「龍楼閣」チ・イルジュ“キャラクターのせいで悪口も…だけど悔しくはない”

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写真=(株)グノス
チ・イルジュは最近、ソウル市鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)にあるカフェでマイデイリーとのインタビューを行い、12月3日に公開された映画「龍楼閣」について多様なエピソードを伝えた。

「龍楼閣」は、法で裁くことができなかった残酷な犯罪を審判する、謎の秘密組織“龍楼閣”のメンバーたちの熱いアクションを盛り込んだ映画だ。「第2回忠州(チュンジュ)国際武芸アクション映画祭」の開幕作として選定され、面白さはもちろん、その作品性まで証明した。「ひそひそ」「テベク拳」など独自のカラーでジャンル映画の新しい地平を開いているチェ・サンフン監督の作品だ。

特に「龍楼閣」は実際の事件をモチーフにしている。財閥2世の暴力事件、飛行機回航事件、60代警備員の自殺事件などの“パワハラ事件”が社会的問題として浮上し、人々を怒らせた。被害者と加害者がひっくり返ったまま、加害者は罪悪感も感じずに堂々と生きていくという話を聞いたチェ・サンフン監督は「果たして法は万人に公正で、社会はどれくらい正義なのか?」という根源的な疑問について考えるようになり、現代にも力がない人々を代弁する義理堅いホン・ギルドンのような存在がいたらどうだろうという考えで「龍楼閣」を誕生させたという。

チ・イルジュは映画「最も普通の恋愛」「あなたの彼女」、ドラマ「青春時代」「恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~」「その男の記憶法」「一度行ってきました」など、ドラマとスクリーンを行き来しながら活躍したことに続いて、「龍楼閣」を通じてフィルモグラフィー(その俳優が携わった映画作品のリスト)史上、最も強烈な変身を図った。

彼は劇中で、正義を審判する秘密組織“龍楼閣”エースのチョルミンに変身して、バイクでの疾走から体を投げるパワフルなアクションなどを披露し、これまでに見たことがない一風変わった魅力をアピールした。外見は不愛想だが、助けが必要な周りの人々に黙って手を差し出すなど優しい姿で観客たちの心をとらえる予定だ。

「龍楼閣」を通じて、過去最高の演技変身に挑戦したほど情熱を燃やしたチ・イルジュ。彼は「普段の体重が68キロなのですが『龍楼閣』の撮影当時は62キロまで減らしました。キャラクターのために減量が必要だと思ってダイエットしました」とし「この作品のためにバイクの免許も取得しました。塾で学んでから取得しました」と伝え、注目を集めた。

これとともに彼は「10年前ごろ、ソウルにあるアクションスクールに3ヶ月間通ったこともあって、たまにアクションの演技もしましたが、アクションを専門にする俳優の方々とは差があるので、一山(イルサン)のアクションスクールでたくさん練習しました。画面を通じて素敵な姿をお見せしたいので、一生懸命に練習しました」と伝えた。

ペ・ホンソク、EXID ジョンファ、チャン・ウィス、Berry Good チョヒョンなどとの共演については「撮影に入る前に、皆で会ったこともあります。楽しく撮影しました」と満足した様子を見せた。

彼は「龍楼閣」に続いて続編である「龍楼閣2:神々の夜」の撮影まで終えた。これについてチ・イルジュは「前編では“パワハラ”への報復で観客たちに痛快さを届けたとしたら、続編はチョルミンの罪悪感について扱い、一風変わった面白さを届けます。感情的に見えるような部分があります」と言及した。

これまで「青春時代」の暴力男、「その男の記憶法」のストーカー、「一度行ってきました」の浮気男、映画「最も普通の恋愛」のデレデレな元彼氏など、卑劣なキャラクターで深い印象を与え、“スレギ(ゴミという意味で卑劣なキャラクターを指す)専門俳優”という修飾語までつけられたチ・イルジュ。

これについて彼は「『青春時代』を通じて好評を受けて反応が良かったので、その後もそんな役だけを演じてきました。それで『あの俳優はいつもこんな役だけをするの』『いつまでこんな役をするの』という反応が多いということをよく知っています。キャラクターのせいで“チョンス(全国のゴミという意味)”という話も聞いて、悪口も聞きましたが、それほど役を完璧に演じたという意味なので悔しくないです。以前よりもっと新しい姿をお見せしたいという気持ちが大きいです」と伝えた。

続いて「これからは率直な俳優、少なくとも“スレギ専門俳優”のイメージから脱したいです」とし「なので『龍楼閣』で一生懸命に演技しました。『龍楼閣』を通じてギャップのある姿を見せることができてとても嬉しいです。このように真剣な姿もあるんだということを知ってほしいですね」と伝えた。

特にチ・イルジュはIQ156のメンサ(高IQを有する団体)の会員である“脳セク男(脳がセクシーな男)”らしく作家、演出など多様な分野で活躍して話題を集めたりした。彼は「スマートになりたい渇望、知的な渇望があって別の分野にも関心を持って勉強し続けています」と謙遜した姿を見せた。

彼は昨年9月、イ・ジュニョン作家とともに「1日10分人文学」という本を発刊したことについて言及した。彼は「哲学に関心があります。家の付近で学習会があって参加したのですが、その時にイ・ジュニョン先生と親しくなりました。先生から寄付形式の『カカオプロジェクト100』に一緒に参加しようと言われて本を書き、発刊しました。最近は、第二刷も発刊しました」と伝えた。

初めて文を書くようになったきっかけについては「21歳の時に入隊したのですが、入隊前に映画の演出をする友人たちに会ったことがあります。その時、その友人たちと僕の対話のレベルが違うということに気づきました。彼らの対話はもっと深みがあるというか……映画的な哲学と思想について話していたのですが、僕はそんな分野には無知でした。彼らと一緒に共感してコミュニケーションしたいと感じ、服務中にニーチェなど哲学の本を興味深く読みました」と本を読み始めたきっかけを明かした。

続けて「本を読んだら、バラバラになっていた考えたちが整理され、もっと知りたくなりました。哲学というのは『なぜ』を考える学文だと思います。演技も、このキャラクターはなぜこんな行動をするの? なぜこんな風に生きていくの? など疑問を持つようになりますが、哲学がそんな好奇心を解決してくれました。また僕の考えが果たして正しいのか、間違ってるのかについて引き続き質問するようになります。哲学を勉強してからは毎日日記を書くようになり、これをきっかけに除隊後、大学院に進学してシナリオ作法を勉強しました。そのように文を書いたら、僕が直接書いた文で観客に会いたいと考えるようになり、演出にまで挑戦しました」と伝えた。

特にチ・イルジュは「死ぬ前に『星の王子さま』のような本を書きたいです。老若男女を問わず簡単に読める、読む時に感じる事が違う、また重くない本を発刊したいですね」と願いを伝えた。

多芸多才な能力を誇示するチ・イルジュ。それにも関わらず彼は「文を書くのも、演出も演技のように面白いですが、まだ1位は演技です。作家と演出は挑戦で、演技にもっと集中しています。僕が今年でデビュー13年目なのですが、演技をしていること自体に感謝しています。すべての瞬間がありがたかったですし、頑張って走ってきました」と伝え、生まれながらの俳優であることを証明した。

記者 : キム・ナラ