ナ・イヌ、俳優を目指したきっかけは?「練習生として準備をしていたけれど…」

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危機をチャンスに変えた俳優がいる。KBS 2TV「月が浮かぶ川」は、放送の途中で“主演俳優の交代”という前代未聞の決定を下した。すでに大部分の制作が終了していた中、制作陣はナ・イヌを新たなオンダル役に抜擢した。ナ・イヌは、JTBC「サンガプ屋台」とtvN「哲仁王后」などで顔を知られたが、当時は新人と相違なかった。

視聴者はオンダルが誰になっても応援するという心で受け入れ、ナ・イヌは登場からさまざまなあだ名を得て、リアルな演技を見せた。「説話の中のオンダルが自分の前に歩いてくるような衝撃を受けた」というハン・ジフン脚本家のコメントは、1日に40シーン以上を撮影しながら空席を埋めたナ・イヌへの最高の賛辞だった。

役に対するプレッシャーよりは責任感の方が大きかったという彼は、「月が浮かぶ川」以降、KBS 2TV「遠くから見ると青い春」と主人公に抜擢されたドラマ「ジンクスの恋人」の撮影などで、今年のスケジュールはいっぱいだ。誰かの代わりとしてスタートしたが、主演俳優として自身の役目をしっかりと果たしたナ・イヌ。突然やってきた機会にもしっかりと応えた“準備ができた俳優”ナ・イヌのこれからに期待が高まっている。

――これまで息つく暇もなく忙しかったですよね。

ナ・イヌ:「月が浮かぶ川」の撮影が終わったら、少し余裕が持てるんじゃないかと期待していました。しかし、すぐに「遠くから見ると青い春」の撮影に入って、またありがたいことにグラビアやバラエティ番組のスケジュールもいただき、思ったより忙しい日々を過ごしています。

――MBC「ラジオスター」にも出演したんですね。

ナ・イヌ:すごく緊張しました。一緒に出演した先輩たちがすごく気を配ってくださって、無事に終えることができました。なるべく率直に話しました。相変わらずバラエティへの出演に自信はないんですけど、またやってみたいと思っています。

――主演俳優の降板によって突然オンダル役のオファーを受けましたが、プレッシャーは大きかったですか?

ナ・イヌ:プレッシャーより責任感の方がもっと大きかったです。できるかどうかではなく、この役をしっかりやり遂げなければならないという責任感です。最善を尽くしましたし、視聴者に好評をいただいて本当にありがたいと思いました。撮影と同時に放送される状況だったので、後になってようやくプレッシャーを感じました。正直に言って、最初はプレッシャーを感じる時間もなかったんです。監督が初日から演技的にも自由を与えてくださったし、現場そのものもとても楽しかったです。

――嬰陽(ヨンヤン)王に抜擢されたという話もあったみたいなですね。妹として共演するかもしれなかったキム・ソヒョンさんと相手役で共演していかがでしたか?

ナ・イヌ:嬰陽王としてソヒョンに会っていても、今と変わらず楽しく撮影できたと思います。ソヒョンとは今回の撮影が2回目です。前に挨拶したことがあったんですけど、ありがたいことにソヒョンが覚えていてくれて嬉しかったです。

――1日に40シーン以上を撮影することもある厳しいスケジュールでしたね。可能だと思っていましたか?

ナ・イヌ:毎秒、毎分、毎時間を前だけ見て撮影しました。現場のすべての俳優、スタッフたちが気を配ってくださったし、また演技的にも心理的にも気楽に臨むことができるようにサポートしてくださって、本当に感謝しています。皆、疲れて大変ではあるじゃないですか。それでも良い雰囲気を引っ張ってくださっているのを見て、さらに力を出して一生懸命に頑張りました。

――すでにオンダルというキャラクターが作られていた状態で再び撮影することになっただけに、キャラクターを設定する上で悩みも多かったのではないでしょうか。

ナ・イヌ:僕の解釈とこれまでのオンダルは、少し違っていました。オンダルの雰囲気が急に変わって、視聴者が違和感を感じるかもしれないと思い悩みました。しかし、オンダルというキャラクターを探ると、表現できることがとても多い、自由なキャラクターだと感じました。“一か八か”の思いで、自分が解釈したオンダルでアプローチしましたし、その真実性を視聴者が理解してくださったようです。キャラクターの解釈に正解はないですから。解釈が少しずつ違うだけです。僕がただ運が良かっただけかもしれませんが、多くの視聴者がオンダルがを愛してくださってありがたかったです。

――実際の人物であるオンダルに肉をつけていくのも簡単ではなかったと思いますが、自身が考えるオンダルはどんな人物だったのですか?

ナ・イヌ:説話自体を「馬鹿オンダルとピョンガン姫」と呼ぶじゃないですか。その馬鹿が本当に馬鹿だからついた名前ではないと思いました。ですのでオンダルのキャラクターは、我々の想像にかかっていると思いました。台本を初めて読んだ時も、説話だけで接していたそんな“馬鹿オンダル”のイメージは感じられませんでした。オンダルが置かれた環境のために、自然と馬鹿みたいに生きるしかなかった理由を考えました。周りの人々が見たらバカみたいなのかもしれませんが、僕はオンダルが馬鹿として生きることを選択しただけで、本当の馬鹿ではないと思いました。実際に脚色もそのように行われた部分がありました。

――ドラマで毎回成長する姿を見せましたが、自分ではどのように思っていましたか?

ナ・イヌ:撮影しながら次第に相手との共演が楽になりました。現場が気楽になってくると、相手俳優とできることも増えていきました。ソヒョンと共演するシーンでも、面白い要素も入れるためにたくさん悩みました。ロマンスに対する細かい指示は監督からいただきますが、ロマンス以外の些細な状況の中でピョンガンとのケミ(ケミストリー、相手との相性)をもっとしっかり見せたいと思ったんです。そのような部分で気持ちが楽になっていって、視聴者も少しづつ楽に感じ、自然に受け入れていただけたようです。

――現場も大変だったようですね。忙しい撮影現場でもささやかな癒やしはあったのですか?

ナ・イヌ:撮影地がとても美しい場所であり、風にも当たって良い空気も吸いました。それ自体が癒しでした。僕なりのささやかな幸せだったんです。

――ドラマの結末に関しては、本当に良かったという評価が多かったんですね。

ナ・イヌ:撮影をする僕も、ストーリーの進行に合わせていくうちに、このエンディングがもっとも自然だと思いました。歴史的に見れば悲しいエンディングかもしれませんが、この作品はある程度想像力が加えられたフィクションですから。十分に納得できるエンディングだったので、視聴者にも喜んでいただいたと思います。僕もハッピーエンドだと確信して撮影しました。

―― ホホバ、コディバ(高句麗のすごい馬鹿)、ジュンバ(準備できた馬鹿)など、愛情のこもったニックネームも多かったですが、個人的に最も気に入ったニックネームはありますか?

ナ・イヌ:僕はコディバです。意味は違いますが、単語がなんとなく上品です。ハハ。そして言いやすいです。

―― KBS 2TV「遠くから見ると青い春」で、主人公ヨ・ジュンの兄であるヨ・ジュンワン役を務めていますね。

ナ・イヌ:ジュンワンは、オンダルとは本当に次元が違うキャラクターです。「月が浮かぶ川」を終えてすぐに撮影に入るので、たくさん悩み、準備もたくさんしています。今まで演技したキャラクターとも性質が違って、もしかしたら自分に対する新しい挑戦になるかもしれません。僕はキャラクターを深く掘り下げるほうです。「月が浮かぶ川」の終了と共に新たな演技を披露することができて、視聴者の前で試験を受けるような気持ちもあります。

――後続作として「ジンクスの恋人」のコン・スグァン役を演じることが決まりましたね。

ナ・イヌ:ありがたいことにユン・サンホ監督が、もう一度僕を呼んでくださって、楽しい作業になりそうで期待が大きいです。視聴者にも素敵な姿をお見せしたいです。

――演技を始めてかなりの時間が経ちました。俳優になった特別な理由はありましたか?

ナ・イヌ:小学生の時は、子供心であらゆる仕事をしてみたいと思うじゃないですか。当時、有名なドラマを見ながら「自分もあのようなことをしてみたい」と漠然と思っていました。そして中学3年あたりに、路上でスカウトされて所属事務所から名刺をもらいました。練習生としてしばらく準備していましたが、うまくいかなくて、しばらく休みながら進路を考えて、子供の頃にやりたかった演技を死ぬまでやってみようと決心して、始めました。

――「月が浮かぶ川」で突然やってきたチャンスを掴み、その可能性を証明したという評価が多いです。このような評価についてはどう思いますか?

ナ・イヌ:僕はただ自分のやるべきことをやっただけです。好評をいただいて感謝するばかりです。僕は今回の撮影を、何かの“機会”だとは思っていませんでした。自分に与えられた仕事でしたし、演技ということ自体が大好きな仕事だったので、一生懸命に頑張っただけです。

――これから見せたいキャラクターも多いでしょうね。

ナ・イヌ:視聴者の方々が僕の明るいキャラクターをたくさん記憶してくださっているようですが、タフでダークな感じの演技もぜひお見せしたいです。映画「ひまわり」のようなアクションノワールの作品もやってみたいです。

――これまでは俳優としてナ・イヌの魅力を、短い時間で“圧縮して”見せたと思います。新しい“イプドク(オタク入門)”のポイントを挙げてください。

ナ・イヌ:会ってみれば分かると思います。ハハ。これからもっと多くの、新たなキャラクターで自分を見せたいです。

――「百想(ペクサン)芸術大賞」で男性新人賞にノミネートされましたね。

ナ・イヌ:突然候補に上がって、出席することもできて本当に光栄でした。賞をもらうことが本当に貴重で重要だと言う方もいますが、賞をもらえなくてもその場に出席し、授賞式まで行ったということ自体に本当に感謝しています。

――今後どのような俳優になりたいですか?

ナ・イヌ:変わらない俳優、そしていつも真心をこめて演技する俳優です。最近考えるようになったことなのですが、演技をしながら先輩たちから本当に良い影響を受けました。いつか僕も誰かの先輩になったら、善良な影響を与える俳優、お手本になる俳優になりたいです。そのためには長く演技をしなければなりませんね。


記者 : パク・スンヒョン