「愛の不時着」止まらないブーム!実は韓国ドラマのパロディの嵐…オマージュ作品を一挙解説
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これまで韓国ドラマを見ていなかった人たちをも取り込み、社会現象になっている「愛の不時着」。だが、韓ドラ初心者には少しわかりにくいのが、ところどころに挿入される韓国映画・ドラマのオマージュ。そこでKsytleでは、オマージュされた作品とシーンを徹底解説。韓国人ならば誰でも知っている名作ばかりなので、興味を持った方はぜひチェックを!!
◆ドラマ「天国の階段」(2003年)

<あらすじ>
有名建築家の娘チョンソ(チェ・ジウ)は、デパートや遊園地を経営する財閥の御曹司ソンジュ(クォン・サンウ)は相思相愛で、幸せな日々を送っていた。しかし、チョンソの父と女優のミラが再婚すると状況は一転。ミラの連れ子のユリ(キム・テヒ)は、チョンソに嫉妬し、チョンソをひき逃げしてしまう。一方、ユリの兄テファ(シン・ヒョンジュン)は、チョンソに禁断の愛を抱く。事故で記憶を失ったチョンソは、ソンジュのことを忘れてしまい、チスという名前で暮らしていたが……。<オマージュポイント>
第1話で、ジュモク(ユ・スビン)が任務も忘れるほど熱心に見ていたドラマは「天国の階段」。ジュモクが「ペンダントを合わせろ」とつぶやくシーンがあるが、それは主人公の2人が永遠の愛の証として持っていた分離、合体可能なペアのペンダントのこと。記憶を失ったチョンソが、チョンソである証拠となる重要なキーアイテムとして使われた。尚、このペンダントは市販もされ、世界中の韓流ファンが買い求めた。第3話では、ジュモクが「シン・ヒョンジュン(テファ役の俳優)が死んでしまうなんて」とセリ(ソン・イェジン)にくってかかるシーンもあるが、それくらいテファのチョンソへ向けた愛は献身的で涙を誘った。
第13話では、ジュモクがヒロインのチェ・ジウと感動の対面。ジュモクは、蛍光色のマフラーと、うさぎのモチーフがついた赤いベレー帽をかぶっているが、それらは幼い頃にチョンソがソンジュに手作りでプレゼントしたもの。ソンジュは大人になっても大切に持ち歩いており、記憶が戻ったチョンソと愛を確認すると、その帽子をかぶって涙を隠した。このシーンは、当時、感動的ながらも、ちょっと笑えるシーンとして話題になった。また「愛は戻ってくる」は、クォン・サンウがブーメランを投げながら言ったセリフで、当時大流行。よくパロディにもなった。
◆ドラマ「冬のソナタ」(2002年)

<あらすじ>
高校生のユジン(チェ・ジウ)とサンヒョク(パク・ヨンハ)は幼なじみ。サンヒョクはユジンに想いを寄せていたが、ユジンは転校生のチュンサン(ペ・ヨンジュン)と初恋を育む。その冬の大晦日に待ち合わせをしたユジンとチュンサン。だが、チュンサンは交通事故に遭ってこの世を去ってしまう。10年後、サンヒョクと婚約したユジンの前にチュンサンと瓜二つのミニョン(ペ・ヨンジュン=2役)が現れて……。<オマージュポイント>
第6話で、平壌の大同江(デドンガン)でセリとジョンヒョク(ヒョンビン)がビールを飲んでいると初雪が降ってきて、セリは「初雪を一緒に見ると恋が叶うっていうのを聞いたことない? 私たちは叶ったらダメよね、大ごとになる」と話す。韓国ドラマや映画では、この初雪の言い伝えがたびたび登場するが、それを有名にしたのが「冬のソナタ」。初雪の日にメタセコイアの並木道で会う約束したユジン(チェ・ジウ)とチュンサンが、小さな雪ダルマにキスをさせた後、ファーストキスをするシーンは、今でもファンの脳裏に焼きついている。◆映画「シークレット・ミッション」(2013年)

<あらすじ>
北朝鮮の特殊工作部隊5446部隊のエリートスパイ、リュファン(キム・スヒョン)は韓国の貧民街に潜入してバカな青年ドングを演じながら、作戦実行司令を待つように命令される。そこへ駆け出しのロックミュージシャンに扮したスパイのヘラン(パク・ギウン)と、高校生に扮するヘジン(イ・ヒョヌ)も送り込まれ、3人には思いがけない作戦命令が下される。<オマージュポイント>
第10話のエピローグで、韓国にやってきた5中隊員たちに「目立ちたくなければ力を抜け。ここも人間の住むところだ。恐れることはない」とアドバイスする緑色のジャージ男は、「シークレット・ミッション」のドング。ドングがわざとおバカなフリをしているとは知らず、第15話では、チス(ヤン・ギョンウォン)が「拷問のせいでああなったんだ」と恐怖に震えるシーンが登場して笑いを誘った。リュファン=ドング役のキム・スヒョンは、脚本家パク・ジウンのドラマ「プロデューサー」と「星から来たあなた」に出演した縁で友情出演を果たした。◆映画「春の日は過ぎゆく」(2001年)

<あらすじ>
録音技師の青年サンウ(ユ・ジテ)は、ラジオのDJ兼プロデューサーのウンス(イ・ヨンエ)から、自然の音を採集する仕事の依頼を受ける。二人は録音のための小旅行をする中で恋に落ちるが、永遠の愛を信じるサンウに対し、離婚歴のあるウンスには愛に対する不安が増してゆき……。<オマージュポイント>
第11話で、スンジュン(キム・ジョンヒョン)に「ラーメン食べて帰る?」と誘われたダン(ソ・ジヘ)。「韓国ではラーメン食べる? と誰にでも言わない。俺とは大丈夫だけど、今後言われたらきっぱりと断るんだ」というシーンがあるが、これは映画「春の日は過ぎゆく」で、ウンスがサンウを自分の部屋に誘うために言ったセリフ。暗に「私の部屋に泊まっていかない?」といっているもので、この映画のヒットから「ラーメン食べて帰る?」は誘い文句として使われるようになった。また第16話では、芸術映画撮影所に配属されたマンボク(キム・ヨンミン)が、草むらの中で大きなマイクで音を拾っているシーンがあるが、これは「春の日は過ぎゆく」の有名なワンシーンをそっくりに再現したもの。
◆ドラマ「推奴-チュノ-」(2010年)

<あらすじ>
両班(ヤンバン)の家に生まれたテギル(チャン・ヒョク)は、奴婢のオンニョン(イ・ダヘ)と密かに愛を育んでいたが、奴婢の身分に我慢できなくなったオンニョンの兄、クンノムが火を放ち、オンニョンを連れ逃亡する。10年後、テギルはクンノムとオンニョンを捜し回るうちに、奴婢を追う推奴(チュノ)師になっていた。<オマージュポイント>
第12話で、ネットカフェでジュモクが「ダメだ~、デギル。死んだらダメだ」と涙を流しながら見ているのが「推奴-チュノ-」の最終回。愛する人オンニョンを守ろうと盾となって刺されたデギルに、当時リアルタイムで見ていた視聴者の誰もがジュモクのように「死なないで~」と叫んだに違いない。流れる音楽はドラマのメインテーマで、イム・ジェボムが歌う「烙印」。◆ドラマ「秋の童話」(2000年)

<あらすじ>
裕福な両親と優しい兄ジュンソ(ソン・スンホン)のもと、幸せに暮らしていたウンソ(ソン・ヘギョ)は、交通事故を機に、生まれてすぐにクラスメイトのシネ(ハン・チェヨン)と病院で取り違えていたことがわかる。それぞれ実の親の元に引き取られたウンソとシネ。数年後、大手ホテルで働くウンソは、オーナーの息子テソク(ウォンビン)に想いを寄せられる。そんな中、ウンソとジュンソは再会し、兄妹ではない感情を抱くように……。<オマージュポイント>
第12話で、南のファッションに身を包みセリズチョイスのインテリア部門のオープン式典を颯爽と訪れた5中隊員たち。「あとは南の金持ちの言葉をマネするだけですね」と、ジュモクが仲間に教えた「いくらだ、いくら払えばいい?」というセリフは、「秋の童話」で、いくらモーションをかけてもなびかないウンソにテソクが放った言葉。婚外子であることから屈折し、お金でしかほしいものを得られないテソクの不器用な愛に視聴者が熱狂。このセリフはたびたびパロディにされ、流行語にもなった。◆「アルハンブラ宮殿の思い出」(2018年)

<あらすじ>
革新的なARゲームを開発したセジュ(EXOチャンヨル)は、自分のプログラムが狙われていることに気が付き、IT投資家のジヌ(ヒョンビン)に電話をかける。「グラナダのボニータホステルで会いましょう」とのセジュの言葉に、グラナダに向かったジヌだったが、セジュには会えず、代わりにそのホテルのオーナーであるセジュの姉ヒジュ(パク・シネ)と出会うのだった。<オマージュポイント>
第12話で、ゲームに夢中になるジョンヒョクは、「アルハンブラ宮殿の思い出」のオマージュ。BGMとして流れていたのはドラマのテーマ曲で、スペインの作曲家・ギタリストのフランシスコ・タレガの「アルハンブラの思い出」。ドラマを見た人にしかわからないが、わかる人にはクスっと笑えるシーンだ。◆「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)

<あらすじ>
35歳のジナ(ソン・イェジン)は職場でのセクハラや浮気した彼氏との破局で息のつまる日々を送っていた。そんな中、親友の弟ジュニ(チョン・ヘイン)が海外赴任から帰国する。会社が同じビルにあることから、一緒にランチや飲みにいくようになった2人は自然と恋人に。しかし、それを知った家族たちは家柄や年齢差を理由に交際に反対する。<オマージュポイント>
第15話のエピローグで、相合い傘をするジョンヒョクとセリ。セリが濡れないようにジョンヒョクが自分の肩を濡らすシーンは、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」のワンシーンから。ヒョンビン、ソン・イェジン、それぞれの前作ドラマのオマージュを挿入しているのがおもしろい。ライター:安部裕子
「愛の不時着」
出演:ヒョンビン、ソン・イェジン、ソ・ジヘ
原作・制作:イ・ジョンヒョ、パク・ジウン
Netflixで配信中:https://www.netflix.com/jp/title/81159258
記者 : Kstyle編集部