を閉じ込める作品でもあったんです。その後、他の試みをしながら可能性を見つけることができました。チョン・ジンスという強いエネルギーを持ったキャラクターを演技しながら、レベルアップバージョンをお見せしたいと思いました。自然に私の中に入ってエネルギーを制御する方法、それらを適切に溶かすものが私の中にどの程度あって、実験的に投じましたが結果的に他の次元でユ・アインがその表現を成し遂げているんだなと思ってもらえれば幸いです。個人的にそんな試みができた作品、キャラクターでした。

――チョン・ジンスの見た目、眼差しなどはどのように表現しようと思ったのですか?

ユ・アイン:髪はかつらでした。人物の見た目は、監督がウェブ漫画のままにしてほしいと願っていました。その部分においては私の他の解釈、意志は反映されませんでした。白と黒だけが存在するように、少しの光にも瞳が反射しないようにする目の大きさを研究しました。信仰を強要するため、印象的なスピーチをして強い目で見つめ、強烈なエネルギーで引っ張っていくと思うのですが、静かで無駄な冗談も言いながらミステリアスな雰囲気を醸し出し、ブラックホールのように引き寄せるエネルギーを作り出そうと努力しました。

――グローバル市場がKコンテンツの目標のようになってきていますが、韓国クリエイターたちが守らなければならないことがあるとすれば何でしょうか?

ユ・アイン:あまり意識しすぎずに、これまでやってきたようにやらなければならないと思います。創作者の方々が作ろうとした核心を逃さず、作品の本質を毀損せずに作れば、多くの方々に知ってもらえると思います。本質に集中していてほしいです。私自身も線を引かず、演技の核心を守りながらやっていかなければならないと思います。

記者 : チャン・ウヨン