メンバーの入隊で考える、残された外国人メンバーの活動の形とは ― 古家正亨コラム
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さて、今日はそんな兵役問題を取り上げるつもりではなく、その兵役に行ってしまったメンバー以外の、残されたメンバーに関する問題について考えていきたいと思います。特に今回僕が一番気になったのが、ONFの日本人メンバー、Uさんの件です。
5人が同時に入隊したことで当然グループとしての活動休止期間は最短で済むわけですし、Uさんは日本人なので入隊の必要はありません。ところが外国人メンバーが共通して抱える問題に直面しているはずです。それは契約の問題です。
当然、入隊したメンバーは入隊期間、芸能活動ができませんから、事務所との契約期間としてカウントされることはほぼありません。しかし外国人メンバーに関しては、そのほとんどがグループとしての活動が休止するからと言って、他のメンバー同様に契約期間外とはならず、その間、個人活動が余儀なくされます。そうでなければ、ただ時間が過ぎていくだけとなるわけです。これが同時入隊ではなく、何人かのメンバーが入れ替わる形で入隊し、グループ活動が何らかの形で継続できるのであれば問題ないのですが、外国人メンバーが1人だけグループに残るというケースは、これが初めてではないでしょうか。だからこそUさんには、新しい歴史を築いて欲しいという気持ちはありますが、韓国で、外国人芸能人が成功を収めることは、そう簡単なことではありません(これは少しでも韓国のことを理解している方、韓国に住んだ経験のある方なら、その意味を理解してくださるはず……)。
こうしたことを踏まえて、日本人同様数多くの芸能人が韓国で活躍する中国人の場合は、韓国でのグループ活動と並行しながら、本国での活動の拠点をしっかり作っておくケースが多いことをご存じだったでしょうか。韓国の所属事務所もある程度容認し、中国国内の活動拠点を設け、本国でのCM撮影やドラマ、映画に出演するケースも少なくありません。よく中国人メンバーは、グループから脱退したり、グループ活動に積極的に参加していないイメージを持つK-POPファンは多いかもしれませんが、彼ら・彼女たちは、グループ活動を疎かにしているのではなく、しっかりそのセカンドキャリアまで考えているのです。もちろん、中国では映画で主演を勝ち取ることが、芸能人としてのステータスでもあるので、芸能活動に対する認識の違いもありますから単純比較はできません。
でもこうした動きは、今後日本人芸能人にも求められていくのではないでしょうか。つまり、グループ活動がお休みの時は、本国での芸能活動の自由を(どのような形になるかはわかりませんが)ある程度認めてもらう契約という形に、外国人メンバーとして最初から認めてもらうということです。
PENTAGONのユウトさんも先日まで来日され、グループ活動がお休みの期間中に、日本でバラエティやミニドラマへの出演など精力的に活動していました。それがPENTAGONというグループの認知につながり、新たなファン層の開拓につながったと、共演者の1人として僕は感じています。つまり、グループ外活動は時として、そのグループのさらなる人気拡大にもつながると考えれば、日本人メンバーも中国人メンバー同様の活動の形があって然るべきと言えるでしょう。
今までは単に「K-POPアイドルになりたい!」「なって世界に羽ばたきたい!」という思い1つで韓国を目指す日本の若者たちも多かったわけですが、決してその歴史は長くなかったため、今挙げてきたような問題に直面するケースは少なかったわけです。しかし今後は、契約満了を迎える日本人メンバーを抱えるグループも出てきますから、その後、どういったキャリアを築いていけるのかというビジョンも、夢を追うだけでなく、少なくとも自分自身の中で描いておく必要があるでしょう。
その点でいえば、Uさんにはその先駆的存在としてグループを守るだけでなく、一人のタレントとしても、韓国で、日本でこれだけのことができるんだという可能性をぜひ見せて欲しいと思っています。
古家正亨×Kstyleコラム Vol.14
古家正亨(ふるやまさゆき)
ラジオDJ・テレビVJ・MC
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。2000年から韓国音楽を中心に、韓国の大衆文化をあらゆるメディアを通じて紹介。昨年までは年平均200回以上の韓流、K-POP関連のイベント等のMCとしても活躍している。
現在もラジオでは、NHK R1「古家正亨のPOP☆A」(毎週土曜日14:05~)、NORTH WAVE「Colors Of Korea」(土曜11:00~)、CROSS FM「これ韓~これであなたも韓国通~」(土曜18:30~)、Mnet「MタメBANG!」(隔週日曜20:30~他)、配信では韓国文化院YouTubeチャンネル「Kエンタメ・ラボ~古家正亨の韓流研究所」や韓国大使館YouTubeチャンネル「韓ON」といった番組を通じて日本から韓流、K–POP関連の情報を伝えている。
YouTubeチャンネル「ふるやのへや」では妻でアーティストのMina Furuya(ホミン)と共に料理やカルチャーなどの情報を発信中。
Twitter:@furuyamasayuki0
記者 : Kstyle編集部