「ディーバ」シン・ミナ“高所恐怖症だったけれど…撮影の3ヶ月前からダイビングの練習をした”

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写真=AMエンターテインメント、映画社OAL
映画「ディーバ」に出演した女優シン・ミナが、20年間の演技人生で新たな面を見せた。

シン・ミナは最近、映画「ディーバ」(監督:チョ・スルイェ)の公開を記念して取材陣に会い、映画と“女優シン・ミナ”について語った。今回のインタビューは新型コロナウイルスの拡散防止のため、ビデオインタビュー形式で行われた。

「ディーバ」は、ダイビング界のクイーンことイヨンが、謎の交通事故に遭った後、潜在的に抱えていた欲望と狂気が目覚めたことで起きるミステリースリラーで、これまで商業映画で扱ったことがない“ダイビング”という題材を打ち出して、公開前から注目を集めた。何よりも「隠された時間」「イントゥギ」などの脚本を手掛けて、「タクシー運転手」の脚色に参加したチョ・スルイェ監督の商業映画デビュー作であり、忠武路(チュンムロ:韓国映画界の代名詞)の女性制作陣、女優たちがタッグを組んだ作品であり、より意味深い。

シン・ミナは、ダイビング界のスターだが、ある日、謎の事故以来、行方不明になった友人スジン(イ・ユヨン)の裏面を目撃することから成功に対する熱望と執着で狂気に食われるイ・ヨンを演技した。いわゆる“ラブリー”の代名詞として呼ばれた彼女からは見つけることができなかった不気味さだった。徐々に狂気に食われていくイヨンを描くためにシン・ミナは自分を追い込んだ。不自然にも見えかねないイヨンの激しい感情表現も自然に演じた。その結果、彼女に絶賛と好評が続いている。

シン・ミナは「初挑戦したジャンルだったので、新しい顔を見せるという気持ちで参加しましたが、多くの方々がそのように見てくださってありがたいです。『ディーバ』がこれまでの作品とは違う感じですので、観客の方々も違うように受け止めてくれているようですね。私も最初の撮影をする時には慣れない面がありました。こんな風に(映画に)出てもいいのだろうかとも思ったけれど、そのような部分をよく評価してくれたようです。私も撮影が終わってから『このように新しい姿を私に期待していたんだ』と思いました」と伝えた。

「活動をずっと続けていたかったのですが、映画はほとんどチャンスがありませんでした。私も6年ぶりという話を聞いて驚きました。体感は2~3年だったので。だからより緊張しました。変数がある状況で公開できるという事実も感謝しています。心配になるけれど、とても愛着を持っている作品であり、キャラクターです」

シナリオを読んだ時からイヨンの感情に共感したというシン・ミナは「ジャンルがミステリーである上に、イヨンの狂気が複雑に見えるかもしれないですが、実は人間が持っている普遍的な感情だと思います。思わずやってしまった行動、配慮などは受け入れる人や場所によって感じ方も違うでしょう。実際に私がイヨンになる時もあって、スジンになる時もありました。私は運動選手ではないけれど、多くの方々の前で話して、見せて、やり抜くことを繰り返す職業です。そのような部分において、イヨンの状況と欲望は、女優活動で感じたものとそんなに違わないです」と率直に告白した。

「嫉妬、罪悪感、負けん気は誰でも持っていますが、表にしたくない感情でしょう。私も誰かを羨んで、嫉妬したことがあります。疑いながら『わざとそんなことを言ったんじゃない?』と感じたこともありますし。誰でも一度は感じる、普遍的な感情だと思います。過激に表現したくはありませんでした。1次元的に表現したくなかったし、イヨンの感情を明確に伝えたかったです。私がイヨンの感情にだけ共感したら、正直な気持ちで近づいていくことができると思いました」

シン・ミナは、映画としては斬新なダイビング選手を演じるため、クランクイン前から地上での訓練、ワイヤー訓練、水中訓練を受けた。そのおかげでダイビングまで自ら演じることができるレベルになったという。彼女は「私は元々泳ぐことが好きで、水は怖くなかったです。でもダイビングは違いました。少し高所恐怖症で、3ヶ月間練習しながら高さも少しずつ上げていきました。ダイビングの姿勢なども学んだら、撮影する時には身についていました」と伝えた。

訓練の過程でスジン役を演じたイ・ユヨンと“戦友愛”を感じたと話したシン・ミナは「イ・ユヨンさんとは3ヶ月前からダイビングと地上での訓練をしました。当時は『この作品に最善を尽くしたい』『本当に頑張らないと』と思いました。相手俳優がそれを受け入れてくれないと元気がなくなりますが、イ・ユヨンさんも一生懸命にやっていて、私の情熱と同じくらい頑張ってくれてお互いに頼りになりました。実力も同じスピードで伸びていきました。最初はコーチがスケジュールを作ってくれましたが、それに合わせて一緒にグレードアップしていきながら、訓練の強度を高めることができました。私たち二人は心が通じる、心強いパートナーでした。スジンを魅力的に表現してくれて感謝しています」と伝えた。

一番ナチュラルな姿でスクリーンに登場することに対するプレッシャーも率直に伝えた。シン・ミナは「最初は怖かったです。水着を着てポーズを取るのも、静的ではなく、水の中に入らなければならないため、水着がずれるのではないか心配になりました。戦闘服だと思いました。水着を着用し続けると、体の筋肉も水着に合わせて作られるといいます。水着を着て練習してこそ、より集中することができると思って、どうすれば選手のように見えるのかたくさん話し合いました。幸い、監督が女優たちが水着によって“女性”という部分が現れることに対する懸念と拒否感を持っていたので、撮影前にそんなことは心配しないでと言ってくれました。それで気楽に撮影することができました。水着だと思わず、体の一部だと思って撮影しました」と伝えた。

「水の中で見せるイヨンの姿が撮影する時には大変でしたが、とても美しかったです。広告撮影をする時に、水の中でやったことはありますが、このようにキャラクターを持ったのは初めてです。ダイビングの選手として水の中から出るシーンを見た時、神秘的で新しかったです」

「ディーバ」はシン・ミナにとって、より特別な作品となった。大胆な変身で彼女の無限な潜在力を証明し、女性中心の映画に対する渇望にも応えた。最近になって女性中心の映画が多く制作されているが、約20年間活動してきたシン・ミナにとっては簡単ではないというのが現実だった。

彼女は「最初にシナリオをもらった時、とても嬉しかったです。女性が主体的に何かをすることができる役割に、限界もあるでしょう。もちろん今、韓国映画で女性をテーマにした映画が多くなりましたが、これまで活動してきて、女性の話だけを扱うことができる題材は少なかったです。だからとても嬉しかったです。果たしてこの映画をどういう風に撮影するのか、ダイビングという題材でどういう風にスリラー作品を作り出すのか、プレッシャーも感じましたが嬉しかったし、上手くやりたいという情熱で最後まで集中して、楽しむことができました」と伝えた。

「この作品が大事だったと言いましたが、実はチャンスさえ少なかったんです。だから『ディーバ』は意味深い作品です。シナリオをもらった時、投資を受けることができるか、公開することができるのか心配になりました。それが現実ですから。公開を控えている今は、とても満足しています。新しいスタイルの映画に挑戦することができたのもありがたいです。多くの方々が、二人の女性が主人公である映画を待っていたと、喜んでくれました。みんな楽しみにしていたでしょう。以前よりは女性中心の映画がたくさん作られて、ハリウッドでも女性が引っ張っていく映画が多くなって嬉しいです。その中で、私もそういう映画に参加できたこともありがたいです。慣れたらより多くの方々が好奇心を持って、期待を持つようになると思います。映画制作会社の代表も、監督も、主人公もみんな女性ですが、女性だから集まったのではないです。映画に興味を持って参加することができる人々が集まっただけです。それほど韓国映画界で女性たちも能力あるということでしょう」

「ディーバ」を通じてもう一歩領域を広げたシン・ミナは「初挑戦は楽しいです。『人々がおかしいと思わないだろうか』と悩む前に、挑戦するということが楽しかったです。幸い、『補佐官』で新しい姿を見つけたと言ってくれて、やり遂げた感じがありました。『ディーバ』でも新しい姿を見つけてくれてありがたいです。だからこそ、また面白く表現することができる、新しい役割は何か悩みます。これからもずっと新しい姿を見せ続けるべきというプレッシャーも感じます」と伝え、笑顔を見せた。

「スリラージャンルに挑戦できるチャンスが少なかったんです。10代~20代に私に与えられたのは、明るくて健康なイメージでした。だから『ディーバ』の出演オファーを受けた時にはとても嬉しかったんです。すべての作品には、時期やチャンスの縁があるのだと思います。今後は違うジャンルの作品にも挑戦してみたいです。今回『冷たい顔のシン・ミナ』とたくさん表現してくれましたが、個人的には、私にそんな顔があるという事実が嬉しいです」

記者 : イ・イェウン