パク・ボゴムが歩んできた軌跡 ― 天使のようなほほ笑みで「国民の彼氏」と呼ばれるまで

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天使のようなほほ笑みで「国民の彼氏」と呼ばれるパク・ボゴムが、2020年8月31日ついに入隊する。「雲が描いた月明り」で日本でも大ブレイクして以来、多くのファンに愛されてきた。

もともとは歌手志望だったパク・ボゴム。高校2年のときにインターネットに投稿したピアノの弾き語りの映像が注目され、大手芸能事務所から声がかかった。そこで歌手より俳優のほうが向いているとアドバイスされて俳優の道に。2011年、18歳のときに映画「ブラインド」でデビューした。

「本当に良い時代」でイ・ソジンの少年時代を演じ、アルツハイマーを宣告された母と3人の子どもたちの絆を描いた「ワンダフル・ラブ~愛の改造計画~」で甘えん坊の末っ子を演じる。このときは監督に高い声での演技を求められて大変だったとか。

その後、日本の漫画が原作の「のだめカンタービレ~ネイル カンタービレ」(14)で天才チェリストに扮する。これは韓国版だけに登場するオリジナルキャラで、主人公2人と三角関係をくり広げる役。翌年15年の「君を憶えてる」では一転、サイコパスな敏腕弁護士に扮して演技の幅の広さを見せ、ソ・イングク扮する天才プロファイラーとのブロマンス的な関係も注目された。


「応答せよ1988」「雲が描いた月明り」でブレイク

写真=tvN「応答せよ1988」
そんなパク・ボゴムがブレイクするきっかけとなったのが、人気作「応答せよシリーズ」の第3弾「恋のスケッチ~応答せよ1988~」(15)。不器用で純朴な囲碁の天才テクを演じ、一気に知名度がアップ。ヘリを相手に初めてのキスシーンを演じたときは、平然を装っていたがとても緊張したという。牛乳好きなところは、素のパク・ボゴムの好みを脚本家が取り入れた。ドラマの共演者とは翌年、リアルバラエティ―番組「花より青春 アフリカ篇」でアフリカに旅行。珍道中ぶりが笑いを誘った。

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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続いて主演した「雲が描いた月明り」の大ヒットによって、パク・ボゴムの人生は変わった。一見自由奔放な問題児だが、実は聡明さを隠している世子と、わけあって宮廷の内官になった男装女子の恋を描いた胸キュン時代劇。「イ・サン」で知られる正祖の孫で13代王純祖の長男・孝明(ヒョミョン)がモデルとされる主人公のヨンをくるくる変わる表情で生き生きと演じ、最高視聴率25.3%を記録。瞬く間にアジアのトップスターにまで上り詰めたのだ。しかも単なるツンデレ王子にとどまらず、民のための政治を目指す世子の威厳、葛藤、孤独、成長をもきっちり表現。その上で、高貴さ、茶目っ気、慈悲深さなどがミックスされた魅力的なキャラクターは多くの人に愛された。パク・ボゴムいわく「内に強さを秘めた“外柔内剛”な性格は僕自身にも共通している」。まさに彼のために作られたような役だった。

2017年「雲が描いた月明り」来日記者会見
2017年には、「雲が描いた月明り」が地上波テレビ東京で放送されることになり、パク・ボゴムは来日。都内で記者会見を行なった。この作品を通じて日本でも認知度を高め、スターダムへと駆け上がっていった。


「ボーイフレンド」で“国民のボーイフレンド”に

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大ヒットを飛ばしたあとの作品選びをどうするかについては、どんな俳優でも慎重になるもの。「雲が描いた月明り」の次作としてパク・ボゴムが2年かけて選んだ作品は「ボーイフレンド」。政治家の娘として自分の感情を押し殺しながら生きてきた35歳のヒロインと、旅先のキューバで運命的に出会った29歳の青年。ソン・ヘギョを相手役に年の差も身分差も乗り越えていく2人を美しい映像と音楽を背景にロマンチックに演じて見せた。「ジニョクは青ブドウのような青年。甘さの中に酸っぱさもある」と語ったパク・ボゴムは、その長髪のヘアスタイルも話題を呼んだ。自由な魂を持ち、本と詩を愛し、日常の小さなことに幸せを見い出せる純粋なジニョクはまるでボゴム自身のよう。「会いたくて来ました」「初めて愛を教えてくれた女性。僕はその愛に責任を持ちたい」などの、愛に関するストレートで堂々としたセリフもまた魅力的だった。


<tvN「ボーイフレンド」予告映像>

このように今や韓流スターとして押しも押されもしないパク・ボゴムだが、実はひっそりカメオ出演もしている。芸能界が舞台のドラマ「プロデューサー」には、ミュージックバンクのMCという本人そのままの役で出演。Netflixで大ブームを巻き起こしているドラマ「梨泰院クラス」には最終話に意外な役で顔を見せるので、気になる方はぜひチェックを。


歌手パク・ボゴムとしての活動「歌に込められたファンへの思い」

日本デビューシングル「Bloomin‘」
もとは歌手を目指していたパク・ボゴム。2015年~2016年にかけて音楽番組「ミュージックバンク」のMCとして活躍。相方のRed Velvetのアイリーンとデュエットを披露することもあった。2017年からは3年連続でCJ ENMが主催するグローバル音楽授賞式「Mnet Asian Music Awards(MAMA)」のMCを担当。2017年は横浜、2018年は埼玉、2019年は名古屋での授賞式のために来日し、落ち着いた司会ぶりを見せた。

「雲が描いた月明り」では初めてOSTに参加。世子の恋心を切なく歌った「私の人」は「聴くだけで涙が出る」とファンに大好評。専属モデルを務めるアウトドアブランド「Eider」のCM内で歌った「星を見に行こう(原題)」は配信でリリースされ、日本では iTunes「KPOPチャート」で1位を獲得した。

2nd Single「ALL MY LOVE」
(C)BLOSSOM ENTERTAINMENT /(C)PONY CANYON INC.
そして2019年3月20日にはついに日本デビューシングル「Bloomin‘」を発売。来日して記者会見を開いたり、5月には東京の中野サンプラザと兵庫の神戸国際会館こくさいホールで発売記念イベントを開催。新聞に派手な全面広告が出たことも話題を呼んだ。「Bloomin'」は「遠く離れた世界中のファンとこれからも一緒に花(=曲)を咲かせていこう」という思いが込められたナンバー。通常盤には「雲が描いた月明り」の挿入歌「私の人」の日本語バージョン「愛しい人 -Japanese ver.-」も収録された。


<パク・ボゴム「ALL MY LOVE」MV>

また、入隊前の2020年8月12日には、ファンへの気持ちを歌った、入隊前ラストシングルとなる「ALL MY LOVE」を日韓同時リリース。シンガーソングライターのサム・キムが作曲・作詞・プロデュースを手掛けたこの曲には「会いたい時はいつでも僕の声を聴いて、僕を思い出して。僕のすべての愛をあなたに捧げるよ」というパク・ボゴムのメッセージが込められているという。「CDをリリースするようになったきっかけはファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたかったから。もともと音楽が大好きでしたし、今後は機会があれば舞台演劇やミュージカルにも挑戦してみたい」と語るパク・ボゴムだった。


パク・ボゴムという人間の魅力

2017年Kstyleインタビュー
礼儀正しくて謙虚で、誰からも好かれるパク・ボゴム。澄んだまなざしと無垢な心に聡明さを兼ね備えている。そんな彼が愛される理由を問われて答えたのが「真心はかならず伝わるから」という言葉だ。パク・ボゴムに会った人はよく「天使」という言葉を使うが、本当に清らかな考えの持ち主なのである。

最初の取材のことはよく覚えている。先に写真撮影があったのだが、その様子がとても楽しそうだった。仕草、笑顔のひとつひとつがなんとも可愛らしく、ライジングスターならではのきらきらしたオーラに満ちていた。インタビューでは「昨日は何か美味しいもの食べましたか?」という質問に「お! 今の日本語全部聞き取れましたよ!」と目をくりくりさせて大喜び。インタビューを日本語習得の場として積極的に活用していることがわかったし、この勉強熱心さと無邪気な笑顔は特に強く印象に残った。

2017年Kstyleインタビュー
小学校4年生のときに母親を亡くし、父親のもと、兄と姉と共に育った末っ子のパク・ボゴムは、つねに物事を肯定的にとらえ、人が好きで、周りに感謝することを忘れない。「雲が描いた月明り」で“ボゴムアリ(ボゴムに夢中になること)”という社会現象を生み出したあとは、芸能生活を一休みして、明知(ミョンジ)大学映画ミュージカル学部音楽科に進学。学校が郊外にあったため、毎朝5時40分に起きて7時10分のスクールバスに乗る生活が大変だったとのちに語った。有名芸能人らしからぬ、この庶民感覚がいかにもパク・ボゴムらしい。お酒、コーヒーは飲まず、タバコも吸わない。敬虔なクリスチャンとしても知られており、ファンミーティングなどでよく「祝福がありますように」と言っているのはそのためだ。

2019年Kstyleインタビュー
パク・ボゴムという名前は漢字では“宝剣”と書き、“来る時が来ればその価値が認められる”という意味を込めて両親がつけてくれたという。韓国でも珍しい名前でとても気に入っているそうだ。ファンは親しみを込めて“ボゴミ”と彼のことを呼ぶ。


大規模なアジアツアー・ファンミーティングも

2020年Kstyleインタビュー
アジアのトップスターとして、大規模なアジアツアー・ファンミーティングを開催しているパク・ボゴム。日本での最初のファンミは2017年2月4日に東京国際フォーラム ホールAで開催した「2016-2017 PARKBOGUM ASIA TOUR FAN MEETING IN TOKYO
2回目は同じ2017年の12月24日に幕張メッセで行われた「パク・ボゴム ジャパンオフィシャルファンクラブ発足記念 ファンミーティング」。クリスマスイブの夜に1万人規模のファンが集結。「クリスマスは大切な日なのに、僕に時間をさいてくださって本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べたパク・ボゴム。クリスマスソングを熱唱したり、サンタになってゲームに挑戦したり、ソリに乗って広い場内を回ったり、100個のサインボールを客席に投げ込んだり、演歌を歌ったり。驚いたのは短期間のうちにかなり日本語が話せるようになっていたこと! どれだけ努力したことだろう。最後に1時間、出口付近に立ったままで、全員をお見送りしてくれたことも印象に残った。

写真=パク・ボゴムTwitter
そして2019年2月3日にさいたまスーパーアリーナで行われた「2019 Park Bo Gum Asia Tour in Japan < Good Day : May your everyday be a good day >」はさらに会場がビックになり、ついにパク・ボゴムは気球に乗って登場! 歌もふんだん、TWICEやSEVENTEENのダンスを披露したり、エンターテイナーぶりにさらに磨きがかかったステージとなった。ボゴムが自分でデザインした天使がモチーフのペンライトもメルヘンチックで素敵だった。


入隊前にパク・ボゴムが残した贈り物

写真=tvN「青春の記録」
そんなパク・ボゴムは入隊前に1本のドラマと2本の映画を撮り終えている。「青春の記録」は挫折しながらも成功を夢見る若者たちのドラマで、俳優志望のモデルのヘジュンを演じた。劇中でもヘジュンが兵役に悩むシーンが登場、そういう意味でもリアルなストーリーと言えるだろう。相手役は「パラサイト 半地下の家族」のパク・ソダム。9月7日から韓国で放送予定だ。

映画「徐福」はパク・ボゴムが人類初のクローン人間、コン・ユが彼を敵対勢力から守ろうとする元国家情報院エージェントに扮したSFアクションで、「建築学概論」の監督の最新作。もう1本の映画は「ワンダーランド」。亡くなった人とビデオ通話で再会することが可能になった世界が舞台のSFファンタジーで、こちらの恋人役はペ・スジ。どれも豪華キャスト共演の話題作ばかりだ。


<tvN「青春の記録」予告映像>

これらの作品を見ているうちに、ボゴムがいない1年8ヶ月はアッという間にすぎてしまいそうだ。ファンのことを「僕たちはお互いに力になれる一生の友だち」と表現するパク・ボゴム。軍隊でもきっと彼らしく充実した時間を過ごして、元気な姿で帰ってきてくれることだろう。次に会うときはどんな顔を見せてくれるのか、今からとても楽しみだ。

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ライター:望月美寿

記者 : Kstyle編集部