「野球少女」イ・ジュヨン“プロを目指す高校生と練習…YouTubeで投球フォームも研究した”

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写真=sidusHQ
映画「野球少女」(監督:チェ・ユンテ)に出演したイ・ジュヨンが、ソウル鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン) で行われたインタビューで、役作りのための努力や、今後の希望について語った。

韓国で公開された映画「野球少女」は、高校野球チームの中の唯一の女性で、時速130kmの剛速球を投げ、“天才野球少女”というニックネームを持つチュ・スイン(イ・ジュヨン)が、卒業を控えて、プロに向けた挑戦と現実の壁を乗り越えるために奮闘する姿を収めた成長物語だ。

これまで自主制作映画を舞台に活動してきたイ・ジュヨンは、最近韓国で放送が終了したJTBC「梨泰院(イテウォン)クラス」のトランスジェンダー、マ・ヒョニ役で広く知られた。「野球少女」は、その後に公開された最初の作品である。

「『梨泰院クラス』と『野球少女』は別物と考えています。『梨泰院クラス』で大きな愛と関心をもらいましたが、『野球少女』は自主制作映画のコアなファンの方々に応援していただける要素が多い作品です。『梨泰院クラス』の恩恵に預かって『野球少女』も成功してほしいなと思うよりは、『野球少女』が冷え込んでいる映画界にエネルギーを吹き込むことができれば嬉しいです」

女性の成長映画である「野球少女」は、昨年釜山(プサン)国際映画祭で先行公開され、好評を得た作品だ。

「映画をやりたいとすごく思っていた時にシナリオをもらいました。タイミングがすごく良かったです。集中力を持って引っ張っていける作品だと思ったし、台本を読んだら、断る理由がなかったんですね。もちろんチュ・スインが登場しないシーンがないほど、ストーリーを引っ張っていかなければいけないので、プレッシャーもありましたが、完成版を見たら、低予算であったにもかかわらず、完成度が高いと思いました。釜山国際映画祭での反応も良かったです」

「梨泰院クラス」でトランスジェンダーの役を務めたイ・ジュヨンは、今回の「野球少女」では、プロ野球チーム入団を夢見る女子高校生役を務めた。前作と同じく、特有の中性的なイメージが際立つキャラクターだ。

「中性的なイメージは、私が意図したものでもなく、また意図していないものでもありません。選択した作品がそうだったと思います。私なりの作品選択の基準を持っています。作品性、関心など、それなりの基準をもとに選択します。どんなことも、思い通りにならないことは分かっていますが、要領よく振る舞って『今回はこんなイメージを作ってみようかな』と思うことなく、今まで通りにやっていきたいです」

本格的な撮影に入る前に、1ヶ月ほど実際にプロを目指す学生と訓練したというイ・ジュヨン。投球フォームは、YouTubeの動画などを見ながら着実に身につけていった。

「実際にプロの選手を準備する男子高校生と訓練しました。与えられた時間内にある程度まで実力を引き上げなければならないというプレッシャーがありました。映画の中でチュ・スインが直面しているのと同じ状況でした。勝ちたかったです。『私も同じようになりたい』または『上手になりたい』と思いました。いろいろなことを考えさせられました」

野球への関心は、「全くなかったです」という彼女。投球フォームについては、残念な部分もあるという。

「試合の観戦には一回行ってみました。野球の進め方も分からず、最初から勉強しましたよ。監督も野球に対する関心からこのシナリオを書いたというより、現実の壁にぶつかった人々からインスピレーションを得て始められました。野球ファンが見て不十分な部分があるんじゃないかという不安もありますが、専門家の意見もたくさんもらいましたし、また試合のシーンでは本当の審判の方もいつもいました。投球のフォームは、YouTubeの映像を見ながら身につけましたが、体がついてきてくれない時は本当に悔しかったです」

実は彼女は、体育大学に入学したが、1年で演技専攻に進路を変えた過去がある。彼女は「私もチュ・スインのように『別の道を進んだらどうか』と周りの人から言われたことがあります」と告白した。

「体育大に入学して、1年間通いました。こんなことを言うと、体をうまく使えて、運動が得意だと思われますが、実は小論文で受かったんです。入学後、学科に対する欲はありませんでした。教養科目で演劇の授業を聞きながら、演技に対する夢を持つようになりました。役者になると決めた後、『別の道に進むのはどうか』と言う人もいました。その時はチュ・スインのように『なぜ私が始めてもいないことをダメだというのかな?』と思いました。そういう部分ではキャラクターをよく理解することができました」

彼女は「野球少女」について、「今この時代に必要な映画です」と話す。大変な時期、少しでも力と希望を与える映画になってほしいとのことだ。だとすれば、イ・ジュヨンにもチュ・スインのように、成し遂げたい夢はあるのだろうか。

「私は今日だけを生きる人です。大げさなことは言えません。何かを成し遂げていきたいというよりも、今が楽しいんです。私が持っている能力値で、人々に小さいながらも影響力も及ぼすことができて、幸せを感じること。これからもそういう風に生きるのが夢です」

記者 : ペ・ヒョジュ