古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編 Vol.2

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前回行った“韓流スター編 Vol.1”に続き、今回も韓国の俳優さんの来日イベントの中で、特に僕が忘れられないスターの皆さんとの思い出を振り返っていきます。

2003年末にソウルで行われた俳優ペ・ヨンジュンさんの初のファンミーティングでMCを担当して以来、17年間に渡って、千回を超える韓流、K-POPスターのファンミーティングをはじめとするイベントのMCを務めてきました。そんな僕が、そんな数々のイベントの中から、特に忘れられないイベントを振り返っていく企画です。

Vol.1 ― 古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編


◆キム・ユンソク

2015年11月13日 ナレッジシアター(大阪)
「第1回 大阪韓国映画祭」


この仕事をしていて「本当に良かったと思う瞬間は?」という質問をよく受けますが、僕個人的には(K-POPの専門家的なイメージが強いですが)韓国映画が大好きなんです。特に映画俳優さんとお仕事をご一緒できる時(もちろん、MCとしての仕事は全うしますが)、イベントとはいえ、自分がいつも思っている、直接聞いてみたいことを直接聞くことができるので、その瞬間は「この仕事をしていて、本当に良かったなぁ」って思います。

映画『1987、ある闘いの真実』や『チェイサー』『海にかかる霧』といった作品を通じて、日本の韓国映画ファンや韓流ファンからも愛されている俳優さんの一人、名優のキム・ユンソクさんとお仕事をご一緒できると知ったときは、『ワンドゥギ』(『チェイサー』ではないんですよね)で嵌って以来、いつかお会いできないか……と思っていたので、天にも昇る気持ちでした。しかも、日本でトークショーを行ったことは皆無ということもあり、そんな貴重な時をご一緒できる喜びは、言葉では表現できません。

ただ、映画での印象とは違い、ご本人はとてもお茶目な一面をお持ちで、トークショーでは、寡黙なイメージとは180度違い、本当にたくさんお話される方でビックリ。演劇畑から映画の世界へと、そのキャリアを重ねていったキム・ユンソクさん。パク・チャヌク、ポン・ジュノ、キム・ジウンといった、今の韓国映画界を代表する監督たちが、積極的に舞台俳優を登用してきたことで「自分にも映画の世界で活躍できるチャンスがやってきた」など、なかなか聞くことのできない貴重なお話をたくさんしてくださいました。

そんなキム・ユンソクさんですが、これが初来日ではなく、ミュージカル『地下鉄1号線』に出演のため、2001年に東京、大阪、福岡で公演を行ったことが最初だったようで、日本上陸は映画ではなく、舞台が最初だったという話に、深く頷く会場のお客様。

当時15歳だったヨ・ジングさんと共演した『ファイ 悪魔に育てられた少年』を通じて、彼を「娘婿にしたかった」と茶目っ気たっぷりに語るキム・ユンソクさん。会場はバカ受けでした。

『海にかかる霧』でユチョンさんと共演したことで、若いファンが増えたと驚きを隠せないキム・ユンソクさんでしたが、当日も若い女性ファンも多く駆け付け、ちょっと照れながらその声援に応えていたのが印象的でした。それにしても、素敵な俳優さんでした。舞台裏や控え室での打ち合わせでも、気配り、やさしさあふれるその人柄に、僕だけでなくスタッフもその魅力に惹かれていたようです。監督デビューを果たした『未成年』という映画も良い作品なので、ぜひ観てみてください。


◆キム・デミョン

2016年3月19日 共済ホール(札幌)
「古家正亨の韓国ドラマフェスティバル in 北海道」


「賢い医師生活」、観ましたか? いいドラマですよね。でもそれ以上に、このドラマにあのキム・デミョンさんがメインキャストで出演され、今や主役級の俳優さんとして、韓国で確固たる地位を築かれたということに、喜びを感じています。というのも、キム・デミョンさんとお仕事、ご一緒させてもらったからなんです。

2016年に大都市圏以外の地方でも、たくさんの人に韓国ドラマの魅力を感じてもらいたいという趣旨で企画された「韓国ドラマフェスティバル」の北海道開催の際、ゲストで来ていただいたのが、キム・デミョンさんだったのです。

キム・デミョンさんと言えば、僕の20数年にわたる韓流史の中で、最も嵌り、DVD BOXを観る用と保存用の2つを購入したほどのドラマ「ミセン-未生-」で、商社の営業3課に所属するキム・ドンシク代理を演じて、一躍脚光を浴びましたよね。
当時は、バイプレイヤー(助演)としてドラマを引き立たせた存在ということで、キム・デミョンさんにはご参加いただいたわけですが、このイベントが旅行以外では公式初来日だったこともあって、特に「ミセン」ファンの皆さんにとっては忘れられないイベントになりました。

とにかくあの「ミセン」で魅せた柔らかい印象そのままの方で、とっても礼儀正しく、優しい心の持ち主でした。あまりに「ミセン」の代理と(髪型以外)被っていたので、つい「ドンシクさん」と言いそうになりましたが、北海道の人の温かさに触れて、とっても喜んでくださいました。その後、ご自身で短い北海道の旅を楽しまれたようですが、その際「この後、いろんな作品が決まっているんです」と、笑顔で語っていたのが今も心に残っています。そして、その言葉通り、今人気俳優として着実に活躍されている姿を見て、「もう、しばらくはお会いすることはできないだろうなぁ」と思ってしまいました……。

もともと演劇や映画でそのキャリアを重ね、「ミセン」がドラマデビューだったわけですが、本当に良いタイミングでお会いできたなぁと、今もイベントの主催者には、感謝の気持ちでいっぱいです。

キム・デミョンさん以外にも、主に助演として活躍されていた方が一躍主役級になったケースや、デビューしたばかりの無名時代にお会いした後に大スターになったケースなど、長くこの仕事に携わっていると、そういった貴重な出会いやお仕事に関わることも少なくなく、こういった出会いは、自分のキャリアにおいて本当に大切だなぁと改めて感じた、そんなキム・デミョンさんとのお仕事でした。


◆イ・ビョンホン

2004年12月21日 渋谷公会堂(東京)
「イ・ビョンホン ファースト ファンミーティング」


ワールドスター、イ・ビョンホンさんとの最初の出会いは、2004年12月21日。東京・渋谷公会堂で行われた、日本での初めてのファンミーティングでした。渋谷公会堂に集まった2300人のファンは、実に5万人の応募者の中から選ばれたラッキーな方々だったんですね。当時、イ・ビョンホンさんは映画『甘い人生』を撮り終えたばかりでしたが、日本では2003年にNHKで放送された「美しき日々」、2004年には同じくNHKで「オールイン 運命の愛」が放送され、2001年には『JSA』、2002年には『純愛中毒』という映画が日本で公開。すでにこれらの作品を通じてペ・ヨンジュンさんと並ぶ韓流四天王の1人として、絶大な人気を誇っていましたから、渋谷公会堂では会場が小さいのではと言われていたほど。約2時間に渡って開かれたファンミーティングでは、とにかくファンを気遣う姿が随所に見られ、最後の挨拶は10分以上かけて、じっくりとお話されていたのが印象的でした。その後、東京ドームを会場にファンミを開催したり、ドラマ「IRIS」の民放地上波ゴールデン帯での放送、ハリウッド進出など、韓国を代表する俳優として、着実にその地位を盤石なものにしていきました。

この間、日本で行われたファンミーティングには、MCとしてではなく、1人のファンとして参加させていただいていましたが、2014年に開催されたファンミーティングツアー「LBH ON TOUR 2014」から再びMCとして参加させていただくことになりました。

すでに2014年と言えば、ハリウッドスターとしてもその地位を確立され、これまでのファンはもちろん、各会場には10代の少年の姿も見られ、やはりハリウッド効果はすごいなぁと感じさせられたものです。

イ・ビョンホンさんのファンミーティングの特徴は、毎回、とにかく凝った演出で、ご本人もじっくり時間をかけ準備し、ファンに特別な体験、経験をしてもらおうと全力で日本のファンミーティングに取り組んでいらっしゃるというところ。そして、本当に日本のファンを大切にしていらっしゃるんですね。僕も約20年近く韓流関連の仕事をさせてもらっていますが、イ・ビョンホンさんのファンミーティングほど、事前打ち合わせからリハーサルに至るまで、時間をかけて行うイベントはありません。それだけご本人も含めて、関係者皆が、毎回「LBH ON TOUR」にかける意気込みは半端ではないということです。

毎回凝った設定も見どころの1つで、それに合わせて緻密に作られるセットも見どころの1つ。そして、その度に、僕も様々な職種(?!)のMCへと変貌を遂げます。一番の思い出は、2019年におこなわれた「LBH ON TOUR」で“挑戦”をテーマに、イ・ビョンホンさんと僕が富士急ハイランドに行き、ありとあらゆるジェットコースターに乗ってリポートするという企画。イ・ビョンホンさんは、実に楽しそうに富士急の世界的なスケールのコースターの数々に乗りこなす一方、僕は2つ目のコースターを乗り終えた時点で立てなくなり、救護室に運ばれる……という情けない展開になったことでしょうか。でも、そんな僕を心配してくださり、本当に「お兄さん、ありがとうございます……」という気持ちでいっぱいでした。

新型コロナウイルスの影響で今年はこのままお会いできそうにありませんが、韓国、そしてハリウッドという活躍の場を持ちながらも、欠かさず日本のファンのためにファンミーティングのため来日してくださるイ・ビョンホンさん。実は2004年の先にご紹介した1回目のファンミ―ティングで、70代のファンの方がステージに上がった際「20年後にもファンミーティングをしますので、是非来てください。それまで絶対元気でいてくださいね」とおっしゃっていた記憶が今も残っていますが、あれから16年。「20年後かぁ」と当時は思っていたんですが、気付けばその20年まであと少しになりました。

Vol.1 ― 古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編

古家正亨×Kstyleコラム Vol.5

古家正亨(ふるやまさゆき)

ラジオDJ・テレビVJ・MC
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了
2000年から韓国音楽を中心に、韓国の大衆文化をあらゆるメディアを通じて紹介。昨年までは年平均200回以上の韓流、K-POP関連のイベント等のMCとしても活躍。

現在もNHK R1「古家正亨のPOP☆A」(水曜21:05~)、NORTH WAVE「Colors Of Korea」(土曜11:00~)、CROSSFM「深発見!KOREA」(土曜18:30~)、Mnet「MタメBANG!~ただいま打ち合わせ中」(毎月第1、3、5木曜23:30~他)を通じて日本から韓流、K–POP関連の情報を伝えている。

最近では、YouTubeチャンネル「ふるやのへや」を立ち上げ、妻でアーティストのMina Furuya(ホミン)と共に料理やカルチャーなどの情報を発信中。

Twitter:@furuyamasayuki0

記者 : Kstyle編集部