「石ころ」ソン・ユナ“ノーギャラ出演?そんなことは重要ではない…この映画に癒してもらった”

MYDAILY |

写真=リトルビッグピクチャーズ
ソン・ユナが最近、ソウル鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)のカフェで映画「石ころ」のインタビューを行った。

「石ころ」は、平和な田舎町で精米所を運営している8歳の知能を持つソック(キム・デミョン)が、思いがけない事件によって犯罪者にされ、彼の世界が崩れていくストーリーを描く映画だ。ソン・ユナをはじめキム・デミョン、キム・ウィソンが出演した。2018年に開催された「第23回釜山(プサン)国際映画祭」の韓国映画の今日ーパノラマ部門に招待され、作品性を早くから認められた。知的障害者への社会の偏見から、我々が信じている“信頼”という価値の実体まで繊細に盛り込んでいる。人間が持っている不完全な信頼と人間の視線も扱って、大きな反響を与えた。

久しぶりにスクリーンを通じて観客たちに会ったソン・ユナは、聖堂の青少年シェルターの所長キム先生役を演じた。劇中ウンジ(チョン・チェウン)を保護するためにソックを苦境に陥れる人物だが、ソン・ユナならではの繊細な演技でキャラクターの行動が説得力を持って描かれた。ドラマ「ママ」「ラスト・チャンス!~愛と勝利のアッセンブリー~」「THE K2」など、主にドラマを通じて人々とコミュニケーションをとったソン・ユナの、久しぶりのスクリーン復帰だった。

ソン・ユナは「石ころ」の出演を決心したきっかけについて「台本を読んでみてほしいと連絡がきました。私はいつの間にか活動が少なくなったのですが、子供がいるから作品に全部出演することができない状況でした。ドラマの台本だけもらっていた私に、映画の台本が届いて驚きました。『私に? なぜ?』と思いました。私はこの映画に出演するためではなく、心がときめいて珍しいなという気持ちで読み始めました」と伝えた。「実は私に映画の出演オファーはほとんど入らないのです」と率直に話した。

「テーマがたくさん考えさせられる映画でした。全部読んでからしばらく、ソファーにずっと座っていました。いろんなことを思い出しました。ただじっと座っていました。また、私に台本を送ってくれてありがたかったです。キム先生という人物をもっと上手く表現することができる俳優も多いのに、私を思い出してくれたでのしょう。なので出演を決心しました。また、映画はスケジュールの部分では余裕がありますが、ほとんどが地方撮影でした。なので現実的に決定することが難しかったです」

これに先駆けて開催した記者懇談会でキム・ジョンシク監督は、ソン・ユナを“戦士”と表現して好奇心を刺激した。ソン・ユナは「監督が私に感じたイメージとは、違うイメージを与えたかったといいます。作品中のソン・ユナは、いつも弱者の味方になってくれて人々を配慮するが、キム先生はそんな性格ではありません。人の言うことを聞かず、自分の考えが答えだと信じている人物です。そのような両面性を私を通じて見せたいと言われました」と伝えた。しかし彼女は「私は映画を見て『私がキム先生役をしてはいけなかった』と思いました。すべての俳優が悩んでいる部分だと思います。どんな作品でも、どんなキャラクターでも、その俳優の姿がにじみ出てしまう限界が確かにあります。私は、キム先生からソン・ユナの姿が見えて残念だったと言われて悔しかったですし、キム先生に迷惑をかけた気がして申し訳なかったです」と率直に告白した。

「2年前、釜山映画祭で初めて見たけれど、当時は私の姿だけ見えました。まだまだ足りないことがたくさん見えたからです。頭の中に描かれるキム先生の姿は違ったのに、なぜそうやって演じただろうと思いました。当時は他の俳優や作品には関心がなかったんです。周りを見回す余裕がありませんでした。私はテレビを見ながらもよく泣くけれど、今回また見てたくさん泣きました。実はそこまで悲しい映画ではないのに、ソックを見ると涙が出てきました。今回、キム・デミョンさんの演技を再び見て驚きました。初めて見た時は分からなかったのですが、今回はキム先生を除いてはみんな上手でした」

ウンジというキャラクターで演技に初挑戦した子役俳優チョン・チェウンに対しても絶賛した。ソン・ユナは「チェウンちゃんは『石ころ』が初出演作でした。演技をしたことがないのに、カメラの前に立つと自信もって演技するのが不思議でした。本当に上手でした。監督のアドバイスがなくても上手く演じていました。逆に私に教えてほしいとも思いました。演技は生まれながらの才能だと思います。彼女が撮影後、まだ別の作品には出演していないといいます。それも不思議でした。またこの役を演じたら、どんな姿を見せてくれるのが気になります」と伝えた。

またソン・ユナは、結末がないキム先生の最後のシーンにも言及した。彼女は「キム先生のその後を想像してみると、キム先生は卑怯な人物ではないと思います。最後に『私が見たのが全部ではないかもしれない』と感じたと思います。最後のエレベーターに乗るシーンが難しかったです。台本には感情が書いていません。どういう風に表現すればいいのか悩みました。でもその表情を通じて観客に答えを教えてしまったらいけないと思いました。なので準備なしに撮影に入りました。2回撮影して、撤収してしまいました。私は気に入らなくて『これでいいのかな?』と思っていると、監督が『どうかしたの?』という表情で私を見つめていました」と冗談を言った。

このようにソン・ユナはこの日、自身の演技力について謙遜した態度を見せて目を引いた。各作品ごとに視聴者から好評を受けた名実共に優れた演技力の持ち主だが、自分自身に対する評価は冷静だった。彼女は「『作品に迷惑をかけてはいけない』と思うようになります。特にこの映画は私に台本が届いたのが信じられなくて、落ち着いた演技を披露しようとしました。この年になるとすべてに余裕ができて、自信に溢れていると思ったのに、そうではない私の姿を見つけました」と伝えた。

「私の演技に満足したことは、率直に言って一度もありません。子供が成長してドラマに復帰する5~6年間『私、演技上手だな』と思った作品が一つありました。全くそんなふうに思ったことがなかったのに、その作品の出演中に多くの方々がオンライン上で絶賛してくれました。その時にしらばく、ナルシシズムに陥っていました。ケーブルチャンネルtvNドラマ『THE K2』でした。演技が上手な女優になったと勘違いして次期作を決定したのに、また迷っていました。それで『私が上手だったわけじゃないんだ』と思いました(笑)。自然な姿ではなく、少し武装することができるキャラクターだったのでそのように見えたのだと思います。私ではなく、別の女優が演じても絶賛を受けたと思います」

「石ころ」は、ソン・ユナに大きな共感を届けた作品になった。彼女は「状況が違うだけで、誰でも自分の話になりうると思います。よく観てきた商業的な性格の映画ではありません。なので逆にこの作品に出演したいと思いました。ノーギャラ出演? そんなことは重要ではありません。私も、私の隣人も、私の家族も経験する可能性があるのに、知っていながらも知らないふりをしてまた今日を生きているという話が重要でした。誰でも大きくて小さい心の傷を抱えていると思います。私はこの映画に癒してもらった気がします。誰もが経験するかもしれない話で、これが映画として脚色されて、作られたのです。みんなの映画になるだろうという、小さい希望を感じました」と強調した。

「人は今日決心しても、明日になると忘れてまた違う状況で生きていきます。それにもかかわらず『自分も気付かないうちに誰かに傷つけている』というのを一度だけ思い出したら、昨日よりは温かい社会になると思います。この年になるまで生きてみたら、私を褒め称えてあげたいと思うことがあります。ある日から人に対する偏見をなくそうと努力し、またそのように生きてきました。そこでたまには心に傷を抱えることもありますが、それよりはもっとありがたい存在を知るようになりました。世界には良い人がもっと多いということを悟って生きてきました」

ソン・ユナは「これまで多数の作品に出演しましたが、私の作品だけれど時間が経っても見たいと思いますし、思い出す作品がある一方、恥ずかしい作品もあります。『石ころ』は今のように厳しい状況で多くの観客が見てくれる商業映画ではありませんが、とても大切な作品です。何よりも私にやってきた作品なので、もっと感謝しています」と強調した。

26年間、女優人生を生きてきたソン・ユナは、今も奮闘している。彼女は「引き続きつじつまが合わない答えを出しています。私も欲があります。ドラマも映画も出演したいです。実際にチャンスが訪れたら、今の状況で何を選択すべきか難しいです。これも縁に繋がるでしょう」と話して笑った。

記者 : イ・イェウン