藤井美菜、韓国ドラマへの出演で感じた日本との違いとは!?医療捜査ドラマ「ドクター探偵」が日本でリリース

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韓国の真相追跡番組「それが知りたい」のプロデューサー、パク・ジュンウが初監督を務めたドラマ「ドクター探偵」は韓国で実際に起きた出来事をモチーフに、さまざまな事件を“ドクター探偵”が推理、巨悪に立ち向かうという医療捜査ドラマ。社会派ドキュメンタリー要素が強いシリアスなストーリーの中で唯一、ほっこりできるのがUDC(未確認疾患センター)チームの登場シーン。そのの一員である分析チーム長のソク・ジニを演じた藤井美菜さんに本ドラマの見どころについて、そして韓国の撮影現場のエピソードを伺った。

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――出演作「ドクター探偵」がいよいよ日本でも公開されます。まずはどんなドラマなのか、見どころを教えてください。

藤井美菜:監督はドキュメンタリー「それが知りたい」という作品のプロデューサーの方なんですけど、長年ドキュメンタリー番組に携わっていた方がドラマを作るということで、そういったドキュメンタリーの手法を生かしつつ、実際に韓国であった事件やニュースをもとにドラマ化した作品です。労働環境に関する不正や問題点をUDCというチームが暴き、解決するというストーリーなんですが、本編の最後には実際に韓国であった事件のドキュメンタリー・パートが入っていて、そういった試みも韓国では話題になりました。今までにない手法を使ったドラマなので、韓国ドラマを見慣れている方でも新鮮な気持ちでご覧になっていただける作品になってるんじゃないかなと思います。

――藤井さんが演じたソク・ジニはドラマの中でどんな役どころですか?

藤井美菜:私が演じたソク・ジニが所属するUDCチームは、メンバーそれぞれ個性的なんです。ドラマ自体はいくらでもシリアスに描けるけれど、それだけだとやっぱりただただ重いだけの作品になってしまうので、UDCメンバーが登場するシーンに関しては、視聴者の方が少しホッとできるようなあったかい雰囲気にしたいね、というのは本読みの段階からみなさんとお話していて。なので唯一ふざけられるシーンというか、コミカルにするためのアイデアをみなさんで出し合って作っていくという作業をしました。

――アドリブも多かったのでしょうか?

藤井美菜:特にポン・テギュさんはアドリブも多くて、アドリブと言っても本番でいきなりやるのではなく、テスト段階で「こういうのはどうだろう?」と見せてくれるんですけど、テギュさんがこう動くんだったら私はこう動くねっていうのを一応その前の段階で固めて、という作り方をしました。韓国ドラマをガッツリやるのはこれが3、4作目だったんですけど、そういう風に台本にない動きやセリフをすること自体、それまであまり経験したことがなかったので、すごく新鮮で、いろんなことを学ばせていただきました。

――そういったアドリブにも対応できるくらい、韓国語は問題ないということですよね。

藤井美菜:まだ何不自由なくできる、というほどではないんですけどね。でもこの作品より前だったら、対応できなくてただただパニックになっていたかも。でも、もう韓国で10年ぐらいやらせていただいていますし、共演した先輩方もいろいろアイディアを出してくださって、私の台詞に関しても「こっちの言葉のほうが面白いんじゃない?」とみなさんからお力添えをいただいて、この作品を一緒に作ることができたような気がします。でも、撮影では瞬発力を問われすぎて、大変でした(笑)。
 

「オタクからの変身シーン、覚悟してやらせていただきました(笑)」

――藤井さんが演じたのは未確認疾患センター、UDCのメンバーとして証拠物の分析などをする分析チーム長ソク・ジニという役ですが、ひっつめ髪にメガネ、白衣姿が新鮮でした。

藤井美菜:それまで韓国でお見せしていたイメージとはだいぶ違う姿での登場だったので、それはそれですごく楽しかったです。でも初めの段階からドラマのどこかで華麗に変身するというのが彼女のポイントになる、ということを監督がおっしゃっていたので、台本をいただくたびにいつ変身するのかな? と気になってドキドキしてました(笑)。

――未確認疾患センター、UDCの分析チーム長という役柄は難しくなかったでしょうか?

藤井美菜:実は私の父が研究職的な仕事をしているので、ちょっとした憧れじゃないですけど、そういうお仕事に対するリスペクトがすごくあって。研究者の役をやるのは今回が初めてだったので、楽しかったですね。顕微鏡も触らせていただいて。何かを突き詰めるという作業が好きなので、研究者に憧れてます。

――役柄的に専門用語が多くて、台詞は大変だったのでは?

藤井美菜:ジニの役作りに関しては、実は紆余曲折があったんですよ。UDCはすごく個性が強いチームだから、私は外国人ということが1つのポイントにはなってるけど、じゃあそれを生かすために日本語訛りを強くしたほうが面白いかも、とか。日本語の単語を台詞にちょこっと混ぜてみたり、というようなことをいくつか試しました。みなさん、それぞれの役の個性をいかに伸ばして楽しいチームにするかというのをすごく練られていて、そういうふうに役作りすることが私たちの務めなんだなと学びましたし、このドラマの撮影中は常に台本と向き合ってました。私にとっては外国語で書かれているので、台本を読むのはけっこう時間がかかるんですけど、今回は特にしんどかったですね。薬品の名前とか専門用語が多くて、1つひとつ調べないといけなかったので。このドラマを撮影した2019年は、ずっと台本を読んでました。

――ドラマのテーマ自体は社会派ではありますが、そんな中でもUDCメンバーとのやりとりはドラマを見ている人からするとホッとするひとときでもありました。

藤井美菜:ドラマの内容はシリアスでしたけど、現場は本当に和気あいあいとしていました。(イ・ギウ演じる)チェ・テヨンさんたちのTLグループの方とは現場でお会いすることはほぼなかったんですけど、たまに会うと「わあ!」みたいな(笑)。ドラマの中ではけっこうバチバチしてるんですけどね。だから現場と作品とのギャップはかなりあったと思います。

――撮影中で思い出に残っているエピソードはありますか?

藤井美菜:UDCみんなが集まってワイワイしてるシーンはすごく好きでしたね。噂好きの3人のうちのひとりという設定だったので、噂についてあーだこーだ言う時は楽しかったです。UDCのメンバーとのテンポ感はすごく気に入っています。たとえばベンチに隠れるシーンとかも、どんな角度でどんなテンポ感が一番面白くなるんだろうってみんなで話し合って、そういう作業もすごく楽しかったですね。あとはメガネを外して髪を下ろすシーンも、監督がスローモーションカメラを用意してくださって。「風吹かせるから、ここで笑って! スローカメラで行くから!」って(笑)。それまでずっとオタクキャラでやってきたので、今日から変わるんだという覚悟を決めてやらせていただきました(笑)。

――撮影現場の雰囲気の良さが伝わってきますね。

藤井美菜:韓国の現場ってすごくコミュニケーションを取り合うんですけど、みんなでごはんを食べながらオンエアを観て、感想を言い合ったりもしました。1話に関してはスタッフの方も含めてみんなでサンギョプサルを食べながら“本番死守”したのが思い出深いですね。
 

「韓国ドラマってこうして面白く出来上がっていくんだなと…」

――役作りに関して藤井さんが考案したアイディアはありました?

藤井美菜:ジニという人物をキャラ立ちさせるために、キャンディをずっと舐めてみたり、いつも何かを食べてる人みたいなイメージで演じてみました。ただ、日本語だったらキャンディを口にくわえながらしゃべるとかいろいろアレンジできたんでしょうけど、やっぱり外国人だし、台詞がちゃんと伝わらないんじゃないかという懸念もあって、あんまりアイディアを生かし切れなかったかなという悔いが残ってるんですけどね……。眼鏡や小道具で工夫して彼女のキャラクターを立てさせられたら、というのはいろいろ試行錯誤しました。

――藤井美菜さんの新しい姿に対する反応はどうでしたか?

藤井美菜:ちょっとオタクっぽい役だったので、新鮮な役で楽しく観てますという感想をいただきました。あとは、あの子は何人なんだ? みたいな(笑)。新たにたくさんの方に知っていただく機会になったようで、うれしかったです。10年前から韓国では「ドラマの帝王」をはじめ何本かドラマをやらせていただいたんですけど、それからちょっと時間が空いて、韓国語も前よりは自由が利くようになってきたので、難しい役柄ではありましたけどレギュラーとして参加できて本当にありがたかったですね。

――ナチュラルな演技がジニを際立たせていたと思いました。ジニと藤井さん本人の性格はにていますか?

藤井美菜:そうですね、私もけっこうサバサバしているところがあるので、オタクな役は意外に合っていた気がします。運動靴にデニムにメガネ、髪の毛はひっつめであんまりメイクもしないっていうのはすごく楽だったので、逆に後半になると女性らしく変身するんですけど、前半のほうが私らしかったかな? というのは思いました。

――放送を観て印象に残ったシーンや好きなシーンはありますか?

藤井美菜:ポン・テギュさんが潜入する時に草むらに隠れるシーンがあって、髪の毛に葉っぱがたくさん刺さってたんですけど、台本にはそんなことまったく書かれてないんですよ。たぶんあそこに草むらがあったから、「この葉っぱを頭に刺すべ」ってその場でアイディアを出されたんだろうなと思って、その情景も含め想像できて、楽しかったです。緊張感のあるドラマではあるけれど、ちょっと笑えるっていうのは(ポン・テギュ演じる)ホ・ミンギの力が大きかったなと思いますね。ホ・ミンギは作品とキャラクターをチャーミングに見せてくれる役だなと思って、すごく面白かったです。

――本作のポイントでもありますよね。

藤井美菜:「ドクター探偵」メッセージ性が強いドラマだし、本当にあった悲しい話だし、そう思うと、面白くできるポイントってなかなか見つからないんですけど、ポン・テギュさんが絶妙なところでそのポイントを見つけてくれるんですよね。作品全体のことを俯瞰で見られないとそういうポイントは見つけらないので。そこが今回のドラマに関して一番大きなポイントでした。

――ポン・テギュさんのそういう発想を間近で見ていかがでしたか?

藤井美菜:私はけっこう頭が堅いというか、台本があるとまずは台本に沿った動きをするというところから始まっちゃってたんですよ。といっても日本の現場で韓国ドラマほどアレンジするのはもしかしたら許されないかもしれないですけど。まずは作品全体を俯瞰で見てみて、台本だとこう書かれてはいるけれど、この役のこういう状況だったらこう動いてこうしゃべるっていうのもあり得るな、というふうに発想を変えてみる。そうすると、もとの台本通りに演じたとしても、すごく自由に動けるような気がしていて。そこはこのドラマで学んだことですね。

――藤井さん自身にもいい影響になった、と。

藤井美菜:今、日本のドラマの台本を読んでるんですけど、その台本の読み方もちょっと変わったので、その作品が完成した時、視聴者目線で見てみたらどうなんだろう? とか。楽しみですね。

――演技の自由度が高いんですね。

藤井美菜:自由すぎてびっくりしました! 最近の韓国ドラマでは、演者のみなさんが自分の役を育てるというか、シーンを育てるというか……。たしかに、撮影現場には、台本にはないアイディアが意外なほど転がっていたりするんですよね。そういうアイディアを生かすから、韓国ドラマって面白く出来上がっていくんだなというのがよくわかりました。おかげで韓国ドラマそのものを見る目線も変わったかもしれないです。
 

韓国ドラマへの出演で感じた日本との違い「一番いいなと思ってるのは…」

――こうして韓国ドラマに出演するようになって、日本との違いは感じますか?

藤井美菜:細かいことで言うと、美容室に行ってから現場に行くことですね。日本だと現場でメイクしてもらうんですけど、韓国だとまずは美容室に行ってメイクと髪の毛をセットしてもらってから現場に行くんですよ。私が一番いいなと思ってるのは、美容室でセットするから髪の毛を洗ってもらえること(笑)。撮影が終わって夜中に帰ってきて、もうくたくたで髪の毛を洗う時間がないような時でも、美容室に行けば髪の毛を洗ってもらえるっていうのはいいなと思いました。美容室に寄ってから現場に行くのは時間もかかるし手間かなとも思ったんですけど、それはそれで楽しんじゃってましたね(笑)。

――それは日本にはない文化かもしれません。

藤井美菜:韓国の朝の美容室って独特で、朝の6時ぐらいに美容室にいる人ってほぼ全員芸能人なので、並んでる方がみんな先輩だったりして、ちょっと不思議な感覚になりました。日本だと同じドラマの方とは並んでメイクするけど、違うドラマの方と同じ場所でメイクするという状況にはならないので。美容室の人と先輩が話しているトークを、そ知らぬフリして聞いたりしてました(笑)。美容室は知り合いにも会いやすいですし、不思議なシステムですよね。そこでおしゃべりして仲良くなったりとかもあるので。他の現場の方の話をこっそり聞いて「あのドラマ、面白そうだし観てみようかな」って情報を仕入れたり(笑)。美容室ではいろんな情報が入ってきて面白かったです。

――韓国のドラマ撮影の現場は過酷だという話はよく聞きますが、その点はどうでした?

藤井美菜:10年前は台本がギリギリまでできないことがザラで、前日の夜に台本が完成するといったこともありました。でも、韓国の方もおっしゃってるんですけど、最近はドラマ制作のシステムが変わって、ギリギリの進行はやめようということになったみたいです。最近は事前収録、つまり全部撮り終わってから放送するドラマも増えましたし、このドラマも4、5話ぐらいまで撮ってから放送がはじまったので、少し余裕がありました。なので、昔と比べてずいぶん余裕が生まれたなと思いつつ、1話75分を週2回放送するのは変わらないので、結局メインの方々は眠る時間がないんだろうな、というのはありますね。

――だいぶ変わってきてるんですね。その他に日本にはないなと感じるものは?

藤井美菜:日本にはないシステムだと思うんですけど、韓国だと複数の撮影チームで同時に撮影するんですよ。AチームとBチームで同じ日に別のシーンを撮ってるんです。このドラマも、UDCが撮ってる同じ日に、裏のセットでTLグループが撮ってました。このシステムはそもそも時間がないからというのもありますし、UDCとTLグループで一緒になることがほぼないからというのもあったんですけど、これは独特だなと思いましたね。たまにホ・ミンギだけどっちにも出没するシーンがあったりするので、ポン・テギュさんは、午前はAチームで撮って、午後はBチームで撮影することもあって、忙しそうでした。


「30代の藤井美菜のお芝居をちゃんと見せていきたい」

――韓国では2019年に放送されたドラマがいよいよ日本で公開されます。日本の視聴者にこの作品をどう受け止めてほしいですか?

藤井美菜:労働環境や健康、命に関する問題は、国を問わずどの国も抱えてる課題だと思うんですよね。そういう世界共通の課題に真摯に向き合ったドラマだと思うので、UDCが登場するシーンにホッとしていただきながら、シリアスなメッセージをいろんな世代の方に受け取っていただけたらうれしいです。

――日本、そして韓国でも活躍されている藤井美菜さんですが、これから俳優としてやりたいこと、またこれから先、どんな俳優になっていたいですか?

藤井美菜:9歳くらいの頃からこの仕事に足を踏み入れて、その後も10代、20代とやらせていただいて、その時々で求められることが変わってきたと思うんですけど、30代になって、また新しいステージが開けた気がして、今お芝居することがすごく楽しくなっています。韓国でいろんなことを学ばせていただいて、今だからこそできる役も広がっていると思うので、しばらくはコロナがあるので行ったり来たりはなかなか難しいかもしれないですけど、これからも国を問わず、いろんな国でやっていきたいですし、今の30代の藤井美菜のお芝居っていうものをいろんな方にちゃんとお見せできるよう、自分自身がいろんな活動できる場所を模索して、探していけたらなと思っております。

取材:尹 秀姫 / 撮影:朝岡英輔

■リリース情報
「ドクター探偵」

◯TSUTAYA先行レンタル
Vol.1~16/全32話/各巻本編各2話 好評レンタル中

<特典映像>次回、チラ見せ!(10分)

◯セルDVD-BOX1/2 好評発売中
全2BOX/全32話/16巻 各¥14,400+税

<映像特典>
・DISC1~15:次回、チラ見せ!
・BOX1:制作発表会、台本読み合わせ、インタビュー(パク・ジニ、ポン・テギュ、イ・ギウ)(予定)
・BOX2:撮影風景、UDC紹介、キャラクターインタビュー(予定)

<封入特典>
ブックレット8P(予定)

※TSUTAYA TVにて好評配信中

発売元:PLAN Kエンタテインメント
販売元:【セル】ハピネット・メディアマーケティング【レンタル】PLAN Kエンタテインメント
製作年:2019年
製作国:韓国
仕様:カラー/16:9/ドルビーデジタル2.0chステレオ/日本語字幕/韓国語音声
(C)SBS

【出演】
パク・ジニ(ト・ジュンウン役)「リターン―真相―」「記憶~愛する人へ~」
ポン・テギュ(ホ・ミンギ役)「リターン―真相―」「ワーキングママ~愛の方程式~」
イ・ギウ(チェ・テヨン役)「ただ愛する仲」「美男<イケメン>ラーメン店」
藤井美菜

脚本:ソン・ユンヒ
演出:パク・ジュンウ

【あらすじ】
ト・ジュンウン(パク・ジニ)は疫学調査に天才的な能力を持つ産業医。知り合いの青年が仕事中に転落死したことをきっかけにUDC(未診断疾患センター)に入社したジュンウンは、膨大な知識と捜査能力で事故原因を突き止め、企業の労災隠蔽を次々と暴いていく。ジュンウンの部下ホ・ミンギ(ポン・テギュ)は、協調性のないジュンウンに振り回されながらも、いつしかいいコンビに。一方、労災事件をねつ造しているTLグループは政府と結託してUDCの動きを止めようとし、TLの御曹子でジュンウンの元夫チェ・テヨン(イ・ギウ)もジュンウンに手を引くよう警告していたが……。

予告編:https://youtu.be/imk4HGnKr74

記者 : Kstyle編集部