古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編 Vol.1

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2003年末にソウルで行われた俳優ペ・ヨンジュンさんの初のファンミーティングでMCを担当して以来、17年間に渡って、千回を超える韓流、K-POPスターのファンミーティングをはじめとするイベントのMCを務めてきた私、古家正亨ですが、そんな数々のイベントの中から、特に忘れられないイベントを振り返っていくこの企画を行いたいと思います。

今回は“韓流スター編 その1”と題して、韓国の俳優さんの来日イベントの中で、特に僕が忘れられないスターの皆さんとの思い出を振り返っていきます。なお、この企画が好評でしたら、その2、3……K-POPスター編と続く予定です……。

Vol.2 ― 古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編


◆ユ・ジュンサン

2013年11月28日 日本青年館(東京)
「“バースデー”ファンミーティング~夢の時間をファンとともに ~」


僕が今まで担当してきたイベントの中で、あらゆる意味で強烈なインパクトを与えてくれた忘れられない韓流スターと言えば、この方! ユ・ジュンサンさん。「棚ぼたのあなた」というドラマを通じて韓国で「国民の夫」と呼ばれ親しまれ、またミュージカル俳優として「ジャック・ザ・リッパー」や「三銃士」といった作品に出演されていたので、ミュージカルを通じてご存じの方も多いかもしれませんね。

そんなユ・ジュンサンさんとは、2013年に東京の改修前の日本青年館で行われたファンミーティングでご一緒させていただきました。事前に“熱いハートの持ち主”であることは聞かされていたのですがその通りで、このイベントに全身全霊で取り組まれていたことは忘れられません。

韓国の歳で45歳を迎えたその当日のファンミーティングとなった特別な1日でしたが、まず驚かされたのが、この日の朝、スタッフさんに「古家さん以外に急遽サポートMCが入ります」と言われたのです。実はその方、ユ・ジュンサンさんの妹さんのミソンさんで、日本に留学していたことがあり、日本語ができるので、通訳兼サブMCを務めますとのこと。あまりに急だったので、大丈夫なのか心配でしたが、彼女が加わったおかげで、かなり緊張されていたユ・ジュンサンさんを精神面で大きくバックアップできていたような気がします。とにかく妹さんをイジる、弄る……。でもそれが会場の雰囲気をアットホームなものにして、一気にユ・ジュンサンさんも、会場のお客様を自分の世界へを誘うことができたと思います。

ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」からのナンバーをミュージカル仕立てで歌い上げ、拍手喝さいを浴びたかと思えば「最近ミュージカル界も若手がどんどん出てきたので、アイドル達を押さえつけながら頑張ってやっていきます」などウイットに富んだ冗談をこれでもかと散りばめながら、最初から最後までその熱さは冷めることなく、約3時間弱という、想定を大幅に上回る時間を全く飽きさせずに見せ切ったそのステージは圧巻でした。下は10代からというファン層の幅の広さにも驚かされましたが、このイベントでご本人がずっと連呼していた言葉があり、それが幅広いファン層を作り出す、人柄を表していたなぁって今振り返っても思うんですね。その言葉とは……

「チケット代以上の価値を差し上げます!」

打ち合わせの時から「高いチケット代(9800円税込み)をわざわざ払って、東京まで僕のために来てくださった皆さんに、とにかくチケット代以上の価値のあるイベントだったねって思ってもらえる中身にしなければなりません。この内容で大丈夫ですか? もう1曲歌いましょうか?」……という感じで、イベント中だけでなく、スタッフにもずっとその内容に関して、最後まで気にかけてくださいました。それだけ、イベントに対して自分の持つべき力をフルで出し切って、そして、来てくださった人、皆に満足して帰ってもらいたいっていう思いが、嘘偽りなく、ユ・ジュンサンさんから感じられたんです。

このイベントが行われた2013年というと、2010年から本格的に始まった日本におけるK-POP人気が安定し始めたころ。毎日のように韓流スターやK-POPスターのイベントやコンサートが日本で行われていた時期で、それに伴い、イベントのマンネリ化やチケット代に伴わない内容のイベントも多々あり、それに関してネガティブな印象を持つファンも少なくありませんでした。きっとご本人はそんな話をどこかで耳にされていたのだと思います。だからこそ「自分がしっかりしなければ」と、今年デビュー25周年を迎えられたベテランが、その言葉通り、いやそれ以上に素晴らしいイベントを日本のファンにプレゼントしてくれたような気がします。

なお、ユ・ジュンサンさんは、今年JTBCのドラマ「優雅な友達」に出演され、その味ある演技で、作品をより魅力的にしてくれました。



◆ソンフン

2013年3月24日 大阪国際交流センター
「Japan 1st Fan Meeting In Osaka」


これまで僕が俳優さんと一緒にお仕事した中で、一番ご一緒した回数が多いのが、彼、ソンフンさんです。「芙蓉閣の女たち~新妓生伝」「シンイ-信義-」で日本でも知られるようになり、その後「じれったいロマンス」「オーマイビーナス」「ドキドキ再婚ロマンス 子どもが5人!?」といった人気ドラマに立て続けに出演し、まさに絵に描いたようにどんどん人気が上昇していった俳優さんです。

そんなソンフンさんのイベントは、参加された方ならお分かりかと思いますが、ソンフンさんだけにしか作れない“ソンフン・ワールド”が展開する、独特な世界観のあるイベントです!

特に2013年に行われた1stファンミーティングは、僕自身ソンフンさんがどのような方か存じ上げてなかったので、ドラマを見る限り、すごくまじめで、近寄りがたいイメージなのかなぁと一人で妄想しながら緊張していたのですが、ご存じの通り、ソンフンさんの趣味の1つであるDJパフォーマンスとなぜか太鼓のコラボステージで幕が開くと、そこからは彼の天然キャラともいえる爆笑トークのオンパレード。僕がたくさんのファンが会場に来てくれたことに対して、ちょっとヨン様を意識してソンフンさんに「今日は日本の家族がこんなにいますから」と持ち上げると、すかさず「家族にしては多すぎますね」と。そして、僕が感動的な話をして持ち上げると「え? 今何か言いましたか?」と全く人の話を聞く気配なし。ただ、この僕とのやりとりは、かなり会場でウケていましたが、実は初回は互いに探り探りで進行していたんですね。でも、それ以降、このやりとりはソンフンさんのある意味でファンミの名物になりました……。

そして、この1stファンミで生まれた、僕とソンフンさんの不思議なケミ(ケミストリー:化学反応)が、僕自身にとっても心地よく、毎年ソンフンさんとのイベントは、真っ先にスケジュールを押えるほど、僕のライフワークになっています。

また事務所の社長がキャストの1人として重要な役割を果たすのもソンフンさんのファンミならでは。さらに事務所の後輩たちを毎回ステージに招き入れ、愛あるムチャぶりで後輩たちの成長(?!)にも大きく寄与している……そんなソンフンさん。

歌は苦手ですと言いながら、イベントの三分の一は歌の時間。ダンスはちょっとと言いながら、会場のファンには踊りを要求。そんな彼の照れ隠しとも言えるファンへの愛を、しっかりファンの皆さんも受け入れ、その中毒性のある彼、ソンフンさんの魅力に嵌ってしまうんだろうなぁと、いつも感じています。

今年は新型コロナウイルスのために予定されていたリアルイベントが開催できなくなってしまい、僕も毎年楽しみにしていたソンフンさんとの温泉ツアーに参加できず、何か物足りない秋を迎えていますが、その分、また良い作品を介して、俳優としてのソンフンさんの魅力でよい2020年の締めくくりを迎えられたらと思っています。

Vol.2 ― 古家正亨の忘れられないファンミーティング 韓流スター編

古家正亨×Kstyleコラム Vol.4

古家正亨(ふるやまさゆき)

ラジオDJ・テレビVJ・MC
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了
2000年から韓国音楽を中心に、韓国の大衆文化をあらゆるメディアを通じて紹介。昨年までは年平均200回以上の韓流、K-POP関連のイベント等のMCとしても活躍。

現在もNHK R1「古家正亨のPOP☆A」(水曜21:05~)、NORTH WAVE「Colors Of Korea」(土曜11:00~)、CROSSFM「深発見!KOREA」(土曜18:30~)、Mnet「MタメBANG!~ただいま打ち合わせ中」(毎月第1、3、5木曜23:30~他)を通じて日本から韓流、K–POP関連の情報を伝えている。

最近では、YouTubeチャンネル「ふるやのへや」を立ち上げ、妻でアーティストのMina Furuya(ホミン)と共に料理やカルチャーなどの情報を発信中。

Twitter:@furuyamasayuki0

記者 : Kstyle編集部