藤井美菜が振り返る「韓国でのチャンス」「過酷すぎるドラマ撮影」「カルチャーショック」

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TWICEやNCT、PENTAGONなど、日本人メンバーが所属するK-POPグループも増え、韓国を中心にアジア、世界で活躍する日本人が増えている。そこで、Kstyleでは韓国で活躍する日本人にインタビューを敢行!

第1回は、「ドラマの帝王」をはじめ、2月より日本でもセル・レンタル・配信がスタートした「ドクター探偵」など、単身韓国に渡り、ドラマを中心に活動してきた藤井美菜。日本ではモデルとして人気絶頂の頃、突然韓国に渡って活動をはじめたので驚いた人も多かったのでは。今回、なぜ韓国で活動をはじめたのか、そもそも韓国に興味を持ったきっかけは何だったのか、そして韓国で活動していた頃の思い出話など、聞くことができた。

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――韓国でも俳優として活躍されていらっしゃいます。まず、韓国に初めて興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?

藤井美菜:実は、「冬ソナ」です(笑)。大ブームのちょっと後に遅れて観たのが高校2年生の時で、家族全員でドハマリしました。TSUTAYAで借りて観たのが最初なんですけど、3巻だけ借りたら、1日で観終わってしまったんですよね。それで、もう夜中なのに続きが観たくてたまらなくて、結局車を出してもらってもう一度借りに行きました(笑)。それがちょうど高校2年生の時で、その後大学に入って、第二外国語で韓国語を学びはじめました。そんなに大きなクラスではなかったので、クラスのみんなとも仲良くなって、先生との距離が近い状態で韓国語の勉強ができたので、すごくよかったです。いいタイミングで韓国ドラマに出会って、そこからの流れで第二外国語として韓国語を学びはじめた、というのがきっかけですね。

――「冬ソナ」がきっかけで韓国語を習いはじめた、というのがまずあったわけですね。

藤井美菜:たまたま入ったのが文学部だったので、第二外国語の選択肢が広かった、いうのもラッキーでした。当初はドラマとか映画を字幕なしで理解できたら楽しいだろうな、くらいの気持ちで、お仕事に繋げたいという気持ちは正直、全然なかったんです。でも、授業が2年で終わっちゃって、ここでやめたらもったいないなと思って、個人的にマンツーマンレッスンに通いはじめたんです。その後、韓国語の勉強をはじめて5年ぐらい経った頃にKARAのジヨンちゃんが主演した「恋するメゾン。~Rainbow Rose~」という日韓合作ドラマのオーディションのお話があって、そこで韓国語が話せるのをお見せして、合格することができました。そこから縁が繋がっていった感じですね。

――「恋するメゾン。~Rainbow Rose~」が初めてお仕事で韓国と関わった最初のドラマだったんですね。

藤井美菜:このドラマの撮影で初めて韓国に2ヶ月間住んだんですけど、それまで私は日本で韓国語を勉強していただけだったので、日本では通じていた言葉が韓国の現場では全然通じなくて。しかも、その頃は今から10年ぐらい前だから、台本も現場ですぐ変わるし、かなり泣かされました(苦笑)。今でも覚えてるのが、本読みの時。事前にしっかり練習して行ったのに、その場で新しい台本が配られて、「台詞が変わっちゃった!」って大泣きしました(苦笑)。あの現場ではかなり揉まれましたね(笑)。

――そんな過酷な現場を体験したのに、その後も韓国ドラマに果敢に挑戦を続けたのはなぜでしょう?

藤井美菜:結局のところ、楽しかったんですよね(笑)。あのドラマは同世代の共演者も多くて、刺激をもらいました。演技が上手な方も多かったのでいろんなお話も伺ったし、韓国ならではの撮影システムも新鮮だったし。撮影当時、私は22歳で、日本では17歳くらいから本格的にドラマに出はじめてたんですけど、演技もひととおり経験してきたなと思っていた矢先に海外での撮影に参加することになって、こういうふうに韓国ドラマって作られているんだなというのもわかりましたし。日韓合作ドラマではあったんですけど、撮影はオール韓国ロケで、スタッフも韓国の方だったので、驚かされることもたくさんありました。泣いたこともあったけれど、それ以上に「やりたい!」という気持ちのほうが強かったですね。


韓国での生活「当時すごく泣きましたし、いまだに…」

――その後、本格的に韓国に渡って韓国ドラマに出演することになりますが、当時、日本のファンはかなり驚かれたのでは?

藤井美菜:なんで突然、韓国ドラマに出てるんだろう? と思われたと思います(笑)。韓国では「ドラマの帝王」というドラマに出演したのが、一番反響が大きかったですね。私にとっては初めての地上波ドラマでしたし、監督も私の登場シーンにすごく気を遣ってくれたんですよ。私は2話から登場するアキコという役だったんですけど、主演のキム・ミョンミンさんが日本の財閥の家にドラマのスポンサーになってもらえないかとお願いに行くというシーンで、私はそのお金持ちの妻、ものすごく年下の若奥様という役だったんです。そのアキコがただお茶を出すだけのシーンだったんですけど、着物を着て華やかに登場するというインパクトのあるシーンだったので、「この人、日本人の設定だけど本当に日本人なのかな?」といろんな方に興味を持ってもらえるきっかけになりました。

――今でこそ韓国で芸能活動している日本人はたくさんいますが、当時は本当に少なかったですよね。

藤井美菜:運もよかったと思います。私が韓国に行った時はちょうど韓国で活動している日本の方がほぼいらっしゃらないタイミングだったんですよね。「ドラマの帝王」に出演できたのも、もともと日本人のアキコという役があって、私にその役のオーディションの話が来て、日本人の子がいるならぴったりだよねと監督が考えてくださってキャスティングされたんです。今考えても、韓国ドラマに日本人の役があること自体、そんなにあることではないじゃないですか。しかもそれがちょうど私くらいの年齢の役で、韓国ドラマ好きで韓国語の勉強をしたという日本人の役だったので(笑)。だから、いろんなご縁とタイミングが合った結果なのかな、と思いますね。

――不思議な縁があったんですね。とはいえ韓国での生活は、はじめは大変だったのでは?

藤井美菜:さっきもお話したとおり、台本がコロコロ変わるのは当時すごく泣きましたし、いまだに泣きたくなります。最初の頃は特に、言葉の壁がものすごく大きかったですし……。最初のドラマ「恋するメゾン。~Rainbow Rose~」の時だけ通訳の方をお願いしたんですよ。というのも、業界用語がまったくわからなかったので。日本でも「バミリ」とか、撮影現場独特の言葉があるじゃないですか。そういうのがわからないと何をすればいいのかもわからないから。その頃はただただ韓国語に揉まれているだけ、という感じでしたね。メイクさんとの意思疎通も難しい状況だったので。だからやっぱり10年前のあの頃が言葉の上でも一番大変だったな、と思います。あとは、韓国の冬はすごく寒い!(笑) 寒さが強烈すぎて、いかにあたたかくするかっていうのはいまだに苦労してますね。

――生活の面で大変だったことはありますか?

藤井美菜:実は、辛いものがあんまり食べられないんです。でも嫌いではないんですよ。ただ、自分の限界がよくわからないまま食べてしまって、初期の頃は調子に乗って食べ過ぎて、後からお腹が痛くなって病院に駆け込む、ということが多かったです(笑)。最近ようやく頃合がわかってきて、失敗しなくなりました。病院に駆け込んでも保険が効かないから高いんですよね。キムチチゲくらいなら平気なんですけど、現地のトッポッキはやっぱりすごい辛さですよね。でもあの辛さが好きな人、いますよね!

――韓国でカルチャーショックを受けたことはありますか?

藤井美菜:メイクをする時、竹串に火をつけて燃やして、黒焦げになったところでまつげに当てて上げることですかね(笑)。要はホットビューラーの代わりなんですよ。日本でもビューラーを火であっためるやり方をする人はいるんですけど、原理は同じですね。だから韓国のメイクさんって必ず竹串とライターを持ってるんですよね。今さっきまで燃えてた竹串が目の前に来るから、最初の頃はすごくドキドキしてました。でも、本当に直前まで燃えてたくらい熱いものだから、結構ちゃんとまつげが上がって、キープ力もすごいんですよ。なので今は便利だなという気持ちのほうが強いです。だから韓国の美容室に行くとちょっと焦げ臭かったりするんですよね。


韓国で働きたいと思う人にアドバイス「笑顔は言葉を超える」

――逆に、韓国のこういうところは自分に合ってる、と思ったことはありますか?

藤井美菜:メイクの仕方もちょこちょこ違うので、自分にはどっちが合ってるというよりは、表情とか雰囲気もメイクで印象が変わるので、その違いは日本と韓国の両方を楽しめるっていうよさはありますね。肌の作り方とかも違うし、アイメイクも違うので、顔が変わって見えるから、それはちょっと楽しんじゃってます。日本のドラマだと比較的ナチュラルにメイクされる方が多いんですけど、韓国の場合はドラマでも結構しっかりメイクして、照明でナチュラルっぽく見せるというか。メイクで印象が変わるので、その変化を楽しんじゃってます。

――韓国で長く生活したものの、いまだに慣れないことは?

藤井美菜:些細なことで言うと、昔は買ってきたチョコとかアイスを一瞬床に置いちゃって、オンドルだから全部溶けちゃった、みたいなことがよくありました(笑)。最初の頃はオンドル文化に慣れなくて。でもオンドルは最高ですよね。韓国の冬はすごく寒いんですけど、足からああたたまると体全体がホカホカしてくるので。日本にもあればいいなと思います。

――オンドル以外で日本にもあったらいいな、と思うものはありますか?

藤井美菜:チンチルバンが安いっていうのがいいですよね。日本にもサウナはありますけど、韓国だと24時間滞在しても1000円くらいなので。チンチルバンぐらいの気軽さで日本のサウナに行けたら、けっこう代謝がよくなるんじゃないかなと思っています。韓国にいる頃は女性専用チンチルバンに行って、岩盤浴してっていうのに一時期ハマってました。でもチンチルバンには食堂も入ってるから、結局そこでラーメン食べちゃって、むくんで帰ってくるんですよね(笑)。チンチルバンのラーメンっておいしいんですよ。なんてことのないラーメンなんですけど。ああいうリーズナブルなものが日本にもあったらいいな、とは思いますね。

――チンチルバンにはひとりで通ってたんですか?

藤井美菜:ひとりで行ってました(笑)。ドラマ「ドクター探偵」を撮っていた時は台本を読む時間が長かったのであんまり休みはなかったんですけど、「ドラマの帝王」という作品を撮っていた時は、一応レギュラー出演ではあったんですけど毎話出るわけではないし、台本が上がらないと登場するかしないかもわからないので、3ヶ月ぐらい韓国に滞在しながら自分の出番を持っているという状態だったんですね。しかも韓国ってスケジュールがギリギリにならないとわからないので、あんまり他の作品と並行できる状況でもなくて、ただただ待機するしかなくて……。だからあの頃はお休みの日もしっかりあったので、オリンピック公園とその近くにある湖によく行ってました。

――休日はどんなふうに過ごしていましたか?

藤井美菜:あの頃はまだ言葉が今ほどできなくて、友だちもちょっとはいたけど仕事でいっぱいいっぱいになっちゃって、休みの日にまで韓国語を話したくなかったんですよね……。あえてひとりで湖に鴨を眺めに行ってました。動物は韓国語じゃなくてもきっと通じるよね、と思いながら(笑)。オンとオフを切り替えないと厳しい時期でしたね、あの頃は。でもそういう時間があったから、仕事の時には切り替えてがんばれたのかなと思います。

――韓国に滞在している時、よく行っていたお店はありますか?

藤井美菜:家の近くにCaffe Bene(カフェベネ)があって、台本を読みにそのCaffe Beneによく通ってました。いつもひとりで行っていたので、店員さんもたぶん私のことを藤井美菜だとわかってくださってて。私の誕生日が7月15日なんですけど、前日の夜にCaffe Beneで作業してたら、店員さんがケーキをくださったんです。「明日、誕生日ですよね」って。たぶん「この人、明日誕生日だけどまたひとりで来てる」と思ってくれたのかな(笑)。私の誕生日を知っていたのもすごいなと思ったんですけど、心があったかい方がすごく多くて、そういうのでグッと来てましたね。しかもその時、わざわざお店のBGMを「雪の華」に変えてくれたんですよ! 「雪の華」がかかってるな、と思っていたらケーキが出てきたので、「ううう、涙が出ちゃう!」と思いながらおいしくいただきました。やっぱり言葉の問題や新しい現場の環境に慣れなくて一番しんどい時期だったので、すごく感動しましたね。今はずいぶん楽しめるようになっちゃったんですけど(笑)。今、話しながら思い出してまた涙が出そうになっちゃうくらい、いい思い出ですね。

――最近は歌手や俳優としてだけでなく、韓国で働いてみたいと思う人も増えています。実際に韓国での活動経験のある先輩として、若い人にアドバイスをするなら?

藤井美菜:言葉の問題があるとしても、結局、笑顔は言葉を超えると思ったんですよ、その時に。やさしい方はたくさんいますし、仲よくなりたいんだよっていうのが表情にさえ表れていたら、言葉で伝えられないとしても気持ちは伝わるので。そういう気持ちをしっかり持っていて、表情にその気持ちが出ていれば、きっと乗り越えられるなと思っています。それは当時から私も意識していたことなんですよ。そのおかげで、日本語は話せないけど日本語であいさつしてくれたり、簡単な韓国語を意識してしゃべってくれたり、笑顔にちゃんと応えてくれる方はきっといます。その時、笑顔ってボーダーレスなんだなと私も実感したので、もし韓国語が話せない方だったら、笑顔を意識したらきっと楽しめるんじゃないかなと思いますね。私も、今となってはあの頃が懐かしい思い出になってます。あの瞬間は結構、歯を食いしばってたんですけどね(笑)。


藤井美菜が今もっとも恋しい韓国のものは?

――今はなかなか韓国にも行けない時期が続いていて、K-POPファンや韓国ドラマファンの間に“韓国ロス”が広がっています。藤井さんが今もっとも恋しい韓国のものは何ですか?

藤井美菜:ジャージャー麺がすごく恋しいです! 香港飯点のジャージャー麺がおいしいっていうのを「ドクター探偵」の撮影中に知って、その時初めて食べに行ったんですよね。また食べたいなあ。新大久保にも支店があるらしいんですよね。どうしても我慢できなくなったら新大久保に行くかも(笑)。そしてやっぱり、ファンのみなさんですね。今、個人的にYouTubeチャンネルをやらせていただいているんですけど、私が10年前に韓国で活動しはじめた頃は、日本で活動している時は韓国の方に自分が何しているのかお伝えする場がなくて、韓国にいる間は日本の方にお伝えする場がなくて……。でも今は国を超えて発信する場ができて、ありがたいなと思いつつ、また韓国のファンのみなさんと交流する場があるといいなと思いますね。今は実際にお会いできる機会がないので。

――韓国でも活動されてきた藤井さんだからこそ言える韓国のいいところ、これだから韓国は面白い! と思えるところは何ですか?

藤井美菜:アグレッシブなエネルギーをすごく感じるところですね。勢いがすごい。だからドラマでもアドリブ合戦になったりとか、台本がギリギリにしか上がらなかったりとか(笑)。でも、そういうこともみんな楽しんでいて、面白いものを作るために「今、新しいアイディアが出たから変えちゃおう!」みたいな、瞬発力でいろんなものを作ってる印象があって、そういうところは韓国らしい魅力でもあるのかなと思っています。

――コロナが収束して韓国でまた活動できるようになったらやりたいことはなんですか?

藤井美菜:2月から日本でもセル・レンタルがはじまった「ドクター探偵」は2019年に撮影した作品なんですけど、ちょっと間が空いて久しぶりに撮影したドラマで、すごく学んだことが多かったので、コロナが収束したらまた韓国でドラマをやりたいです。今、日本でもいろんな作品をやらせていただいて、成長していきたいと思っているので、がんばる姿をまたみなさんにも見ていただきたいなと思っています。そのためにはもちろん、韓国語を忘れないようにしないといけないんですけどね。それに今はNetflixだったり、日本にも韓国にもいろんな形で配信される時代なので、がんばっていたらきっといろんな方に観ていただけて、応援していただけるんじゃないかなという気持ちで、今はがんばっています。

――プライベートで韓国へ行けたら?

藤井美菜:プライベートでやりたいことは、漢江チキン! ドラマでもよく観ていたし、実際に漢江に行くと空が広くて、みんなピクニックみたいにしていて、平和ないい時間を過ごせるものなんだなと思ったので、ぜひとも実現したいなと思っています。私はテレビ番組で経験したことはあるんですけど、ピクニックシートを持って、個人的に楽しみとして行きたいんです。漢江のどこそこにいると言ったら、そこまで食べ物の配達が来るって聞いたので、それを試してみたいです(笑)。

取材:尹 秀姫 / 撮影:朝岡英輔

■リリース情報
「ドクター探偵」

◯TSUTAYA先行レンタル
Vol.1~16/全32話/各巻本編各2話 好評レンタル中

◯セルDVD-BOX1/2 好評発売中
全2BOX/全32話/16巻 各¥14,400+税

発売元:PLAN Kエンタテインメント
販売元:【セル】ハピネット・メディアマーケティング【レンタル】PLAN Kエンタテインメント
製作年:2019年/製作国:韓国
仕様:カラー/16:9/ドルビーデジタル2.0chステレオ/日本語字幕/韓国語音声
(C)SBS

【出演】
パク・ジニ(ト・ジュンウン役)「リターン―真相―」「記憶~愛する人へ~」
ポン・テギュ(ホ・ミンギ役)「リターン―真相―」「ワーキングママ~愛の方程式~」
イ・ギウ(チェ・テヨン役)「ただ愛する仲」「美男<イケメン>ラーメン店」
藤井美菜

予告編:https://youtu.be/imk4HGnKr74
※TSUTAYA TVにて好評配信中

■関連サイト
・藤井美菜 公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCgsbJfHa3TCmki1x_ZwugEw

記者 : Kstyle編集部